最近あおり運転のニュースでよく聞くパッシングという言葉。
日本では、車がヘッドライトをピカピカと点滅させる意味で「パッシング」という言葉が使われています。「パッシングする」「パッシングされた」と何気なく使うけれど、passingの意味を普通に考えれば実に不思議な使い方です。
この摩訶不思議な和製英語「パッシング」について調べていきましょう。
パッシングとは(日本)
交通で使われるパッシングとはヘッドライトをピカピカと点滅させること。
なぜパッシングが「ヘッドライト点滅」という意味となるのかは、ヘッドライトを点滅させる操作方法を国内自動車メーカーが追い越し合図(パッシング)と呼んでいるからでしょう。
ヘッドライト点滅が追い越しの意思表示で使われるということでパッシング(パッシングライト)と命名されたと思われます。ただしこの用語は道路交通法などにはありません。
「ヘッドライト点滅する」ことを「パッシングする」という言葉は和製英語です。
英語でpassingとは
英語でpassingとはどういう意味でしょうか?
英語圏で交通用語として使われるpassingとはOvertakingと同じく「追い越し」の意味。英語では追い越し車線のことをpassing lanesといいます。
一般的な言葉としてのpassingだと「通過する行為」のこと。
passingはpassの変化形です。
日本で言う、パッシング(ヘッドライト点滅)のことは英語ではヘッドライトフラッシング(Headlight flashing)と呼ばれています。
パッシングの操作方法
車の場合はレバーを手前に引いている間ハイビームが点灯し、離すとレバーが戻って消えます。クイクイっとやれば点滅します。
バイクの場合は右ハンドルにスイッチがあり(ない車種もある)、これを押すと押している間だけハイビームが光ります。カチカチッとやる感じです。
何のためにパッシングスイッチがあるのか
目的は光によりドライバーの注意をひくこと。これはホーンと同じであるが、この場合は音が出ないホーン。つまり光ホーン(optical horn)である。
一般的に使われる例としては、「お先にどうぞ」と道を譲る場合、対向車に道路の危険(事故車や取り締まりなど)を知らせる場合、前を走る車に追い越したいという意思を示す場合など。
音を鳴らすのが適切でない場合、あるいは音が届きにくい、他の音でかき消されるような状況では光による点滅のほうが認識されやすいでしょう。
ただ現在では追い越したい意思でパッシングすることはタブーとなってきている。なぜそうなったかというと、イライラした攻撃的なドライバーが後ろからパッシングする事が多く、後方からのパッシング=煽り行為というイメージが世間一般で定着してしまったせいでしょう。
特に悪気はなく使ったとしても、今では「あおり運転」「攻撃行為」と受け取られ、それを受けたドライバーが怖がる時代。クラクションとは違い、パッシング操作することは道交法で禁止とはなっていないが、追い越し目的で使うことは極力避けたほうがいいと思われます。
よく考えるとおかしな意味で使われる
本来「パッシング」は「追い越す」という意味。
「対向車がパッシングしてきた。」
「後ろからパッシングされた。」
こういう感じで言葉がやり取りされていますが、パッシングは英語で追い越しであるということを考えれば、追い越しの表現以外にまでパッシングという言葉が普通に使われていることがかなりの驚きです。
対向車がパッシング(追い越し)してきた?
後ろからパッシングされた?・・・ん?追い越されてないのにパッシングされたとは?
車を知らない助手席の人が聞いたらなにやらさっぱりわからない言葉になる可能性があります。
パッシング・・・実に奇妙な和製英語です。「フロントガラス」や「ルームミラー」のように装備の名称としての和製英語ならともかく、「パッシングする」という行動としての表現で使われると違和感が半端ないです。