信号機のない横断歩道では歩行者優先です(厳密に言うと標識と標示の2つ揃って有効)。
これは近年問題提起されてきたが、最近決まった法律ではない。昔からそう決まっていた。ただドライバーと歩行者の暗黙の了解と言うか、車優先という交通社会が出来上がっていた。
歩行者優先はかなりましになったが、まだまだ守る気のないドライバーはいる。海外ではスイスのように30年前からすでに歩行者優先を徹底している国もある。
横断中の歩行者に突っ込む事故もあいかわらず多い。歩行者がすでに半分近く渡り始めているのに猛スピードで突っ込んでくるのもいる。
まずは道路交通法から
道路交通法第38条です。
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
出典:道路交通法第38条
この道路交通法第38条は道路標識及び道路標示が必要となる。これらはどちらも指示標識と指示標示であって片方だけでは効力を発生しない。
法第四条第一項の規定により公安委員会が横断歩道又は自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)を設けるときは、道路標識及び道路標示を設置してするものとする。
出典:道路交通法施行令第1条の2第3項
道路交通法第38条をわかりやすくすると
信号機のない横断歩道や自転車横断帯を通過するときは、歩行者や自転車が明らかにいないと確認できる場合を除いて、直前で停止できる速度で進行しなければならない。歩行者や自転車が横断歩道や自転車横断帯を渡ろうとしていれば停止し、横断を妨げてはならない。
違反した場合
横断歩行者妨害等
点数
2点
反則金
大型車12,000円
普通車9,000円
二輪車7,000円
原付車6,000円
自転車がいる場合
横断歩道で自転車(またがった状態)が渡ろうと待って場合は、停止する義務はありません。自転車は軽車両で歩行者ではありません。
ただし自転車から降りている場合は歩行者扱いですので停止しないといけません。
また、「自転車横断帯の標示」と「自転車横断帯(または横断歩道・自転車横断帯)の標識」がある場合は、自転車にまたがって渡ろうとしていたら歩行者の時と同様に停止しなければなりません。
信号機のない横断歩道の現状
日本では昔から暗黙の了解となっているのか人が渡ろうと待機していても殆どがそのままスルーでした。歩行者もそれをわかっていてか当たり前だと思っていた。そういう空気が出来上がっていました。
しかし最近はこの問題が提起され一般認知されてきたのか止まる車も徐々に増えては来ました。けれどもまだまだ少ないのが現状です。
私が住む福岡市だと、2023年現在では結構改善してて体感的に止まるのは10台に6-7台くらい。まあ場所によりますけどね。けれどこれは本来10台に10台が止まるべきです(渡ろうとする歩行者がいた場合)。
歩行者が半分渡りかけ、道路の真中付近まで着ているのに、全く速度を緩めず突っ込んでくる車も珍しくない。そのまま渡ったら間違いなく跳ねられるだろう。実際、横断歩道で横断中の歩行者が跳ねられる事故は全国で多い。
稀に車が止まれば、歩行者は申し訳なさそうに小走りで渡っていく。しかし走る必要などないんですよ。堂々と歩いて渡っていいんです。
お年寄りが横断歩道を小走りで急いで渡っているのを見ると、そういう道路交通環境が悲しくなります。万が一転倒したら危ない。
また、歩行者が渡ろうとしていたのでドライバーが停止すると、後方のドライバーが急ブレーキかけてぶつかりそうになってきたり、一時停止中にクラクション鳴らしてきたり、あるいはドライバーが車を一時停止して歩行者が渡り始めると、後ろの車が追い越しをかけきて横断中の歩行者を危うく跳ねそうになることがあります。
こういう危ないドライバーは横断歩道にはまるで興味が無いようです。こういう問題もあってか分からないですが、最近は横断歩道がある場所によっては追い越しできないようにポールを設置しているところもあります。
またどうしても改善できないところは信号機が設置されるパターンもありました。その代わり信号機を設置すると今度は歩行者が高確率で信号無視をするようになりました。なので信号機が意味をなしていません。
横断歩道を渡る歩行者は、横断時に車が止まってくれたらドライバーへ軽く会釈や手でありがとうと何かしら合図を送るなどしましょう。そのほうが互いに気持ちがいいはず。
それと止まらない車も悪気があるわけではない場合もある。
昔は歩行者優先をよくわかってないドライバーもいましたが、最近はニュースなどでも何度も取り上げられ、SNSなどでも拡散されたおかげで歩行者優先は周知されました。
ここまで来るともはや歩行者優先を知らないというドライバーはいない状態です。これをわかっていてあえて止まる気が一切ないドライバーは悪質だと思う。
スイスの場合
スイスでは信号機のない横断歩道で人が渡ろうとすると車はほぼ100%止まります。
スイスへ行ったときにこれはちょっとしたカルチャーショックを受けました。とにかく半端ないんです。これは昨日今日始まったことではなく、初めて訪れた90年代からすでに徹底。
すでにスイスでは当たり前であり常識であって、このときは本当にびっくりした。
インターラーケンなど比較的交通量の多い通りでさえ、横断歩道の前に立つと早速次に来る車がすぐに止まってくれる。チューリッヒでは路面電車が止まって歩行者に譲っていた。
当時から日本でも道交法ではスイスと同じように止まらないといけない決まりであったが、誰も守らなかった。守っていたのは警察車両と教習車だけだった。
ただ、スイスでは最近問題になっていることがあり、止まって当たり前という認識が完全に定着していて、最近歩行者が車が停止する前に無理に渡り始め、跳ねられる事故が起こっているらしいです。
いくら歩行者優先とは言え、日本でもクルマが確実に止まってから渡るようにしないといけません。
最後に
信号機のない横断歩道は歩行者優先。
信号機のない横断歩道では歩行者を優先するのが決まりです。
とくに子供や老人には十分に配慮しないといけません。また横断する歩行者をアクセルふかして急かすのもやめてください。高齢者などを急がせると転倒することもあります。
- 横断歩道では渡ろうとする歩行者がいたら車は停止して歩行者に譲る義務があります。
- 横断歩道を通過する際は人がいるかどうか必ず確認。
- 横断歩道に人がいるんだが渡るかどうかわからない、そういうときはとりあえず一旦停止するくらいの気持ち。横断を遠慮している場合が多いです。
- 夜間や物陰などで歩行者がいるかわかりにくいようなときはいつでも止まれるよう十分減速して、安全を確認してから通過する。
安全第一です。事故を起こしてから後悔するドライバーが多い。