※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

【昆虫食】食用コオロギのデマ・誤情報がひどいことになっている

陰謀論サイト、週刊誌などでコオロギデマが発信され、それを元にTwitterで拡散されとんでもないことになっています。かなり大規模な陰謀論です。

コオロギはボツリヌス菌が・・発がん性が・・重金属が・・寄生虫が・・まるで食用コオロギを食べたら即死するような叩かれようです。

現在の日本人は昆虫食に馴染みがないため、心理的要因から不要論を唱える人は多いのは仕方ないとは思いますが、誤った情報を広げるのはダメだということで、記事を書きました。

この記事は陰謀論者へ向けた反論ではなく、一般の人が誤った情報に流されないようにするためのものです。

きっかけは食品安全委員会

デマのキッカケは食品安全委員会に乗せられたヨーロッパイエコオロギのリスクプロファイルです。

ここに書かれている「ヨーロッパイエコオロギ」はペットのエサとして一般的に使われている(2018年当時の段階)もので、これを人の食料として考えたものを欧州食品安全機関(EFSA)が評価したものです。

資料は2018年9月のものなので結構前のものが今さらツイッターで話題にされているようです。

欧州食品安全機関(EFSA)の評価が下のようになっています。

(1)総計して、好気性細菌数が高い。
(2)加熱処理後も芽胞形成菌の生存が確認される。
(3)昆虫及び昆虫由来製品のアレルギー源性の問題がある。
(4)重金属類(カドミウム等)が生物濃縮される問題がある。

出典:欧州食品安全機関(EFSA)、新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)についてリスクプロファイルを公表|内閣府 食品安全委員会

彼らはこれを見てコオロギは危険だ、食べてはならないと訴えているのです。

欧州食品安全機関(EFSA)の評価は下のリンクから直接見ることが出来ます。

新しい食品: ヨーロッパイエコオロギのリスクプロファイル|欧州食品安全機関(EFSA)
https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2018.e16082

この評価の結論を見ると、コオロギは食用として用いてはいけないということではなく、「食品としてのコオロギは、他の食品と比較して高い微生物負荷を示すので、コオロギを含む昆虫の特定の衛生および安全基準値を作成する必要があります。」ということです。

デマを主張する人は、食品安全委員会のページにある概要だけを見てかなり危険だと判断していて、情報元である欧州食品安全機関(EFSA)リスクプロファイルの全文を読んでいません。

先程の4つの評価を補足するとリスクプロファイルはこのようにまとめられています。

(1)(2)1分間の加熱では十分ではなく、加熱後に常温保存で再増殖するため、4分間の加熱と急速冷凍を組み合わせると良い。著者は10分間煮沸することを推奨。なお、微生物は飼育環境に依存している。

(3)甲殻類アレルギーと同じ。コオロギを使用した製品にアレルギー表示が必要。

(4)飼料や土壌に汚染物質が含まれているかどうかによって決まる。テストされたすべての重金属 (カドミウム、ヒ素、クロム、鉛、スズ) の濃度は、人間が摂取できる許容レベル内。

ただし、食用コオロギの安全性評価には、市場に出回っている食用コオロギについての研究などがもっと必要だということです。

これは2018年の評価で、これで終わりではありません。リスクプロファイルには続きがあります。

その後の欧州食品安全機関(EFSA)の評価でコオロギは認可されます。

欧州食品安全機関(EFSA)が2021年に公開したヨーロッパイエコオロギ冷凍および乾燥製剤の安全性ではアレルギー誘発性以外の安全性に関する懸念を特定しませんでした。これによりEUはヨーロッパイエコオロギの冷凍・乾燥・粉末を認可。

欧州食品安全機関(EFSA)が2022年に公開したヨーロッパイエコオロギの部分的な脱脂粉末の安全性でも同様に、アレルギー誘発性以外の安全上の懸念を特定しませんでした。これにより2023年1月にEUはヨーロッパイエコオロギ(イギリス名ではハウスコオロギ)の部分的な脱脂粉末を認可。

コオロギに発がん性?

コオロギの外殻のキチン(chitin)という成分に発がん性があるという主張です。これにアクリルアミドが含まれるとツイート拡散されている。

おそらくはロバート・マローン(ワクチンの誤った情報を広げた学者)がウェブサイトで「キチンには発がん性があるという研究がある」と発言したことがキッカケかも知れませんが、その研究がどこの研究なのかは明確なソースが示されていませんでした。ただ、そこにはアクリルアミドとは書かれていなかった。

ちなみに日本語Google、Google英語サイト、BINGで発がん性の文献があるか日本語と英語で検索しましたが一切見つかりませんでした。むしろ抗癌効果や健康効果の文献ばかり見つかる結果に。

キチンに発がん性?出典元はどこにもありません。それらを主張するあらゆるサイトやツイートを見ましたが、全く出典元が示されていません。

アクリルアミドはポテトスナックに多く含まれていますが現在はカルビーなどメーカーの努力でなるだけでないように取り組みが行われています。ちなみにタバコの煙にもアクリルアミドが含まれます。コオロギの外殻についてはソースがありません。

キチン(chitin)とはエビやカニの外殻やキノコにも含まれる繊維状の多糖類であり、一般的には健康に良いとされています。ちなみに多糖類(キチン)は単糖類(ブドウ糖など)とは違います。

単に発がん性と言っているツイートもありますが、土壌汚染されたところで育ったコオロギにカドミウムといったような含まれて云々というのならば、日本人の場合、主食である米からのカドミウムが圧倒的に多いです。これも土壌汚染によるものですが、深刻なレベルというものではなく経年変化としては摂取量は減少傾向にあります。

天然の野生コオロギならわかりませんが、食用コオロギは養殖であり、汚染されていない環境で育てられます。さらに市場に出るものは検査されるので危険なレベルで摂取することはありません。

ちなみにタバコの煙にもカドミウムが含まれます。肺から吸うと吸収率が上がります。

ボツリヌス菌が含まれ危険?

コオロギにボツリヌス菌が含まれるから危険だという主張です。

ボツリヌス菌は土壌などに一般的に存在し、食品ではコオロギに限ったものではなく、果物や野菜や肉、魚、加工食品などなんでも汚染されている可能性があるものです。例えば加工肉はボツリヌス菌増殖を抑えるため亜硝酸Naが使われています。

ボツリヌス菌はコオロギ特有のものではないため、コオロギ製品が他の食品よりも危惧されるという理由にはなりません。

ボツリヌス菌は強力な毒素を作るため、菌が一個でも入っていたら死亡すると勘違いしている人もいますがそうではありません。毒素は強いのは間違いなく、注意しなければならないものですが、イチかゼロ的な(存在するか否か)の考え方は間違っています。

ちなみにボツリヌス菌が増殖すると容器が膨らんで臭いがする特徴があります。こうなると危険です。

ボツリヌス菌は100℃でも死滅しませんが、120℃で4分間加熱することで死滅します。ボツリヌス菌が出す毒素についても80℃で30分(100℃だと更に短い)の加熱で失活します。

詳しい情報はこちら。

食品でははちみつに含まれている可能性があります。ちなみにはちみつは抗菌作用があり、殺菌は出来ませんが菌が増えることも出来ません。乳児ボツリヌス症を予防するため、1歳未満にははちみつを与えないように注意されています。ただし大人は大丈夫です。

ボツリヌス菌が食品などを介して口から体内にはいると、大人の腸内では、ボツリヌス菌が他の腸内細菌との競争に負けてしまうため、通常、何も起こりません。
 一方、赤ちゃんの場合、まだ腸内環境が整っておらず、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出すため、便秘、ほ乳力の低下、元気の消失、泣き声の変化、首のすわりが悪くなる、といった症状を引き起こすことがあります。ほとんどの場合、適切な治療により治癒しますが、まれに亡くなることもあります。

出典:ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。|厚生労働省

寄生虫?

寄生虫なんてあらゆる食べ物に含まれていてコオロギ特有のものではありません。魚介類、豚肉、羊などにも寄生虫は存在します。しかし加熱や冷凍などの処理をすることで皆疑うことなく普通に安全に食べているのです。

コオロギも同じできちんと処理すれば全く問題がないものです。

旧約聖書にイナゴ以外の昆虫は食べてはいけないと記述?

キリスト教の旧約聖書ではイナゴは食べてはならないとなっているという主張です。

聖書の内容は安全性の根拠になるのでしょうか?科学的根拠ではありません。

宗教にはそのルールが有り、例えばイスラム教では豚は食べてはならない、ヒンドゥー教は牛がダメ、ユダヤ教では豚やイカや貝類など。これらは安全性の理由でもないし科学的な根拠ともなりません。

宗教で禁止となっていてもそれが安全性が理由とは限らない。

ちなみに「キリスト教の旧約聖書ではコオロギNG」というツイートもデマのようですが、宗教のルールはコオロギの安全性の科学的な根拠とはならないためスルーします。宗教は科学ではありません。

漢方ではコオロギは微毒で妊婦は食べてはいけない?

漢方ではコオロギには微毒があり、不妊薬なので妊婦は食べてはいけない?

Twitterでは漢方の本に「微毒」と記述された写真が上げられ、それを元に危険だと訴えるツイートが多くあります。

実際調べてみました。やはりこれは本場中国でどう書いてあるのか調べたほうがいいでしょう。Baidu(百度)で中国語で検索したら中国の漢方知識百科事典が出てきました。

これに「小毒」「孕妇禁服」と確かに書いてありました。

Google Chromeページ翻訳
「わずかに有毒」
「妊娠中の方は服用をお控えください」

Google翻訳
「わずかに有毒」
「妊婦は服用禁止」

DeepL翻訳
「少し毒がある」
「妊娠中の方は摂取を控えてください」

不妊薬との記述はありません。「失禁、浮腫、腹水、子供の夜尿症」の治療に使われるようです。

わずかに有毒とはどういうことだろう?と、とりあえず中国国内でコオロギがどう理解されているか、「蟋蟀有毒(コオロギ 有毒)」で検索しました。GoogleやBingではなくBaidu(百度)で検索。Baiduだと中国国内のサイトが大量に出てくるため。

しかしコオロギが有毒だというサイトはなかった。質問箱を見てもコオロギには毒はないという回答ばかり。漢方辞典の記述をコピペしてコオロギには毒はないと回答する人もいたので、漢方の「小毒」とは日本語の毒とは意味が違うのか?と疑問に思い、漢方の「小毒」をBaidu(百度)で検索した。

するとあった。

小毒,中药学术语。指药物的气味性能之猛烈程度最轻者。

出典:「小毒」中药学术语|百度百科 https://baike.baidu.com/item/%E5%B0%8F%E6%AF%92/10778885?fr=aladdin

日本語にすると、「小毒とは、漢方で使われる言葉。薬剤の气味の度合いが最も低いものを指します。」

つまり「小毒」とは副作用が低く効能が穏やかなものということです。

ここにある「气味」をグーグル翻訳で訳すと「におい」となりますが、そのまま翻訳機にかけて「薬剤の臭気性能が最も低いものを指します」というのは違います。ここでの「气味」とは漢方での「四气五味」の略でそのまま訳してはいけません。4つの性質(薬物反応)と5つの味(薬の効能)。つまり漢方での小毒は毒物という意味ではありません。

中国語の「小毒」を日本で翻訳機にかけると「わずかに有毒」となりますが、これは西洋医学の毒とは異なるということです。西洋医学の毒の定義に当てはめ、「小毒」と書いてあるからコオロギにはコオロギ由来の毒素があるというような解釈をしてはいけません。

ただ、コオロギは病原菌を持っているため(生育環境に依存するため野生コオロギは要注意)熱湯で茹でてから使用するようにとアドバイスをする漢方サイトが見られた。コオロギは加熱後に常温保存で菌が再増殖することがわかっているためこれは当然でしょう。

そのためか、体の弱い人は使用しないようにという注意書きをしているところもあります。(※ただし現在食用として販売されている製品は養殖コオロギであり、また殺菌や加工、保存方法が異なるため衛生面は問題ない。)

漢方の本に関しては、自分で野生コオロギを採取し漢方薬をつくる人も対象に書いてあると思われる。

漢方薬で使われる「毒」は特定の毒性や副作用のある薬を指します。薬の「三点毒」と言い、どの薬にも副作用があるということです。

副作用とは利尿作用で、この副作用である利尿効果を利用して薬効を得ているのだと思われます(毒を毒で制すという考え)。

ちなみにこれはコオロギ漢方薬ついての漢方辞典のものです。コオロギ辞典ではありません。これを食用コオロギ商品と混同しないように注意する必要があります。

妊娠中に控える理由は、コオロギ漢方薬の利尿作用によるものか、あるいは病原菌という衛生面によるものが理由かのどちらかではないでしょうか。病原菌については先程書いたように、食用コオロギ商品は全く問題ありません。

食用コオロギ商品にも妊婦に注意が必要なのかという科学的根拠を調べたが文献などは全く見つかりませんでした。コオロギを日本よりも食べているタイではどうなっているのかと、タイ語でコオロギ食と妊婦を検索しましたが有用な情報はなし。これは実際どうなのか興味があります。

そもそも漢方というものは臨床経験に基づいた医学であり、科学的な根拠に基づいた西洋医学とは違いますので、漢方のコオロギ薬の内容が食用コオロギの安全性・危険性の科学的根拠という材料になるのかは疑問はあります。

漢方薬のコオロギも毒はありませんが、漢方薬コオロギと食用コオロギをごっちゃにしてはいけません。食品としての養殖コオロギ製品は漢方薬のコオロギとは別物であり、コオロギの種類、その育成環境や加工工程も異なります。

コオロギはプリン体が多くて危険?

Twitterでコオロギのプリン体が異常な数値であるというツイートを見ました。牛レバー1kgとコオロギパウダー30gのプリン体が同じ1000mgと主張。ただ、そのソースがどこか書いてないにも関わらず、リプライは信じ切った人であふれている。

痛風の原因とも言われるプリン体。

昆虫はプリン体が多いとは言われるが、コオロギのプリン体がどれほどなのか調べました。

You Tubeでも同様にコオロギのプリン体が、ある研究の数値をもとに「危険だ!絶対食べてはならない!」と煽っている人がいて、その研究を見てみた。おそらくこれがソースだろうか。

ここにいくつかの表があり、チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫(ミルワーム・乾燥)、ツヤケシオオゴミムシダマシの幼虫(スーパーワーム・乾燥)、コオロギ(乾燥)、卵白(茹で)、鶏胸肉(茹で)で比較されている。

結論としては「コオロギの幼虫は高尿酸血症や痛風の人にはお勧めできません。」と書かれています。どうやら研究に使われたのはコオロギの成虫ではなく幼虫のようです(ただしコオロギは変態しない。幼虫は小さくて羽がない)。

表を見ると実際コオロギのプリン体は多い。同じ重量で比較した場合、コオロギのプリン体は鶏胸肉の13倍、卵白の88倍、ミルワームの3倍、スーパーミルワームの5倍。

この研究では乾燥コオロギのプリン体は100gあたりなんと3,141.9mg。高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインにある、プリン体が極めて多い目安(300mg)の10倍もある。まあこれを見て普通の人は驚いて「危険だ!食べたら全員通風になる!」と言うかもしれません。

ただ、この研究、総プリンの中にトリオキシプリン、つまり尿酸も含まれた数値。この尿酸がコオロギでは2,218.8mgとなっている。これを引くと923.1mgである。

しかしこれでも半端なく多い。

ただ、このコオロギはDry matter(乾燥重量です。卵白と鶏胸肉はボイルされたもので水分量が多いものとなっています。

昆虫は乾燥重量100%、卵白は11%、鶏胸肉は26%と書いてある。生の昆虫の水分量を70%とするとコオロギのプリン体は100gあたり276.9mg相当ということか。

ちなみに例えば乾燥イエコオロギの1匹の重さは100g入の商品で1,000-1,200匹ほど入っているので約0.08-0.1g。プリン体の1日の目安は400mg。もし乾燥コオロギだけでそれに達するには43.3g、つまり433-520匹食べないといけない。

ちなみにプリン体は水溶性ですので、茹でると何割かは溶け出します。



(追記2023年3月5日)

下の研究でもコオロギのプリン体が調べてありました。

Monika Sabolová, Martin Kulma, Lenka Kouřimská,Sex-dependent differences in purine and uric acid contents of selected edible insects,Journal of Food Composition and Analysis,Volume 96,2021,103746,ISSN 0889-1575,
https://doi.org/10.1016/j.jfca.2020.103746.

この研究によると「ヨーロッパイエコオロギ(ハウスクリケット)では、総プリンの含有量がオスで 6.96 g/kg(乾燥)、メスで 6.01 g/kg(乾燥)。

つまりオスが100gあたり696mg乾燥)、メスが601mg乾燥

仮にこれの乾燥重量が先程の研究のように100%だと仮定すると、水分70%だった場合オスが208.8mg相当、メスが180.3mg相当という単純計算になる。これならば、まあそれでもカツオやクルマエビと同じくらい高いのは高いが常識的範囲でしょう。ただ食べ過ぎは注意が必要ですね。

それとやはり知りたいのは実際の店頭に並んでいる商品での数値。それとコオロギ食が定着した場合、1食あたりの量と頻度がどれくらいのものになるか。

人はコオロギを食べてこなかった?

これが日本についていっているのか、海外含めてなのかよくわかりませんが、タイでは1998年からコオロギの養殖が盛んになり、現在は2万を超える養殖場があり、輸出がされ、国内でも消費されています。

またベトナムやアフリカの一部の国でもコオロギは食されています。

ただ、昆虫食が盛んな中華人民共和国でなぜコオロギを食べてこなかったのか?これも中国でどう理解されているか調べた。

中国人がコオロギを食べてこなかった理由は、中国ではコオロギはコオロギ相撲の伝統文化的な昆虫(1200年の歴史がある)であり、娯楽用のペットであって食用ではないという認識だからです。ただ、雲南省ではコオロギを食べるとのこと。

ちなみにコオロギを食べる国では、一般的に揚げたものをその姿のまま食べるときは、後ろ足と羽は取り除いてから食べるようです。日本では成虫になる直前の羽がない幼虫を食べるようです。

カエルでさえコオロギを食べない?

「カエルがコオロギを食べない、だから危険だ」と訴えるデマの動画が出回っていますが、カエルはコオロギを食べます。動画はおそらく満腹のカエルにコオロギを差し出したのかも知れません。

カエルはコオロギを食べる証拠動画をあげておきます。この動画以外でもアマガエルなどあらゆるカエルでコオロギを食べる動画がYou Tubeにあがっています。

ベビーフードにコオロギ混入で自主回収したから危険?

2015年に和光堂のベビーフード「ごろごろ肉じゃが」にコオロギが混入し、自主回収となりました。これを根拠に、「だからコオロギは危険な食べ物である。」と主張するツイートを見かけます。

衛生管理された場所で養殖され加熱処理されて出来た食用コオロギ製品が危険ということではありません。まず異物混入は商品の原材料成分表示にはないものであって、衛生面やアレルギーの問題もあるためNGです。

混入した野生のコオロギの場合は、汚い場所などどこを這い回ったものかわからないし、どの製造段階で混入したかもわからないため雑菌類が多くついている可能性もあり衛生的によくありません。健康被害が起きれば会社が責任を負うことになります。

食品ロスがあるのに昆虫食は矛盾?

食品ロスは食べ物が豊富だから起きるということではありません。食料不足でも食品ロスは出ます。

需要より供給が多いから起きているものばかりではないのです。物流時の破損による廃棄、メーカー不良品・異物混入の回収、小売店の発注、期限切れによる廃棄(事業者、消費者とも)、加工時の半端物の廃棄、消費者の食べ残しによる廃棄。なので食糧不足になっても食品ロスはゼロにはならないのです。

食品ロスは食品ロスですでに取り組まれていますし、これはこれで別に取り組んでいくものでしょう。

コオロギ食を取り組んだせいで食品ロスが増えるとすれば、あまりに人気がないために売れ残りが生じコオロギを使った食品がロスになる可能性はあります。ただ、コオロギ食の導入の影響でコオロギと接点がない他の食品のロスが増えるということはないと思います。

今現在は平和で食べ物が豊富な日本ですが、食料自給率がたったの4割の日本は輸入に頼っていて、例えば将来海外で軍事紛争が起き食料輸入が激減すると日本で食糧危機になる恐れがあります。

最後に

食用で小売店などに並ぶコオロギは養殖されたものです。土壌汚染などに影響されやすい野生コオロギのリスクよりずっと小さいものです。微生物などは製品加工時にしっかり加熱することで死滅します。これは他の食品と同じで食用コオロギ製品は安全です。

コオロギ由来の毒はありません。

アレルギーに関してはエビ・カニなどの甲殻アレルギー同様、気をつけるべきでしょう。

また、コオロギに含まれるプリン体はクルマエビと同じくらい多いので日常的な食べ過ぎは注意が必要でしょう。ただこれも実際の商品でどこまで含まれているのかという追加の調査データがほしい。ちなみに人体にあるプリン体のうち食べ物から摂取されるのは20%、残り80%は体で作られたものです。

コオロギ食が一般的なタイの国では痛風だらけになっているか?いやなっていない。つまりそういうことです。

現代人は昆虫食を食べる習慣が殆どないので昆虫食に抵抗があるのはわかります。拒絶気味になるのは仕方のないことです。

これは幼少期の食習慣が大きく影響します。例えば日本人はエビや牡蠣、貝類などは平気で食べるのに、見た目が変わらないイナゴやコオロギ、幼虫などは受け付けない。サザエは食べられるのにエスカルゴは抵抗がある。これは幼少期の食習慣によるものです。

赤ん坊は抵抗なく何でも食べるので、次の世代から食習慣が変化すれば、その世代からは昆虫食は抵抗なく普通に食べるように変化します。将来起こり得るかもしれない国内での食糧危機のリスクを考えれば、食糧危機になってさあ昆虫と言ってもすぐに食べられるものではありませんので今のうちから整備することが重要でしょう。

ただ、今の食事に慣れた人には昆虫食は受け入れ難いものでしょう。それはいいんです。仕方ないことだし、何を食べるかは自由です。

僕はどうしようかな。日常的にスーパーなどで並ぶようになったらちょっと食べてみます。常食するからそれから決める。でも値段が高いと食べ続けることはないと思う。

タイトルとURLをコピーしました