2023年5月27日の交差点右折の記事に誤りがあった可能性があるため一旦非公開にしてチェック中です。

道路交通法の半分も理解せずに免許習得が可能!簡単すぎる学科試験

公道を走るドライバーは運転免許を持っています。自動車免許習得には学科試験と技能試験に合格する必要があります。

しかし公道を走る車を見ていると交通ルールをよくわからないまま免許を取ってしまったような自由奔放なドライバーを多く見かけます。そういう人でも免許は取れます。本免の学科は95問の100点満点で90点取れればいいのですから。

学科問題は道路交通に関してすべて出題されるわけではありません。95問で出題できるのは道路交通法の一部だけです。しかも全問正解のみが合格というわけではありません。問題がわからなくて感で選んでも50%で正解します。

交通ルールがよくわからないまま運転してしまい、最終的に違反を繰り返し、運が悪いと事故を起こします。一つでもわからないルールがあれば危ないです。

という私も道路交通法等はすべて理解しているわけではありません。交通に関しての記事を書くたびにどんどん学習している感じですが、とにかく覚える量が多すぎるし奥が深いというか複雑。

道路交通法や道路交通法施行令などをすべて出題し、マルバツではなく4択5択形式や筆記形式にしようとすれば、26時間の学科授業+問題集をちょろってやるくらいではとても合格できないでしょう。

なんせ道路交通法などの文章は文体が古く、まるで日本書紀や万葉集を解読しているかのようでわかりにくい。現代用語に置き換えて考える必要があるが、闇雲に情報を羅列しただけのような文体も多く、見落としや誤認も生じやすく、完全理解には多くの時間を要する。

しかも定期的に改正があるから一回覚えてハイ終わりではない。常に最新のルールを知っておかないといけません。

多くのドライバーが理解しきっていないもの

車両通行帯の意味

たぶんこれが一番難解。

車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

出典:道路交通法第2条1項7号

中央線がない道路には車両通行帯はありません。

中央線があっても片側1車線の道路車線は車両通行帯とは呼びません。ソースはこれ

法第四条第一項の規定により公安委員会が車両通行帯を設けるときは、次の各号に定めるところによるものとする。
一 道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に二以上の車両通行帯を設けること。

出典:道路交通法施行令第1条の2第4項

片側2車線以上あり、道路管理者が公安委員会と車両通行帯として意思決定を行っていた場合、それぞれが車両通行帯ということです。

しかし片側2車線以上あっても、道路管理者が公安委員会との車両通行帯として意思決定をしていなければ、車両通行帯ではないのです。

片側2車線以上の高速道路であればそれぞれが車両通行帯ですが、一般道で車両通行帯として必ず意思決定をしないといけない所は、

車両通行区分がある道路、
特定車種の通行区分がある道路、
進行方向区分が分かれている交差点、
原付の二段階右折がある交差点、
片側3車線以上の信号機のある交差点手前、
バス専用レーンがある道路、
進路変更禁止の道路区間、

です。ソースは「交通規制基準」の改正について(通達)|警察庁

これ以外の部分でも片側2車線以上ある道路で車両通行帯としての意思決定が得られていれば車両通行帯となるわけですが、一般道ではほぼないという情報もあり、ちょっと分かりにくい。

違反項目に通行帯違反という物があるのなら、どこが車両通行帯になっているか誰もがすぐわかるようでないと困ります。もういっそのこと片側2車線以上は全部車両通行帯にすればスッキリわかりやすいのではないでしょうか?

ちなみに、例えば車両通行帯が片側に2つある道路(規制実施基準では車両通行帯は片側に最低2つないといけない)は、走行車線も車両通行帯、追越車線も車両通行帯です。走行車線だけが車両通行帯で追い越し車線は追い越し車線と説明しているユーチューブ動画がありますが誤りです。

路肩はどこ?路側帯は?

路肩と路側帯がごっちゃになってこんがらがっている人は多いと思います。これは教習所では教わらなかった。

路肩は道路構造令の呼び名です。路側帯は道路交通法で出てきますが、車道外側線の外側に歩道がない場合、外側の道路の部分が路側帯となります。歩道があった場合は車道外側線の外側は車道です。

わかりやすく写真で解説するとこうなります。

詳しくは下の記事で書いています。

路肩、路側帯は車は通行できる?

交通ルールに関しては道路構造令ではなく道路交通法ですので、道路構造令の路肩という呼び方を除外し、道路交通法の路側帯で考えていきます。

結論を言うと路側帯は車道ではないので車は通行できません。ただ、道路に歩道がある場合は、車道外側線の外側も車道となりますので、車の通行は禁止ではありません。

右からの追い越しルールは一般道でも同じ

「高速道路で左から追い越すのは道路交通法違反である。」ということはほとんどのドライバーが知っていますが、じつはこれ一般道でも同じです。

一般道でも右側から追い越さないといけません。

車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。

出典:道路交通法第28条

速度超過の車に追いつかれても譲る義務はない

車両通行帯がない道路で速い車に追いつかれた場合、道路交通法第27条の「他の車両に追いつかれた車両の義務」により、進路を譲る義務があります。

しかし、制限最高速度ギリギリで走っているときに、明らかに速度超過をした車が追いついてきても、進路を譲る義務は発生しません。

譲る義務は発生するのは「政令で定める最高速度」が速い車に追いつかれたときです。

また27条は「車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除く」と書かれていますので、車両通行帯である追越車線で追いつかれた場合は除かれます。

キープレフトは車も義務

キープレフトを二輪車だけの義務と勘違いしている人が多いです。しかしキープレフトは四輪でも同じです。

キープレフトの意味をよくわかっていない人が多いです。

キープレフトは車両通行帯がある道路と車両通行帯がない道路があります。

車両通行帯がない道路の場合

キープレフトは車両通行帯のない道路で左側によって走ること。道路交通法第18条にある通り自動車も含まれる。

車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

出典:道路交通法第18条

ちょっとわかりにくいですが、この道路の左側というのは、対向車線まで含めた道路全体の左側(つまり左側通行のこと)ではなく、同一方向車線の左側ということです。

車両通行帯がある道路の場合

片側2車線以上あって車両通行帯と認められている道路は、最も左側の車両通行帯を走ることがキープレフトです。しかし片側3つ以上の車両通行帯がある場合は、状況に応じて、一番右側の通行帯を除いて走ることが出来ます。

車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。

出典:道路交通法第20条

この場合、自動二輪は堂々と車両通行帯のど真ん中を走っても構いません。

黄色矢印信号は路面電車

青(緑)の矢印は、黄色や赤の灯火でも車は矢印方向へ進むことが出来るということは全てのドライバーが知っていることです。しかしこれが黄色の矢印だとどうでしょうか?

黄色の矢印は習いましたか?見たことありますか?

広島や長崎、鹿児島で見ることが出来ますが、この黄色の矢印は路面電車用の信号です。路面電車は黄色や赤の灯火に関わらず、矢印の方向へ進むことが出来ます。

交差点は横断歩道がなくても歩行者優先

交差点で横断歩道は歩行者優先ですが、横断歩道がない交差点はどうでしょうか?

(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。

出典:道路交通法第38条の2

横断歩道のない交差点で歩行者が横断しているときは妨害してはいけません。

バス停から10mは反対車線も駐停車禁止

(停車及び駐車を禁止する場所)
乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)

出典:道路交通法第44条1項5号

バス停留所は標示版から10m以内は駐停車が禁止されています。10mというのは前後10mではなく半径10mですので反対車線であっても10m以内なら駐停車禁止です。

道交法では単に10mという記述ですが、愛知県警のウェブサイトにきちんと図解で示してあります。

駐(停)車違反の種別 2.停車及び駐車を禁止する場所(図2参照)|愛知県警察
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/houchichusha/shubetu.html

※リンクはトップページのみということなのでページのURLだけ貼っておきます(トップページからでは探すのが大変なので)。

道路交通法は記述が不明確というかどちらにも捉えられそうな表現もあって、理解するのに苦労します。大切なことならば一発で明確にわかるよう改善してほしいです。

標識・路面標示・手信号は全て覚えないと危ない

標識・路面標示・手信号は全て理解していますか?

たとえばこれ。なかなか見る機会は少ないです。

これは規制区間の終わりを表す補助標識です。なにかの規制標識(速度や駐車禁止など)の上に設置されます。規制標識が複数あっても、この補助標識がその一番上にあれば、その下の規制標識はすべてここで終わりということです。

標識や路面標示は、いくつかわからないものがあっても免許が取れてしまうというのが現状です。

特に手信号は覚えていないと、災害時などで停電で信号機が停止するなどして警察官が手信号で誘導しているときにわからなくなり、事故の原因となります。

また自転車の手信号も覚えていないと、前を走る自転車が右折の手信号を出しているのに、車で追い越しをかけてしまえばぶつかってしまいます。このときに自転車が飛び出してきたなんて言い訳をするドライバーがいるかも知れません。

自由奔放に運転している現状

まだまだ認知度が低い交通ルールはたくさんあります。

自動車免許は教習所に通えば誰でも習得できているのが現状。

多くの人が気をつけているのは、速度違反、一時停止、追い越し禁止、駐禁場所、飲酒運転など取り締まり対象で有名な部分についてばかりで、それ以外はいいかげんなもんです。

一方、ルールをわかっているのに取り締まりがゆるい部分は適当です。ウインカーが直前だったり、ウインカーを点滅させなかったり、むやみなクラクション、

さらにルールの認知も低いものはもう自由すぎて殆ど守られていないです。歩道をまたぐときの一時停止はしないし、右左折時の徐行、一般道で追い越し車線を走り続ける行為、など。

例えば旅客機は厳密なルールをキチンと守って運行しているおかげで事故はほとんど起きませんが、車に関してはきちんとしたルールがあるにも関わらず、あまりにも自由奔放に走っている人が多いのではないかと思います。

道路交通法はとても難しい

もちろん歩行者や自転車にも交通ルールを周知させる必要があると思います。もういっそのこと道路交通法を新科目として義務教育化していい気もします。高校の入試科目にも道路交通法という科目があっていい気もします。それこそもっとも重要な科目の一つだと思います。

道路交通法など覚えて学科試験合格は教習所の26時間の授業で合格できても、正直交通ルールを26時間ですべて覚えることはほぼ無理でしょう。私は交通に関しての多くの記事を書いてきましたが、まだまだ知らないことが多いです。更に難解な解釈も多い。

どこまで車道なのか?という点については、裁判でも判例が右に左に変わり、道路標示と区画線を混同し、法の引用部分を間違い、誤った判例になってしまったくらいです。

それくらい覚えることがあり、複雑で、解釈も難しい。

学科試験をもっと多く出題厳しく

とくに交通の際に関係してくる部分はすべて覚えておく必要があると感じます。少なくとも自動車免許の学科試験は緩すぎると思います。たった95問ではとても足りません。しかも○✗問題だけなので、わからなくても50%の確率で正解しちゃいます。

つまり95問で100点中、90点で合格しても、実際理解していたのはたった8割程度だった可能性もあるわけです。こんなレベルの知識で免許が取れるわけです。

自動車免許は生死に関わる免許です。全員に合格させなくたっていいんです。

出題数を数倍に増やし1日がかりの試験くらいにして合格ラインを厳しくしてほしいくらいです。間違った問題は、試験後に正しい回答を受験者へ知らせ、全て理解した上で初めて免許交付と言う形でもいい。

○✗問題は極力減らし、記述形式にしたほうがいいと思います。選択方式にするなら二択ではなく四択くらいにしてまぐれ当たりを減らしてほしい。特に標識や道路標示の意味を記述させたほうがいいと思います。偶然の正解など必要ないからです。

あと、落とすための受験ではないのでひっかけ問題は必要ありません。

それと、道路交通法ですが、ややこしすぎます。ぱっと明確に間違えずにわかるように書いてください。

以上が私の意見です。


※車両通行帯の解釈が一部間違っていたので記事を修正しました。
2022年7月7日。

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