東北道、新東名の一部は120km/h!安全のためにどうするべきか議論する

日本では高速道路の最高速引き上げが続いています。

2020年9月16に東北自動車道の花巻南ICから盛岡南IC間で最高速度が120km/hとなった。2020年12月22日には新東名高速道路の御殿場JCTから浜松いなさJCT間の長さ145km区間が最高速度120km/hとなった。

さらには2021年12月1日から東関東道の一部の区間が制限最高速110km/hに引き上げ。この流れは全国に広がっていくのでしょうか。

120km/h化は今の所は大成功ということだが、私はちょっと不安があります。果たしてこのままで大丈夫なのだろうか。

120km/h化で速度違反取り締まり強化を

高速道の最高速度の話となるとすぐに海外の最高速度と比較するネットの記事が目につく。最高速度だけを並べて議論される。

海外では速度違反の取り締まりが日本より厳しいことがある。例えばスイスでは高速道路は最高120km/hまでだが、計測値101-150km/hでの違反は、レーザー計測で4km/h、レーダー計測で6km/hまでしか引いてくれない。

フランスでもドイツでも5km/h程度の超過でもアウトだ。他の国も見るが数キロのオーバーしか許容されない国は多い。

日本では高速道路では覆面やパトカーの追尾式ではおおよそ15km/hオーバーあたりからが多く、オービスでは40km/hと言われている。日本が120km/hに引き上げ、それでオービスが160km/h(赤キップ)から光るとなれば、危険なドライバーが検挙されない事態が起こる。

オービス計測で160km/hとなると、メーター読み(1割位甘い)でおおよそ176km/h表示となる。また覆面などの正確なメーターで15km/hオーバーの135km/hから取り締まってくるとなれば、一般車のメーターでは149km/hだ。

ただしメーター読みと実際の速度の差は、メーカーの設定以外にタイヤのブランド・摩耗などでも変化します。同じ規格のタイヤでもブランドごとにタイヤ外径は微妙に違います。

ちなみに道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条のメーター誤差には 10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/94)V1 (平成19年1月1日以降に製作された自動車の場合)となっていて、これは速度域によって誤差の数値は変わります。

超過の誤差は100/94、つまり超過側は約6.38%までが許容。120km/hに合わせてやれば超過側は約7.656km/hの幅まで誤差が認められることになります。

それ以前に制作された自動車は超過の幅は10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/90)V1で約11.11%の誤差までが許容。120km/hに合わせれば13.33km/hの超過分の誤差が認められることに。

高速道で交通機動隊やオービスが計測した時に、120km/h制限の場所では約128km/h、100km/h制限の場所では約111km/hまではメーター上の誤差が認められているということに。ただし実際の取り締まりでははもっと許容幅が大きくこの程度ではほぼ捕まらない。

ですが現状では実際メーター読みより速度が出ている車種は私は知りません。純正メーターならば大抵は実際より高い速度の表示で出るように作られているはずです。

車検メーター誤差は上側の誤差分は廃止していいのではないでしょうか。少なくともメーター読み制限速度120km/h内で走っていれば実際の速度120km/hを超えていることはまず無いです。

古い車も走っているので制限速度の6.38%の超過で検挙は出来ないと思いますが、少なくとも超過側は11.11%の超過で検挙してもいい気がします。

大型車は追い越し車線走行禁止が理想か

大型車というのは車両総重量11トンまたは積載重量6.5トン以上、または定員30人以上の自動車

2020年12月22日から新東名高速道路の御殿場JCTから浜松いなさJCT間の145km区間が正式に120km/hとなり、遅い大型車が追い越し車線を塞ぐのではと思われたが、追い越し車線に出てくる大型車は減ったようです。

ただこれは片側3車線化したせいかもれません。3車線の場合は一番右側が追い越し車線で、残りが走行車線です。その2車線を使って追い越せばいいのです。

120km/h化を広げるのならば片側3車線は必須だと思います。

ただやはりそれでも追い越し車線に出てくる大型車はいるようで、流れが早くなった分追い越しにもたつけばそれだけ他の追い越したい車を塞ぐ形になります。また大型車は事故を起こした時に被害が大きい。回避動作も取りにくい。

制限120km/hは120km/hで走れではない

日本の制限速度100km/h区間の高速道路では昔からおかしな傾向があります。走行車線が100km/hで流れ、追い越し車線が120-130km/hで流れるという傾向。制限100km/hだから追い越し車線も100km/hまでしか出せないはずだが現状は違います。

高速道路の120km/h化について、120km/hで走り続けないといけない、120km/hで流れるようになるのかと勘違いしているドライバーもいると思います。しかしこれは最高速度が120km/hであって、120km/hピッタリで走り続けろではありません。無理して120km/h出さなくても100km/hで巡航してもいいのです。

それが遅いと感じたドライバーが追い越し車線から120km/hなりに追い越せばいいのです。

ただ、新東名の120km/h区間は実際のところ、2車線ある走行車線は普通車がメーター読み100-120km/hくらいで流れている感じなので皆が皆メーター読み120km/hで走っているわけではないです。そういう意味では過剰な心配は不要だったかなと思います。

追い越し車線はメーター読みで120-140km/hの流れ。なので追い越し車線の実際の速度はおそらく109-127km/hというところ。若干の速度オーバーで流れることもあるようですが、以前の100km/h制限時の追い越し車線と大して差はない感じ。

むしろ今までがおかしかった。最高速度100km/hの走行車線を取り憑かれたように100km/hで巡航する車たち。そして追い越し車線は120-140km/hで流れる。これが暗黙のルールのようになっていた。もちろん100km/h制限の高速道は今日もその傾向だ。

120km/h区間で改善してほしい点

現時点での「設計速度120km/h」「片側3車線」や「事故の少ないところ」というのは良かった。このおかげで成功したとも言えると思います。

ただ、これから起こるかもしれない、予想できる事故を未然に防ぐためにも改善したほうがいい点もある。

安全に運用するには

  • 120km/hは3,500kgまでの2輪、乗用車のみ。
  • トラックとバスは追い越し車線走行を禁止。
  • 追い越し車線は最低速度100km/h。
  • 速度違反は11%超過から取り締まる。

120km/h対象車種

ちょっと気になったのが日本の120km/h区間では大型バスも乗用車と同じ120km/hで走行できるということ。これは世界でもやや珍しいです。ドイツとスイス、ハンガリーではバスは乗用車より遅く設定され100km/hまでとなっていて、その他殆どの国も同様に80-100km/hです。

日本では高速バスの事故が続いたのが問題となったが、これは飛ばしすぎが原因とは限らないが、やはり大きな重い車両は被害が甚大となること。特に多くの乗客を乗せて走るバスは一度の事故で多くの命を失うことになります。

大型車(車両総重量11トンまたは積載重量6.5トン以上、または定員30人以上の自動車)だけでなく、120km/hで走行できる車両は基本的に3.5トン未満の乗用車と2輪のみが理想ではないかと考えます。

現在、120km/h区間では大型バスも120km/hで走れることになっているが、私はこれに反対です。バスは一回の事故で多くの死傷者が出る乗り物であること。

トラックとバスは追い越し車線を通行禁止して

先程は120km/hを出せる車両に大型車(車両総重量11トンまたは積載重量6.5トン以上、または定員30人以上の自動車)を含めないのが理想と書きました。

3.5トンを超えるトラックとバスは追い越し車線走行を禁止にする。そもそもトラックとバスは高い速度域ではタイヤバーストなどなにか起こった時に横転しやすく危険すぎる。車体剛性も不安がある。

スイスと同様にトラックとバスは追い越し車線を走るのは禁止にするべきだと思う。

追い越し車線の最低速度を100km/hに

高速道路の最低速度は現在道路交通法では50km/hとなっているが、これは追い越し車線でも同様である。けれどもこれは120km/h区間では不十分だと思います。

120km/h区間では、渋滞などがなく潤滑に流れているときの追い越し車線の最低速度を100km/hにしてほしい。つまり追い越し車線から追い越すときは100-120km/hで追い越しを行う。

120km/hが実用化された区間で100km/h未満で追い越す車両は聞いたことがないが、100km/h未満で追い越し車線に出ると、他の追い越しをかける車両との速度差が大きいことと、追い越しに長い時間と距離かかかるため、追い越し車線を長い時間塞いでしまう形になる。

速度超過は制限速度の11%オーバーでアウトに

ドイツもフランスもスイスも高速道では速度超過は5km/hオーバー程度でアウトだが、日本が最高速度だけ欧州並みの120km/h化したが、日本は追尾式では15km/hから、オービスでは40km/hオーバー(高速道の場合)からしか取り締まらないならば、世界トップレベルの甘さです。

今は大きな事故がなくてもまたそのうち飛ばし過ぎたドライバーの事故が起きるでしょう。

純正メーターであればスピードメーターの速度表示はおおよそ10%ほどの安全マージンがあるので、メーター読みで制限最高速度を超えなければ、実際の速度を超えていることはほぼありません。

オービス撮影の肖像権云々の問題についても事前警告表示をすればいい話です。

ですが道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条で認められているメーター誤差があるので海外のように5km/hの超過で捕まえることが可能とすれば制限40km/hかあるいは50km/hの制限の道路までです。

ならばもう11%の誤差から取り締まり対象としていいと思います。そうなると高速道路だと制限100で111km/h、制限120で128km/hから取り締まることに。これはメーター読みでおおよそ122km/hと141km/hとなりますが、これをオービスでも適用してほしい。

ですがやっぱり本当は5km/hオーバーからがんがん取り締まってほしい。

いくら欧州が120-130km/hが多く、日本の100km/hが時代遅れと言っても、取り締まりが甘く、追い越し車線が制限よりはるかに高い速度で日常的に流れていれば実質120-130km/h道路と変わらない。

日本が世界の状況と比較して120km/h化したのならば、それなりにしっかり取り締まる必要があると感じます。欧州はしっかり取り締まった上での120km/h、130km/hなのだ。120km/h化してオービスが取り締まるのが160km/hから・・・うーん・・・甘すぎ。

最後に

海外の多くでは高速道路の最高速が120-130km/h。ただしそこだけを見てそこだけ合わせていいのでしょうか。

海外は120-130km/hが多いと言っても、3.5トン以上の車両やバスなどは80-100km/hに制限されていたりします。また取り締まりの許容誤差も5km/h前後と厳しい国ばかりです。

日本の120km/h区間では大型バスも120km/h。中型以下のトラックも120km/h。そしてパトカーは制限速度の15km/hオーバーあたりから取り締まり、オービスでは一般道で30km/h(移動式は15km/hから)、高速道では40km/hオーバーでやっと取り締まりという始末です。

日本の最高速100km/hの高速道の現状は、追い越し車線を延々と走り続ける車がいると思えば、最高速である100km/hで追い越し車線を走る車に対し、120km/や130km/hの速度超過でグングン追いついては「追い越し車線をノロノロ走るな邪魔だ」「追越車線を走り続けるのは道交法違反だ」という。

かなりメチャクチャです。

法定速度を上げたのならば、法定速度とは1km/hでも超えたら違反であるということを周知させてほしい。100km/h制限の高速では追い越し車線でも100km/hまでしか出せないのです。120km/h制限の高速では追い越し車線でも120km/hまでです。

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