スマホやPCに普及しているLEDモニタからはブルーライトが出ています。
このブルーライトは眼精疲労や睡眠障害などを引き起こすと言われ問題になっています。
ブルーライトは別にスマホやPCに限ったことではなく、室内照明からも出ていますし、自然光にも存在します。スマホやPCで問題なのは光源を直視していること、しかも直視している時間も長く距離が近い。
現代人はスマホやPC画面を注視している時間が長く、多くの人が関わっている問題です。仕事柄PCを1日中操作している人は、それだけ影響も大きい。今日はその問題について。
ブルーライト
ブルーライトは波長が短い可視光線。読んで字の如く青い光。
LED液晶のスマホやPC画面云々言われるが、自然光にも蛍光灯にも白熱灯にも、スマホやPCではないLED照明にもあります。
なぜなら白く光っている電球でも、そもそも白の光の波長というものは存在せず、白い光をプリズムに通し、色分解すると鮮やかな7色が出てきます。白い光はこれらで構成されています。
室内などに使うLED照明は主流としては白を表現するために青と黄色を使います。なぜそうなるかと言うと青のLEDを使って黄色を組み合わせて白を作り出すほうが発光効率がいいから。
一方スマホやPCの液晶で採用されているLEDは、白色LEDにRGBの3原色フィルタを使用してフルカラーを表現。そのバックライトの白色LEDには青色LEDが使われ白い光を作り出しています。
ブルーライトが及ぼす影響
ブルーライトが人間の体に及ぼす影響は2020年2月の段階ではまだ完全には解明されていません。
網膜への損傷があるかないかは現在専門家の間で激論中ですが、眼精疲労と睡眠障害の影響はほぼ確定している感じです。
眼精疲労
ブルーライトは波長が短いという光の特性上、像がややぼやけて見えるため、目が疲労しやすい。
目はオートフォーカスになっているので、焦点が合わないとずっと焦点を合わせ続けようとします。このため目への負担が大きくなります。
睡眠障害
睡眠前にブルーライトが目に入ると体内時計が狂い、睡眠障害を起こすと言われています。
網膜へ損傷があるかどうかは結論が出ていない
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)はブルーライトは目に対して毒性があり、加齢性黄斑変性症に影響するとしています。
https://www.anses.fr/en/content/leds-blue-light
網膜の損傷を引き起こすとする研究。
Blue light excited retinal intercepts cellular signaling
Ratnayake, K., Payton, J.L., Lakmal, O.H. et al.
https://doi.org/10.1038/s41598-018-28254-8
一方で米国眼科学会(AAO)はブルーライトは目を損傷しないとしています。
No, Blue Light From Your Smartphone Is Not Blinding You
https://www.aao.org/eye-health/news/smartphone-blue-light-is-not-blinding-you
ブルーライトの影響から守る
ブルーライトカットフィルムなどで低減
スマホやPCに市販のブルーライトカットフィルムを使う、またはブルーライトカット眼鏡をかける。
これで20–60%のブルーライトがカットできます。ただし、神奈川県の調査によれば、2,000円を切るような安い眼鏡はカット率が公称値より実測値が低い傾向にあるようです。
ブルーライトカット眼鏡の透過率テスト(神奈川県ウェブサイト)
スマホも使ってPCも使うとなればメガネは便利かと思います。フィルム貼り失敗とかもないし。
画面から距離を取って低減
照度は距離の2乗に反比例。
画面からいつもより少し離れるだけでブルーライトの照度は大幅に減少します。20–30cmで見ているスマートフォン画面を40cmにするだけでも変わります。
ノートPCだと40–50cmの距離から画面を見て使っている人が多いかと思いますが、外付けキーボードとマウスを接続すれば画面から60cmの距離を保って使用可能です。ノートは付属キーボード使用ではどうしても距離が近くなってしまいます。
近視の人は裸眼で画面に無駄に近づいてみるのではなく、メガネを掛けて適正な距離から画面を見たほうが、ブルーライト照度が抑えられ、焦点を合わせる目への負担も減ります。
こまめに休憩して回復させる
ブルーライトは光の特性上、目で焦点を合わせるのに苦労します。よってブルーライトで目は疲れやすいのです。
目が疲れたら目を閉じて休憩し、回復させることが大事。やはり人間の感覚に従うのが正解です。疲れたら休む。
無理に見続ければ焦点が合いにくくなり、画面へ近寄る。するとさらにブルーライトの影響を受ける。すると余計に疲れ、焦点が合いにくくなる。そしてまた画面へ近寄る。という負の連鎖が始まります。
画面の輝度で低減
ギラギラと明るすぎるものは目への疲労度も大きいです。高輝度ノートPCでは初期設定が最高輝度になっていることもあります。適切な明るさまで落とすことでブルーライトはかなり低減されます。
屋外でスマホを使うときは輝度は高めでないと見えにくいですが、夜間室内ではそれほどの輝度は必要ありません。適切な明るさで使いましょう。
ただし輝度は暗くしすぎると、画面コントラストの低下で焦点が合いにくくなり、目が疲れやすくなります。