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子宮頸がんワクチン(HPV)、予防接種と薬害訴訟、確率でいうと接種が無難

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に長期感染することで発病すると言われていて、これを予防するためのものが子宮頸がんワクチン。日本がこのワクチン接種に消極的なことが改めて問題となっている。

厚労省によればワクチンの効果は70–80%ということらしい。なら絶対打つべきだ!となるはずだが厚労省は消極的だ。なぜなのか?

そして子宮頸がんワクチンの副作用はあるのか?一度打つと一生効果があるのか?海外で接種状況はどうなっているのか?など、基本的な情報を集めました。

子宮頸がんの患者数と死者数

厚労省の子宮頸がんリーフレットによれば、生涯で子宮頸がんになる人は76人に1人、330人に1人は子宮頸がんで死亡

厚労省によれば、子宮頸部の細胞に異常がない女性のうち、10–20%程度の人がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していると報告されているそうです。

なお、性行為で人から人へ感染します。

しかしウイルスに感染しても90%以上の場合、2年以内にウイルスは自然に排出されるそうです。

なので感染した場合でも必ずしも発がんするというわけではないということです。

日本における子宮頸がんの患者数は厚生労働省結核感染症課の資料によれば2008年のデータで年間9,800人。死者は2011年のデータで2,700人。累積子宮頸がん罹患率は約1%で、ワクチン接種により0.5%程度に下げることが出来るらしい。

なお、子宮頸がんは早期発見だと生存率は高い。

子宮頸がんは高齢者ほど多いというわけではない。子宮頸がんのピークは20歳から40代。

ワクチンの有効性と副反応

厚生労働省結核感染症課の資料には、子宮頸がんワクチンは罹患、死亡ともに70–80%ほどの効果があると書いてある。ただ、すべてのHPVに有効というわけではない。推計だと、これによって累積子宮頸がん罹患率を半分ほどへ減らせるらしい。

子宮頸がん予防ワクチンの効果の持続は6年から最長で9.4年。

ワクチンは3回接種する必要がある。

接種後の重い症状は稀に自己免疫疾患などがある、死者はいない。しかし厚労省の審議会の資料によれば自己免疫疾患の自然発生率と変わらない。

厚労省の審議会によるとワクチン接種後の多様な症状について、ワクチン接種歴がない人たちでも一定数存在している。接種した人のほうが高い症状もあるがバイアスが多数存在して比較はできないということ。

なぜ接種が進まないのか

厚労省によれば、日本ではHPVワクチンは累計で約343万人が接種。ただし3回接種となるため接種回数はこの3倍に近い。

厚生労働省が積極的ではない主な原因はHPVワクチン薬害訴訟であると思われる。そこへマスコミの報道が煽って反ワクチンが活発になった。それまで接種率80%前後あったのが僅か3年で1%を切った。

現在は定期接種のお知らせを送付するのを控えている自治体が多いため子宮頸がんワクチンの存在を知らない人も多い。←問題はココ

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団はHPVワクチンの危険性を訴え続けている。

ざっと見たが、ウェブサイト全体的に感情論が入っているようにも見える。厚労省はワクチンの薬害があるかもしれないし、違うかもしれないという前提で公平に審議会を行っている。しかし弁護団は絶対にワクチンのせいだと決めつけて訴えているように見える。何を根拠にこれほど自信があるのか。

ワクチンによる影響であると確実に証明する根拠が1つも示されていないがワクチンのせいだと信じて疑わない。自分に起きた有害事象を前後関係の経験談のみで並べている。

弁護団は「厚労省はまともに議論していない、外資系メーカーから不透明な働きかけがある」と訴える。

ワクチン後に深刻な症状となったということでワクチンが原因という主張。もちろんそれは薬害かもしれないし、そうでないかもしれない。

ただそれがワクチンが誘発したのか、自己免疫疾患などの病気のタイミングがワクチン後に重なっただけなのかは証明が難しい。前後関係だけでは証明にはならない。

なぜならそれらの病気はHPVワクチンでしか発症しない症状や病気ではないからだ。

ワクチンを打っていなくてある時期に自己免疫疾患を発病した人がいたとする。もし、その人がその発病の直前にたまたまワクチンを打っていたら、本人はワクチンが原因だと疑います。これは誰でもそうです。

たとえばマウス実験で、マウスがケージ内に設置した水を飲んだあと、下剤をマウスへ注入すると、マウスは次からその水を飲まなくなる。それはマウスにとってはその水が原因(毒である)だと前後関係から思ったからだ。

前後に起きた事象で因果関係を感じるのは人間含めた動物の本能。しかし体験による心理的は思い込みは科学的要因と一致するとは限らない。

薬害ではないと決まったわけではない。薬害と証明できるものが前後関係以外に示されていないということ。前後関係=因果関係というのは違うということ。ワクチンのせいかもしれないし、それはわからない。

ちなみにワクチンを反対する弁護団のQ&Aでは、子宮頸がんは定期検診とHPV検査でほぼ予防できるとしている。

海外では接種はどうなっているか

2018年のHPVワクチンを接種した女子の割合(厚労省の子宮頸がんワクチンのリーフレットより作成)

割合
日本0.8%
アメリカ55%
カナダ83%
イギリス82%
イタリア67%
ドイツ31%
フランス(2017年)24%
オーストラリア(2017年)80%
※日本のデータは定期の予防接種実施者数(厚生労働省より)

ちょっとこれだけ見ると異常。最初は日本も70%位あったが数年でみるみる下がってしまった。ちなみに日本は2019年が0.3%である。

リスクを減らすなら確率

厚労省によると生涯で子宮頸がんになる人は1万人に132人。生涯で子宮頸がんでなくなる人は1万人に30人。

つまり76人に1人が生涯で子宮頸がんに。333人に1人が生涯で子宮頸がんになって死亡。

76分の1というと1.3%だ。

ワクチンで接種後に重篤な症状は2,000人に1人(0.05%)。これはワクチン接種後にワクチンに関係なく自然発生した自己免疫疾患なども排除されていない数値。死者はいない。

厚労省の推計ではワクチンによって累積罹患率が半分へ減らせるということなので、ワクチン接種で1.3%のリスクが半分となると0.65%。

0.05%以下のリスクをくぐり抜けて1.3%を0.65%へ減らす。

女子が1万人いた。

ワクチンを接種しないと、生涯子宮頸がんにかかるのは130人。30人が死亡。ワクチンは接種していないのでワクチン後の重篤な症状はゼロ。ただし薬害で訴えているような自己免疫疾患などは接種グループとほぼ同じ人数に発生し、その他多様な症状も一定数発生する。

全員がワクチンを接種したとすると、生涯子宮がんにかかるのは65人。がんで5人が死亡。ワクチン後の重篤な症状は5人。ワクチン後の死亡はゼロ。

どっちがいい?

ちなみに一度接種(3回の接種)が終われば追加接種は必要ない。

打つべきかどうか

子宮頸がんについてまとめ

  • 生涯で76人に1人(1.3%)が子宮頸がんになる。
  • そのうち90%がHPV感染している。
  • 子宮がん年齢のピークは20-40代。
  • 性感染する。
  • 早期発見のため20歳以降は2年に1度の定期検診が推奨される。

HPVワクチンについてまとめ。

  • 接種後に重篤な症状は2,000人に1人(0.05%)。ただ、これはワクチンを打たない人でも発生するものであり、偶発的なものか因果関係は不明。
  • 推計ではワクチンによって累積罹患率が半分へ減らせる。
  • ワクチン持続は6–9.6年。
  • ワクチンは3回打たないといけない。
  • 追加接種は不要。
  • ただ、ワクチンは新しいため、科学的に効果があると完全には立証されていない(厚労省)。
  • 厚労省が積極的ではない理由はHPVワクチン薬害訴訟など。

ワクチンを接種することで、生涯1.3%でかかる子宮頸がんが0.65%となる計算。これをメリットがあると考えるかは本人次第。

ワクチン後の重篤症状は0.05%だが、これらの主な症状である自己免疫疾患は、接種しない場合でも同じ頻度で発生している。またその他の多様な症状もワクチンを接種していない人でも一定数発生している。つまりこれらは接種しなくてもリスクはゼロではないということだ。

ただしワクチンが100%安全であるという証明ではない。ちなみに国内ではワクチン後の死者はいない。

リスクを避けるには確率で考えるのがベスト。

リスク・ベネフィットを考えると、ワクチン接種の選択がはるかに低リスクではなかろうか。

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