ルールが混沌とする電動キックボード規制緩和後と現行ルールを表でまとめた

最近良く話題になる電動キックボードですが、警視庁が最高速度20km/h以下の電動キックボードに関しては免許不要へ規制緩和する方針を固めたというニュースがあった。

電動キックボードは2021年12月25日時点での車両区分は定格出力で分けられ、定格出力600W以下のものが道路交通法の免許の種類では原動機付自転車、600W超から1000W以下を普通自動二輪車(小型限定)で道路運送車両法でいう原付二種となります。

規制緩和の話は最高速度が20km/h以下の電動キックボードについて免許不要などする方針ということ。

実証実験では15km/h以下を免許不要で小型特殊自動車の区分でやっているが、新たに規制緩和されるのは小型特殊自動車という区分ではなく小型低速車という新しい車両区分。つまり違いは二段階右折が大きく絡んでくるでしょう。

しかし、規制緩和といっても、ただでさえルールが認知されていない電動キックボード。車両区分とルールがますます混沌としてわからくなった。そこで、規制緩和された際における電動キックボードの車両区分とルールをわかりやすくまとめてみた。

情報錯綜し、混沌としすぎてわけがわからない

電動キックボードについての情報は飛び飛びであり、全区分のルールがまとめて一覧明記されたウェブページやリーフレットがない。新ルールについてはまだ始まっていないのでいいとして、現ルールも調べてもなかなか車両区分やルールを書いてあるページがなくよくわからない。

国土交通省や警察庁が一般向けに公開しているルールの情報が少なすぎてわからないことは多い。メディアが流す飛び飛びの情報の断片だけでは全体像がまるでつかめない。

交通ルールをどうのこうの言う前に、まずは電動キックボードの全車両区分とそのルールの全てを一覧表にしたリーフレット等を作るべきではないでしょうか?

このモヤモヤをスッキリさせて頭を整理するために、当サイトで一覧表を作ってみました。ただ、ルールを調べるのに本当に苦労した。

電動キックボードの車両区分とルール

どの電動キックボードがどのルールなのかさっぱりわからないので、調べて一覧表にしました。表にするのは道路交通法上の車両区分です。

現時点でのルール(2021年12月25日時点)

道路交通法上は現時点のルールでは電動キックボードは大まかに3種類に分けられる。現時点では電動二輪の定格出力で分けられた免許区分が適用されています。

また、最高速度6km/hまでの身体障害者用の車いすでは歩行者扱いとされていて免許は不要であるが、電動キックボードにおいてはたとえ最高速度が6km/hであっても現段階では原動機付自転車に区分されます。

道交法上の免許区分原動機付自転車普通自動二輪車
(小型限定)
普通自動二輪車
定格出力0.6kw以下0.6kwを超え1.0kw以下1.0kwを超え2.0kw以下
必要免許原付免許普通自動二輪
(小型限定)以上
(AT限定可)
普通自動二輪以上
(AT限定可)
制限速度30km/h60km/h60km/h
走行できる所車道
(歩道は走行不可)
車道
(歩道は走行不可)
車道
(歩道は走行不可)
歩道走行禁止
(足で蹴って進んでも不可)
禁止
足で蹴って進んでも不可)
禁止
(足で蹴って進んでも不可)
二段階右折指定場所のみなし なし
二人乗り禁止
飲酒運転禁止禁止 禁止
ながら運転禁止禁止 禁止
ヘルメット義務義務義務
自賠責保険義務義務義務
自動車税納税義務あり納税義務あり納税義務あり
ナンバープレート必要必要 必要
灯火類前照灯
番号灯
後部反射器
尾灯
制動灯
方向指示器
(最高速20km/h未満の車両は
尾灯、制動灯、方向指示器
が免除)
前照灯
番号灯
後部反射器
尾灯
制動灯
方向指示器
前照灯
番号灯
後部反射器
尾灯
制動灯
方向指示器
バックミラー必要必要 必要
ブレーキ2系統ブレーキが必要2系統ブレーキが必要2系統ブレーキが必要
速度計必要
(最高速20km/h未満の車両は免除)
必要必要

歩道走行については、たとえ電源をオフにして立ち乗りしながら足で蹴って人力で進むことも禁止である。しかし降りて押して進む場合は歩行者扱い。

二人乗りについては調べたが不明。600W超であれば免許区分的には可能だが、車両的に後部座席も握り手もない。これについては警察庁へ問い合わせ中なので、返信が来れば二人乗りが可能なのか載せます。

※自動車税に関しては道路運送車両法での区分となりますので、上の道路交通法上の車両区分とは呼び名が異なります。

規制緩和後のルールはこうなる

規制緩和した場合の電動モビリティの車両区分とルールをまとめます。新車両区分として歩道通行車と小型低速車が加わる。新しいルールが適用されるのは少なくとも来年(2022年)以降。

新しいルールでは一定の大きさ以下の電動モビリティは「歩道通行車」「小型低速車」「原動機付自転車」3種類に分けられるが、歩道通行車が電動キックボードを含むのか不明。15-20km/h以下の電動キックボードは、構造上の最高速度が6km/hだった場合でも小型低速車でひとくくりにするのか。

ただ、「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会における検討状況」にある歩道通行車の写真には、トヨタの歩行領域EVである「C+walk T」(2021年12月25日現時点では公道走行不可)があり、これは立ち乗り型で形状的には電動キックボードに近い。最高速度は10km/hで、6km/h以下にも設定できる。

新しいルールで歩道通行車に区分されると思われるトヨタの「C+walk T」のツイート。電動キックボードではないが見た目は近い。

また、「歩道通行車」「小型低速車」「原動機付自転車」の3種類に加え、定格出力0.6kw超、定格出力1.0kw超の電動キックボードも存在するので5種類を表にします。

2021年12月25日段階でわかっていることで一部不明な部分もあります。

歩道通行車小型低速車原動機付自転車普通自動二輪
(小型限定)
普通自動二輪車
必要免許免許不要
(年齢制限は明示なし)
免許不要
(16歳以上)
原付免許普通自動二輪(小型限定)以上
(AT限定可)
普通自動二輪以上
(AT限定可)
定格出力
最高速度
6-10km/hで検討15-20km/hで検討0.6kw以下
15-20km/h超
(制限速度は30km/h)
0.6kwを超え1.0kw以下0.6kwを超え1.0kw以下
大きさ長さ120cm
幅70cm
高さ120cm
長さ190cm
幅60cm
走行できる所歩道
歩道がない道路は右側通行
車道
自転車道
普通自転車専用通行帯
(道路は左側通行)
車道
(歩道は走行不可)
(左側通行)
車道
(歩道は走行不可)
(左側通行)
車道
(歩道は走行不可)
(左側通行)
歩道走行禁止
(最高速モードを6km/hに変えることで可能)
禁止
(足で蹴って進んでも不可)
禁止
(足で蹴って進んでも不可)
禁止
(足で蹴って進んでも不可)
二段階右折検討中指定場所のみなしなし
二人乗り禁止禁止
飲酒運転禁止禁止禁止禁止禁止
ながら運転禁止禁止禁止禁止
ヘルメット任意任意義務義務義務
自賠責保険義務義務義務義務
自動車税納税義務あり納税義務あり納税義務あり
ナンバープレート不要必要必要必要必要
灯火類?前照灯
番号灯
後部反射器
前照灯
番号灯
後部反射器
尾灯
制動灯
方向指示器
前照灯
番号灯
後部反射器
尾灯
制動灯
方向指示器
前照灯
番号灯
後部反射器
尾灯
制動灯
方向指示器
バックミラー必要必要必要必要
ブレーキ2系統ブレーキ2系統ブレーキ2系統ブレーキ
速度計必要必要必要

実証実験では15km/h以下の電動キックボードで小型特殊自動車の扱いがされて二段階右折が不要だったが、新車両区分は小型低速車となり自転車のルールが基本となるので、二段階右折はおそらく義務となる可能性が高い。

最高速度は車両性能の最高速度でアクセルコントロールによる速度制限ではない。20km/h出る小型低速車の電動キックボードをアクセルコントロールで6km/hで走行しても歩道は走行できない。

しかし20km/hの電動キックボードの最高速度を6km/hに切り替えることで車両区分を変更し歩道走行できる。しかしこれが「歩道通行車」とは別なのかは不明。

歩道通行車の場合、通行場所は歩行者と同じとなり、「歩道と車道の区別がない道路では右側通行」という点に注意が必要である。これがまた混沌とする要因になりそうです。

また「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会報告書概要」には歩道通行車は歩行者扱いという記述があるが、歩行者扱いとなれば飲酒運転も道交法上は禁止とはならない。しかし「歩道通行車」という車両区分であるため「車両等」にあてはまり道交法65条によって飲酒運転は出来ない。

ルールが浸透するのか?

ん~区分が多く、それによってルールが変わりすぎていてちょっとわかりにくい。免許不要の20km/h以下の電動キックボードと言っても2区分ある。これは講習義務化でもしないと彼らはどこでルールの違いを学ぶのでしょう?

おそらくルールがわからないまま乗る人で溢れるに違いない。

現時点での車両区分やルールも、規制緩和の話とごっちゃになりなんだかよくわからない部分は多く認知度が低い。警察は取り締まりをするだけでなく、リーフレットなどを作りルールを明示することが必要だと思います。

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