人件費を削るためあの手この手を打ってくる会社。正社員を極限まで減らし、代わりに賃金が安い派遣やバイトに入れ替える。さらに人件費を減らすため残業を切り詰める。残された正社員の給料もいかに減らそうかと必死だ。
定時で終わる会社というのは聞こえがいいが、いい会社とは限らない。表向きは定時だが、その裏でサービス残業が行われていたり手抜き作業がまん延したりする。
これは昔私がいた会社で実際あった話です。
タイムカード押してから残業
会社は人件費を削るために正社員をギリギリまで減らす。代わりに賃金が安い派遣やバイトを入れる。派遣やバイトなどが入ると言っても人数はギリギリ。一人あたりの仕事量は増え、定時で終わらせることが物理的に無理ということも珍しくない。
こうなると残業が増えてしまう。しかし残業が多いと役員から上司が怒られる。そこで上司はこういう方針に出てきた。
「残業するときはタイムカードを押してからやれ」と指示。
これは卑怯なやり口で違法行為です。これは会社の社長や役員に内緒で勝手に行われていた。
タイムカードは本来出社時と退社時に本人が押すもの。つまり出社と退社時刻が記録されるもの。それを定時で押すように強制、あるいは圧力をかけてくる。つまり闇残業(サービス残業)を強いてくるのだ。
押していないと不機嫌な顔になり「押しとくぞ!」と言って勝手に押される。たまったもんじゃない。
これは出勤簿の偽装行為。これではタイムカードの意味なんてない。押す時間を強制するタイムカードなんてタイムカードではない。押す時間が最初から決まっているなんてありえない。
このタイムカードを押してから残業というのは、繁忙期以外で日常的に行われていたが、月末や年末などは全体が遅くなるので不正せずに普通に退社時に押す感じだった。そこで会社が残業を減らすために次の手段をうってきた。
定時で退社させる代わりに早出
定時でタイムカードを押して残業しろ!というのは上司の命令だったが、ある日会社の役員が朝礼に来てこう言い放った。
「残業はなるだけするな!残った仕事は翌日朝早く来てやれば済むこと!」
しかしこの言葉を聞いたとき、「この人大丈夫かな?」と思った。朝早くからやってもそれは残業。時間外労働で立派な残業だ。結局同じことである。
しかし彼が言いたかったことは朝早く来てタダで仕事やれという意味であることが雰囲気ですぐにわかった。なぜなら残業代を減らすのが狙いだからである。
翌日に朝早く来てタイムカードを押さずに残った仕事を片付け、そして定時の朝8時で押せという圧力だった。つまりサービス残業。早出をしてタダ働きすれば残業が減るという理論だったのである。
効率優先の背景に手抜き作業がまん延
定時で終わる人は優秀で、残業する人は無能というような言葉もネットで見ることがあるが、私が以前いた会社はその評価は間違っていた。
人件費を抑えるためギリギリまで人を減らされた環境で、1人で2人分の仕事をするような環境では定時で終わらせることは難しい。それでも会社は定時で終われと圧力をかけてくる。
そういう環境で定時に終わらせるには効率が大切だがそれにも限界があり、最大効率でやってもとても定時には終わらないなんて日常。
そこで正規マニュアルや安全性よりも効率を最優先した作業をする人ばかりだった。
しかし正しい方法でやらずに効率を優先した作業をすると、運悪く一発失敗したときのダメージがとても大きい。しかしなにか起こると会社は「なんで正しいやり方でやらなかったんだ。」と言ってくる。つまり自己責任となってしまう。
会社「物理的に無理でも定時で終われと強い圧力」→社員「正規のやり方では終わるのは不可能」→社員「マニュアル度外視の効率優先で強引に終わらせよう」→「トラブルや事故発生」→会社「手抜きや非マニュアルでやれとは言ってない」→「社員は始末書」
マニュアルを度外視した効率優先というやり方はとても危険である。例えば車の配達で効率を優先し、制限速度や一時停止、赤信号を無視しているのと同じ。
しかしバレなかったり、事故もなければ仕事が早く終わってしまう。
こういう感じで、マニュアル無視で効率優先して定時に終わっている人は会社からは優秀だと高く評価され、正規マニュアル通り真面目にやって定時に終われなかった人は低い評価で叩かれるというおかしな現象があった。
最後に
すべての会社がこのようなパターンではないと思いますがこういう会社も実際にあったという現実を知ってほしかったので記事を書きました。
会社は無駄をなくすために必死で、社員の数を減らしたり、残業をなくして給料をいかに低く抑え込むか必死に考えてくるが、まずは無駄な作業文化(意味のない儀式)をなくして効率化していくべきだと思う。
詠唱するばかりの長い朝礼の儀式。誰もがわかりきった理論を繰り返すだけの無駄な自己満足会議。多すぎる書類作成や提出書類。こんなものは簡素化したり、不要であればなくすべき。意味のない作業に貴重な時間を大量に費やしているのが1番無駄で非効率なのです。
歳を重ねた上層部は昔の文化が染み付いていて頭が固く聞く耳を持たない。自分たちが昔やってきたことが正義だと思いこんでいる。これじゃ会社は良くなりません。