関東・中部エリアのローソンで紙パック入りの天然水330mlが2021年11月30日から発売。
容器はテトラパック社のテトラパックです。紙パックの水は、ローソンより前の2020年8月にハバリーズから紙パックのナチュラルウォーター330mlが発売されています。もっと遡れば1983年のハウスの六甲のおいしい水が紙パックでしたが現在はペットボトルです。
ローソンは脱プラの取り組みとしてペットボトルではなく紙パックで天然水を出したということらしい。しかしネット上の声は否定的なものがあまりに多い。
なぜそこまで否定されるのか。否定内容に正当性があるのでしょうか?
ローソンの水
ローソンの天然水330mlは、2021年11月30日から関東・中部エリアで発売される。価格は税込み140円。
商品の特徴は
- プラ56%削減となり脱プラ。
- 長期常温保存で備蓄におすすめ。
- 1本買うと1円が国土緑化推進機構に寄付。
ということです。
ただ、ツイートにあるようにこれは関東・中部エリアとナチュラルローソンでの地域限定商品。私が住んでいるのは福岡市。一応ローソンの店員に聞いたが、福岡市のローソンでは発売されないようです。入手して容器分解したり飲んでみて検証したかった。
しかしこの商品はハバリーズと共同開発ということで、そのハバリーズの商品も同じパックを使った水がファミリーマートで販売されているらしい。パックはおそらく共通だと思います。
近所のファミマにはハバリーズがなかったが、後日また探してみようと思います。
ネットの声
ローソンが発売する紙パック天然水に対してのネットの声は厳しい。
紙のにおいが気になる。
値段が高い。実質値上げ。
ペットボトルの方を買います。
森林伐採でエコではない。
フタにプラスチックが使ってある。
ウォーターサーバーにしてマイボトルに入れたほうがいい。
買ってもリサイクルしないで燃えるごみになりそう。
ネットの声を見ると圧倒的に否定意見が多かった。肯定意見もあったがごくわずか。ただ、ネットというのは否定意見や揚げ足が積極的に書き込まれる傾向にあります。
ネットの声に正当性はあるのか
紙のニオイ
紙パックだから飲んでみて紙のニオイがするかどうかは、科学的には可能性はあります。
ニオイの粒子と言うのはとても小さく水を通さない素材でも微細な穴から通り抜ける可能性がある。HEPAフィルターでも捕集できません。物理的にはニオイ分子が紙パック(テトラパック)をごく僅かに通過するかもしれないが、それを人間が感じ取れるかどうかは飲んでみないとわかりません。
この紙パックはテトラパックで内側はアルミ層があり、更にその上にプラスチック層がコーティングされています。このアルミ層やプラスチック層がニオイを人間が感じ取れないレベルに遮断する可能性もあります。
私が住んでいる地域にはこの商品は発売されないのでテストできませんが、ハバリーズから全く同じ容器を使った水が出ているので、見つけたら買って冷やさず常温で飲んでみようと思います。
値段が高い
値段が高いというネット上の声はかなり多く見られます。
紙パック天然水は330mlで税込み140円。ハッキリ言って高いです。
ローソンでは330mlペットボトル入りのエビアンが税込み103円です。600mlペットボトル入りの天然水が税込み98円です。ジュースでさえ、おそらく同じ容器を使っているであろうトロピカーナ330ml が税込み132円で水より安い始末。
消費者が140円出して買うメリットは何でしょうか?消費者がほしいのは中身であって容器ではありません。
紙パック入りの天然水は採水地が佐賀県鹿島市浜町だから高いのか?容器の製造コストがかかっていることが高い理由なのか?う~んしかしトロピカーナより高いのは納得がいかない。
やはり税込み98円あたりにしないと売れないような気はします。
森林伐採なのか
ネットの声には、「紙容器は森林伐採だからペットボトルに変わり、プラが環境を破壊するからまた紙に戻る。」「紙といえど森林を伐採するので環境破壊。」とある。紙は環境破壊になるのでしょうか。
紙パックの水といえば、1983年から「六甲のおいしい水」がアルミコーティングされた1リットルサイズの紙パックで登場しました。それがペットボトルになったのが90年頃。理由は森林伐採ではなく規制緩和により加熱殺菌の必要性がなくなったため。
紙パックのパルプ繊維は持続が可能な管理された森林の木材のみを使用している(FSC認証材)ということで、まあつまりは管理された植林ですね。植えて育てて伐採し、また植える。この繰り返しであり、この紙パックを作ることで森林が減ることはありません。
評価
プラ削減で環境アピールということですが、ペットボトルであろうが紙であろうが使ったあとはリサイクルか焼却という流れ。リサイクルするにもトラックで運んで工場で機械を動かし環境負荷はかかる。
紙容器の新商品はペットボトルと比較するとプラスチック使用量が約56%削減されるということですが、ペットボトルの方もギリギリまで薄く作ることでプラスチック使用量は減らすことが出来る。
実際この紙容器の天然水を買った場合、やはりネットの声にあるように、リサイクルせずに燃えるゴミで捨てる人がほとんどではないでしょうか。ペットボトルだとリサイクル率はかなり高いです。
ただ、ペットボトルもリサイクルは不純物をなくす問題があり、リサイクルに出す時には洗浄したり、PP製のフタをとったりしないといけません。
本気で環境問題を考えるのであれば、理想は無印がやっているような、無印専用ボトルを持参して給水するウォーターサーバー型だと思います。(※無印の場合は天然水ではなく水道水を濾過したもの。)
ローソンの紙パック天然水を買う価値はあるのか、というと高すぎて敬遠されるとは思います。消費者にはメリットなんてないのでは?と思うかもしれません。
ただこのテトラパックの飲み口は標準的なペットボトルの直径20mmの飲み口よりも大きく26mmあるため水が口に入ってきやすい。そういう飲みやすさの感覚は人によっては魅力的になるでしょう。また、外出時に持っていった時に、飲み終わったらたたんでカバンに入れれば圧迫しにくいです。
環境面については、ペットボトルのリサイクルが面倒だった人が、この紙パックタイプを買って、燃えるゴミへ捨て、「そのまま捨てれるから楽ちんだ~」となるパターンもあるかもしれません。
また、いくら脱プラを謳っても、今までペットボトルを買っていた層が紙パックに移行しないと意味がないと思います。今までペット飲料を買っていなかった層が物珍しさで新規で買った場合は脱プラには全く意味がないということ。
ローソンはローソンオリジナルのペットボトルタイプの天然水を販売終了してこの紙パックに移行してこそ脱プラを取り組んでいると言えるのではないでしょうか。ペットボトルタイプを並行販売しての脱プラだといまいち説得力がないかもしれません。