2020年1月15日よりスイスのジュネーブの中心エリアで、光化学スモッグ発令時に有害な車種の走行を禁止するということです。
車に各種ステッカーを張って見分けます。違反すると罰金があります。
スイスでは100年以上前から世界に先駆けてツェルマットなど一部のアルプス地域でガソリン車が進入禁止となっています。利便性よりも環境を優先するスイス。日本も見習うべきなのか見ていきましょう。
光化学スモッグとは
- 揮発性有機化合物
- 窒素酸化物
- 紫外線
これらが合わさって
光化学オキシダント
を作ります。
この光化学オキシダントが増え、空気中が霞んだようになり視界が悪くなった状態が光化学スモッグです。
この原因に、工場や車の排気ガスが関係していると言われています。光化学スモッグは大気汚染のひとつであり、吸い込むと人体に悪影響があります。
光化学オキシダントはPM2.5のような粒子状物質ではなくガス成分なので市販のフィルタータイプのマスクをしても防止はできません。
注意報が出たら外出を控え窓は閉めることが対策になります。
ジュネーブの規制
スイスのジュネ-ブで2020年1月15日より、光化学スモッグ注意報発令時に車の走行を一時的に規制するルールが始まります。対象地域はジュネーブの中心部。緊急車両などは例外。
ドライバーは環境性能ごとに6色に分けられたStick’Airというステッカーを5スイスフラン(550円ほど)で購入し車に貼ります。発令が出ると発令の段階によって、ステッカーで区別された順番で環境に悪い順に走行が禁止になります。
違反すると最高で500スイスフラン(約5万5,000円)の罰金が課せられます。猶予期間があり罰金適用は2020年4月1日より。汚染ピーク時には市内公共交通機関を一時的に無料にするようです。
詳細なエリアなどは以下のリンクから確認できます。
Stick’AIR and the differentiated traffic scheme (République et canton de Genève)
日本における光化学スモッグ対策
- 揮発性有機化合物(VOC)、窒素酸化物(NOx)の排出規制。
- 各業界でVOC削減への取り組み。
- 光化学オキシダント濃度の測定。
光化学スモッグ注意報発令時の対策は、外出や車の使用を控えるよう注意を呼びかけるくらいで、規制などはありません。発令があっても気が付かずに普通に過ごしている人も多いのが現実。
↓ 光化学オキシダントやPM2.5など現在の大気汚染の状況がわかる便利サイト
そらまめ君(環境省大気汚染物質広域監視システム)
利便性を犠牲にしても環境を優先するスイスの姿勢
ツェルマットやヴェンゲン、ミューレンでガソリン車乗り入れ禁止、大型トラックの通行禁止、スイスアルプスを通過する外国の貨物トラックを走行禁止にして鉄道へトラックを乗せて運ばせるなど、スイスの環境に対する思い切った規制には驚くことが多い。
ガソリン車を締め出すなんてことは、車最優先社会の日本では到底考えられないし無理でしょう。
このジュネーブの対策が有効であるかどうかは賛否両論があります。ただ、環境に対する本気度を感じます。日本だと利便性を損なうリスクがあればまず実行されない。
光化学スモッグは日本で1970年頃大きな問題となりました。80年代にぐっと改善されましたがその後横ばい。現在もなくなったわけではありません。
光化学スモッグ対策は継続して取り組んでいく問題です。