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黄色の中央線は自転車は該当しない?メディアのデタラメ記事

道路交通法に関連する記事は車情報などのメディアも数多くウェブサイトで公開していますが、メディアのデタラメ記事の数がとても目立つ。

2023年4月25日にファッションメディアのウェブサイト記事(サイト名は名指しはしないが)で「黄色の中央線は自転車は追い越し禁止に該当しないので自動車は自転車をはみ出して追い越すことが出来る」という間違った内容で公開された。さらに白の実線と破線のセンターラインについても間違った内容で書いてある。

僕のサイトの記事もたまに間違いはあるし、ここはあまり胸張って指摘は出来ないが、少なくとも間違いを見つけたら記事は修正をしている。

このメディアの場合は、コメント欄で道交法の間違いを指摘されている(コメントは1つしかないので目立つ)にも関わらず修正しないまま黄色のセンターラインに関して誤った情報を半年以上公開し続けているのでこちらでその間違いを指摘する記事を書きます。

黄色の中央線の意味

黄色の中央線は規制標示102「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」。これは規制標識314と同じ。

規制の根拠は道路交通法第17条第5項第4号。

当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。

出典:道路交通法第17条第5項第4号

自転車も含まれるとする根拠は、この第4号が書いてある第5項の最初の部分。

車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。

出典:道路交通法第17条第5項

ここに「車両」はとある。車両は軽車両、つまり自転車も含まれており、法第17条第5項には軽車両を除くと行った但し書きもないため、軽車両である自転車も含まれる。

車両の定義は道路交通法第2条第8号。

車両
自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。

出典:道路交通法第2条第8号(定義)

メディアの主張する根拠

黄色の中央線は自転車は追い越し禁止に該当しないので自動車は自転車をはみ出して追い越すことが出来る」といった旨の記事を2023年4月25日に書いているメディアは、その根拠として道路交通法第30条を持ち出していた。

第三十条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。

 道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近又は勾配の急な下り坂

 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)

 交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

出典:道路交通法第30条

ここに特定小型原動機付自転車等(特定原付と軽車両のこと)を除くとあるので自転車は除外されているといったもの。

しかし、最初に黄色の中央線の意味を説明したように、この記事は大きな勘違いをしている。

この記事は2023年4月25日にYahoo!ニュースでも紹介され、いくつかのコメントで間違いが指摘されている。また元サイトの記事でもコメントが1つあり、記事の間違いを指摘されていた。

法30条と規制標示102は違う

メディアは道路交通法第30条を根拠とするが、これは法定追い越し禁止の場所であって大きな勘違い。

黄色の中央線である規制標示102は、「追越し禁止」ではなく、「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」である。これは道路交通法第17条第5項第4号が根拠となっているもの。

法第30条を根拠とする「追い越し禁止」は規制標識314の2及び補助標識508の2が合わさったもの。これははみ出し関係なく追い越しが禁止。

法第17条第5項第4号を根拠とする「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」は規制標識314または規制標示102。原則道路標示で規制が行われ、必要に応じて規制標識も設けられる。これは追い越しのために黄色線を超えて通行することは出来ないが、はみ出さなければ追い越しそのものはOK。

道路交通法第30条は「法定追越し禁止場所」の部分。「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」についてではない。よってメディアの記事は間違いである。黄色の中央線は自転車を追い越す場合であっても、中央線をはみ出して追い越すことは出来ない。

交通実態に合わない規制

中央線が黄色の実線である場合、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止である。

厳密に言うとこの規制標示102は標識令の分類では中央線ではなく、車線に設置される規制標示。中央線横にこの規制標示が設置された場合、設置された側の車線が追越しのための右側部分はみ出し通行禁止。道路両側を規制する場合は、この規制標示102が中央線を兼ねるとされる。

この規制標示102は自転車を追い越す場合であっても右側にはみ出して通行ができないが、自転車との側方間隔が狭く、自転車通行が多いところでは危険な実態があるとして、そういった区間での規制の解除を検討することと行った通達が2022年1月28日に警察庁から警視庁へ出ている。

ただこれは規制標示102の法改正が行われるというものではないことに注意。

実際黄色の実線をはみ出して自転車を追い越すと取り締まりされるのか?というと、積極的な取り締まりはやっていない感じ(ただし状況次第では検挙されないという保証はできないが)。

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