エンジンオイル缶に、使用したエンジンオイルに長時間触れた場合、動物実験では皮膚がんになる可能性があることが報告されています、という内容の注意記述を見たことがありますでしょうか?
これ、気になりませんか?
発がん性についての研究
使用済みのガソリン車オイルには発がん性があり、使用済みディーゼル車オイルには発がん性はなかったとする1988年の研究。
Carcinogenic potential of gasoline and diesel engine oils
Richard H.McKeeRobert T.Plutnick
https://doi.org/10.1016/0272-0590(89)90291-1
使用済みガソリンエンジンオイルの発がん性は、ガソリンの燃焼中に潤滑システムに蓄積する多環式芳香族化合物(PAC)の濃度に起因。
EFFECTS OF KEROSENE CLEANING ON THE FORMATION OF DNA ADDUCTS IN THE SKIN AND LUNG TISSUES OF MICE DERMALLY EXPOSED TO USED GASOLINE ENGINE OIL
Jin Heon Lee, Glenn Talaska
Pages 463-470 | Published online: 30 Nov 2010
https://doi.org/10.1080/009841099157926
注意するべきことは
ガソリン車の使用済みエンジンオイルが皮膚に長時間付着すると皮膚がんになる可能性はあるということです。これはエンジン使用中にオイルが汚染されることが原因。
念を押しますが、新品オイルではなく使用済みオイルの話です。
この、皮膚がんになる可能性というのは、通常では考えられない環境を人工的に作り上げたマウス実験によるもので、職業上オイルで毎日汚れているなど特殊な環境を除けばあまり神経質になる必要はないと思います。
年に2回ほど自分でオイル交換作業という程度であれば、皮膚に付着したあとは速やかに除去すればほぼ心配はないはずです。
しかし触れないに越したことはありませんし、どうしても心配な人はゴム手袋などを使用し、使用済みオイルに触れないようにするだけです。私はゴム手袋をしています。
エンジンオイル交換時であれば、廃油で汚れるとすればドレンボルトを外すときと、オイルで汚れたボルトをつまんで洗浄するときくらいですから、工夫すれば汚れない方法はいくらでもあると思います。
それでも作業中に不注意で手が汚れた場合は、作業へ影響がない程度にペーパーやウエスで拭き取り、作業を終えた後に食器用中性洗剤などでしっかり手を洗う感じでいいかと思います。
皮膚についたオイル汚れを落とすには
石鹸より食器用洗剤のほうが綺麗になります。専用のハンドクリーナーを利用するともっと綺麗になります。爪の周辺はなかなか汚れが取れませんが歯ブラシを使うと狭い場所の汚れも落ちやすくなります。
大切なことは、皮膚に付着した使用済みエンジンオイルをしっかりと洗浄し、皮膚(指紋の溝や爪の間含め)にオイルを残さないことだと思います。
おすすめの専用のハンドクリーナーの商品リンクも貼っておきます。
これは蓋を開けると柔らかい紙粘土のようなペースト状のものが入っていて、適量を団子のようにとって手に刷り込みながら洗います。ペースト状のものは水に溶け、汚れと一緒に流れていきます。
石鹸ではなかなか取れないような爪の間や指紋に入り込んだオイルの黒い汚れがきれいに落ちていきます。
バイクショップで購入して使ったことがありますがこれはかなりおすすめです。
私は中身を小さなプラスチック保存容器に詰めて外出先に携帯して使ってました。紙粘土みたいな感じなので詰め替えがやりやすいです。
パーツクリーナーで手洗いはいいのか?
パーツクリーナーで手を洗浄する人も多いかと思いますが、たしかに一発で隅々まで綺麗にはなります。しかし使用方法としては間違った使い方であり、皮膚に付着するとかぶれる恐れがある旨の注意事項か書かれています。
私も以前はやっていましたが、正しい使用方法ではないので、記事上ではおすすめとは書けません。
また、パーツクリーナーは引火性が強いので、皮膚に吹きかけてもし引火すると大変なことになります。
パーツクリーナーで手を洗った後、煙草を吸おうとライターに火をつけた瞬間両手に引火した 厚生労働省 職場の安全サイト