肉と魚の焦げの発がんリスクを気にしてますか?

肉や魚の焦げは発がん性があると聞いたことがあると思います。

そういう情報が広まった当時は焦げをかなり警戒する人は多かったが、最近ではあまり気にしなくなった人が増えました。

この焦げの発がん性についてきちんとした情報源からこれを調べると、これは肉や魚の焦げた部分だけではなく高熱で熱せられたり煙でさらされた肉や魚にあるようです。これは発がん性が科学的に確立したものではなく、おそらく発がん性があるというもの。

この高温調理された肉や魚とどう接していくべきか、リスクをおさらいしながら考えていきましょう。

肉や魚の焦げのリスク

肉や魚の焦げに発がん性が・・・と言われるのには根拠があります。

肉や魚を高温(150度以上)で熱するとDNAに変異を引き起こすHCA(ヘテロサイクリックアミン=複素環式アミン)およびPAH(多環式芳香族炭化水素)が発生します。これは焦げた部分に限ったことではありません。

肉が高温で熱せられた部分にHCAが、焼いたときの煙にはPAHが発生し肉に付着。フライパンで肉を焼いたりグリルで魚を焼いたりしてHCAが、そして滴った脂が煙になってPAHが肉に付着。煙というとイメージがつきにくいですが、肉に、有害なタバコの煙を吹き掛け続けたようなイメージで考えるとわかりやすいでしょう。

このHCAとPAHが体内の特定の酵素によって代謝された後にのみ、DNAに損傷を与えることができるようになります。

国際がん研究機関(IARC)ではHCAの一つである2-アミノ-3-メチルイミダゾ [4,5-f] キノリン (IQ)が発がん性グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に、それ以外がグループ2B (ヒトに対して発がん性の可能性がある)に分類。

ちなみにこの分類は毒性の強さを表すものではなく、科学的根拠の強さを表すものです。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)のページには高濃度のHCAとPAHを与えた動物実験では発がん性が認められたが、食品中のHCAとPAHが人の発がん性リスクを高めるかという証拠は確立されていないと書いてあります。

しかも研究で用いられたHCAとPAHは通常の食事で摂取する量の数千倍であるということ。さらにそれが人に対して発がん性があるかどうかという証明は確立されていません。なぜ人の食事の摂取量ではなく、高濃度で研究するかというと、その物質が有害であるかという科学的な確実性を確かめるためです。

高温調理肉に実際どれくらい含まれるか

では高温調理した肉類が実際どれくらいHCA(ヘテロサイクリックアミン)が含まれるのでしょうか?

内閣府食品安全委員会の「食品中でのヘテロサイクリックアミンの含有実態調査報告書」での測定によれば、通常の高温調理では極めて低濃度でほとんどが検出限界未満。直火でかなり焦げめが入るほど強めに焼いたときにのみ比較的高濃度で検出されたという結果が出ています。

常識的な範囲の焼け具合ならば検出限界以下というほど微量であるということです。ただ、かなり焦げ目が入ると高濃度で検出されていて、強火で焼けば焼くほど数値は高くなります。

「焦げの部分の発がん性について」を論点とすれば、炭化した部分はそれなりに高い数値です。しかしそれが深刻なレベルかというとそうではないようです。

このヘテロサイクリックアミンは摂取量についての基準はありません。厚労省での注意喚起はありませんし、農林水産省では気になるようなら取り除いて食べれば良いでしょうと回答しています。日常想定される摂取レベルで発がんリスクが上がるようであれば行政機関からなんらかの告知がありますので、それがないということは極めてリスクは低いといえます。

焦げた部分を1トン100年間食べるとがんになる?

焦げに関しては現段階では特に気にしなくいいという感じです。SNSでも焦げは気にしなくていいよというような旨のツイートが多いです。

この安心材料として、「発がんは焦げた部分を1トン100年間食べる量に相当する」と言った情報がSNSやサイトでかなり多く見られました。元のソースがわからなかったので検索してみたところ、似たような表現をした内科専門医の記事を発見しましたのでそれが元のソースかもしれません。

動物実験では人が通常の食事で摂取するHCA量の数千倍で行われていますが、焦げた部分だけを毎日大量に食べる場合は平均摂取量を何十桁も超えることになります。その情報は、焦げた部分ではなく、150度以上の高温で加熱した肉を1トン100年の誤りではないかと思います。

元にその専門医の記事では「焼き魚を毎日1トン100年間」という表現がされていて、焦げた部分を1トンとは書いていません。つまり多くの人は文章の中身を改変して転載してしまっていることになります。

さすがに焦げた部分ばかりを毎日1トンは無理としても、焦げのみを何百グラムと大量に食べるようなことは平均摂取量を想定外のレベルまで引き上げますのでしないほうがいいです。というか苦すぎて普通はしないでしょうけど。

結論

バーベキューなどグリルで炙って黒い焦げがちょこっとできるくらいであれば焦げごと食べても全く心配する必要はないでしょう。

ただ、あまりに真っ黒に焦げすぎているとさすがに普通の人は苦くて食べられません。多くの人は焦げた部分を大雑把に剥がしてしまうでしょう。こんな流れで全く問題はありません。

仮に発がん性リスクが増えるほど焦げ肉を大量に食べつづけようとしても、それ以前に食べ過ぎは別の問題を引き起こします。生活習慣病です。

肉であれば動物性脂肪の飽和脂肪酸の摂りすぎは生活習慣病の原因となります。魚であっても種類によっては過剰摂取は水銀の過剰摂取になったり、通風のリスクを上げることになります。これらのほうが遥かに早い段階で健康に悪影響を出すことになるでしょう。

つまり焦げのある肉や魚を大量に食べても、その焦げの害が出る前に別の問題が来るということです。

高温で調理された肉に含まれる化学物質とがんのリスク|アメリカ国立衛生研究所
Chemicals in Meat Cooked at High Temperatures and Cancer Risk – National Institutes of Health

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