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現在もベビーパウダーに使われる「タルク」が安全なのか調べた

2020年、ジョンソン・エンド・ジョンソン( J&J)のベビーパウダー集団訴訟で、ベビーパウダーのアスベスト問題がニュースになりTwitterでも騒がれました。

アスベストと言えば石綿。ベビーパウダーに発がん性のアスベスト?ピンとこない人も多いかもしれません。

ベビーパウダーの原料に使われているタルクに不純物としてアスベストが混ざることがあるというもので、過去にアメリカや日本でアスベストが微量に検出された過去があります。

そのためタルクの入ったベビーパウダーは危険だとして警戒する人も増えました。

現在、国内メーカー各社はタルク使用のベビーパウダーについて、アスベストは検出されていないとして安全性に問題はないとしています。しかし、消費者の不安は消えていません。

タルクを使ったベビーパウダーは安全なのか、調べてみました。

タルクとは

ベビーパウダーの原料に使われるタルクとはいったい何だろうか。

タルクとは滑石と言われる柔らかい鉱石で粘土鉱物と言われます。硬度は爪より柔らかい。このタルク粉末が余分な水分を吸い上げ、肌の滑りも良くするため、ベビーパウダーに使用されます。

タルクと発がん性のあるアスベストが紐付けられることが多いですが、タルクそのものがアスベストではありません。アスベストが含まれた鉱石がタルクという意味でもありません。純粋なタルクであればアスベストを含みません。

問題はアスベスト鉱石とタルク鉱石が同じ鉱床に存在するということが多く、アスベストがタルクに混ざってしまうことがあるということです。つまり原料タルクの不純物となっているのです。

タルクの発がん性は

アスベストを含まないタルクの発がん性は、国際がん研究機関のIARC分類では、吸い込んだ場合はグループ3(ヒトに対する発がん性を分類できない)、性器領域の使用でグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)となっています。

一方、アスベスト(および「アスベストを含むタルクも含むべきである」と記載)はグループ1(ヒトに対する発がん性がある)となっています。

※IARC分類は発がん性の強さを示す目安ではなく、発がん性の科学的根拠の強さを示す目安です。

その他がん研究関連の機関をまとめるとこのような感じです。

タルク鉱山の職業暴露(吸入)での肺がんリスク増加は十分な証拠が認められない。タルクベースのベビーパウダーを使用しても、肺がんのリスクが高まるという報告はない。

性器領域にパウダーを使用したときの卵巣がんとの関連性については、症例対照研究とコホート研究の結果には一貫性がなく十分な証拠にはならないとのこと。つまりあるかもしれないしないかもしれない、よくわからないということです。

なぜ卵巣がんでベビーパウダーに疑いがかけられたかというと、きっかけは卵巣がん患者の患部にタルクが溜まっていることが発見されたからです。

卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの予防 (PDQ®) – 医療専門家版|アメリカ国立癌研究所
Ovarian, Fallopian Tube, and Primary Peritoneal Cancers Prevention (PDQ®)–Health Professional Version|Cancer.gov

タルクパウダーとがん|アメリカがん協会(ACS)
Talcum Powder and Cancer|American Cancer Society (ACS)

厚生労働省は卵巣がんリスクについては特異な用途及び適用経路(性器領域に使用したタルクが卵巣へ移行したときに起こり得ることは通常はありえない)におけるものと判断して、アスベストを含まないタルクについてはGHS分類(危険有害性)に分類できないとしています。

ただ、呼吸器障害についてはGHS分類で区分1 (危険・呼吸器の障害)「長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害」となっています。特に注意するべきなのが職業暴露ですが、ベビーパウダー製品使用時にもあまり吸い込まないほうがいいようです。

ベビーパウダー訴訟とは

ベビーパウダー訴訟とは、アメリカでジョンソン・エンド・ジョンソン( J&J)製のタルクベースのベビーパウダーを使用して卵巣がんになったと訴える患者が、メーカーがその発がん性を隠蔽したということで集団訴訟となり、多額の賠償金の支払い命令が出たものです。

2018年にFDAがジョンソン・エンド・ジョンソン( J&J)製のタルクベースのベビーパウダーから発がん性のあるアスベストをわずかに検出し、製品を自主回収したことが問題を深刻にしています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン( J&J)は2023 年までにタルクベースをやめ、コーンスターチをベースにするという方針を発表しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン( J&J)はタルクべ-スのベビーパウダーを危険だと認めてはいません。その後のジョンソン・エンド・ジョンソン( J&J)の自社検査ではアスベストは検出せず、ベースの変更は需要の変化が理由であり、タルクベースも安全だと主張しています。

一つ言えるのは、裁判は専門家会議ではありません。裁判官は科学の専門家ではなくそれらの知識は素人です。裁判は科学的根拠を決める場所ではなく、専門家会議でもありません。争いを解決する場所です。ゆえに裁判で発がん性が認められたとしても、発がん性があるという科学的根拠にはなりません。

国産製品は大丈夫なのか?

日本でも1986年、ベビーパウダーの一部の製品でタルクの不純物であるアスベストが検出。翌年、タルク原料にアスベストが入っていないものを使うようにと「ベビーパウダーの品質確保について」の通知が出ます。

2006年に「タルクの品質管理について」という通知が出て、アスベスト含有率(重量比)が1%以下だったのを0.1%以下に変更。0.1%の精度が出るための分析方法も基準が決まります。

厚労省では医薬品等に使用される原料タルクに用いられるタルクのアスベスト含有率(重量比)が0.1%を超えてはならないとしています。

ベビーパウダーを販売する和光堂、ピジョンのメーカーはタルクを使ったベビーパウダーについて、公式サイトで「アスベストは検出されていない。」ということ回答しています。

また最近はタルク不使用のベビーパウダーもあります。「ピジョン ベビーパウダー ももの葉」はコーンスターチ原料でタルクは使われていません。

結局タルクは安全なのか?

アスベストだから吸い込んで肺がんリスクが高まるといった勘違いした人が多いです。ベビーパウダーの発がん性の議論は肺への吸入による肺がんリスクではないです。

アスベストが微量に含まれる可能性があるタルクを使ったパウダーを肺に吸い込んでも発がん性リスクが上がるといった報告はありません。アスベストそのものは肺がんリスクがありますが、タルク鉱山での労働者でも肺がんリスクの有意な増加は確認できていません。

タルクが使用されたパウダーを使っての発がん性は、卵巣がんについての可能性があるかないかで議論されているものです。これは局所に使われたタルクパウダーが卵巣へ入り込んで卵巣がんのリスクが高くなる可能性についてですが、通常は卵巣に入り込むことは考えられないものです。

あせもやただれ防止のためにベビーパウダーを使用して、皮膚に付着したり、舞い上がったものを吸い込んで懸念される発がん性の心配ではありません。タルク原料に混ざる可能性があるアスベストも検査しているので心配不要です。

ゆえにほぼ心配は不要。

ただ、タルクパウダーを肺に吸い込むと呼吸器障害のリスクがありますので、なるだけ吸い込まないほうがいいでしょう。

どうしても心配な人はタルク不使用のベビーパウダーを購入するといいです。

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