PM2.5といえば多くの人が認識している問題です。
大気中のPM2.5濃度が高くなると見た目にもわかるレベルで遠景が白っぽくなります。
外出自粛が注意喚起され、人々は外出時にはマスクをする。しかし屋内では意外と皆警戒しない。
ところがこの屋内、場所によっては屋外よりPM2.5濃度が高い場合があります。すでに知っている人も多いが、まだまだ知らない人も多い身近な場所のPM2.5について。
PM2.5について
PM2.5とは直径2.5μm(マイクロメートル)以下の微小な粒子状物質のことです。
杉花粉が30μmほどなのでいかに小さいかがわかると思います。PM2.5は吸い込むと肺の奥まで入り込み健康被害のリスクが増えます。
発生源は工場や焼却施設、内燃機関を動力とする乗り物など人間に由来するもの、火山などの自然活動によるもの。ですが都市部で集中しているPM2.5はたいてい人間が起因しています。
つまり大気汚染を改善することがPM2.5抑制につながります。
日本国内においてのPM2.5の環境基準は1年平均値が15μg/立方メートル以下で1日平均値が35μg/立方メートル以下。
PM2.5には注意喚起のための暫定的指針というものがあります 。1日平均70μg/立方メートルを超える場合はできるだけ外出を控えるよう注意喚起されます。
最悪だった北京のPM2.5の今は?
中国北京は2013年にPM2.5が史上最悪レベルの700μg/立方メートルに達しました。
北京といえば空気が汚く数m先も霞んでいるなんてイメージがいまだある人もいるのではないでしょうか?
中国は2012年に環境基準を改正。2016年から実施。大気汚染を重く見て2013年秋より大気汚染防止の取り組み強化。2014年に環境保護法改正。
時間帯や季節でかなり開きはありますが、平均値は徐々に改善していきます。ただ、日本と比べるとまだまだ数値はかなり悪い。北京は以前と比べれば改善してきたもののまだまだPM2.5に注意しながら生活しなければならない環境です。
ここで北京の現在のPM2.5の様子が分かります。
北京の大気汚染:リアルタイム大気汚染指数(AQI)
タバコの煙のPM2.5は最凶レベル
知ってる人も多いですよね。タバコの煙のPM2.5、もう半端ないです。
喫煙者ばかりでモクモクした会議室、1m前さえ霞んで目がしょぼしょぼするような状況だと、数値は4桁超えるでしょう。これは北京なんて超越したレベルです。
タバコはPM2.5製造機。不完全分煙の飲食店でも状態はかなり悪いです。いくら個人で屋外のPM2.5対策しても、ここで吸い込んだら努力は水の泡。
日本のPM2.5で最も注意するべきものはタバコの煙なのです。
厚生労働省のPM2.5と受動喫煙にはタバコの煙のPM2.5について書かれています。
線香もやばいんですよ
タバコの煙に晒される環境がまったくない人でも線香の煙に晒されていれば、これもタバコと同じくらいやばいです。線香の煙にもPM2.5が大量に含まれています。
しかも線香の煙には有害な物質が多く含まれているため、実質タバコの煙と変わらないようなものです。蚊取り線香も同じです。蚊取り線香使うくらいなら蚊に刺されたほうがマシですよ。
線香、お香および蚊取り線香の煙中ベンゼン濃度(pdfファイル)ー厚生労働省
PM2.5対策
屋外よりむしろ屋内がやばい
「今日はPM2.5のサイトを見ると真っ赤だ。マスクして出かけよう。」
外出して目的地へたどりつき、そしてマスクを外す。その目的地が不完全分煙の施設だったり、あるいは職場へ着いて喫煙している人がいる事務室へ入るとしましょう。
こういう場所ではPM2.5は外出自粛を注意喚起する数値の数倍は軽くいっちゃいます。こうなれば屋外のほうがよっぽど綺麗です。
PM2.5を警戒して屋外でマスクをし、こういう場所でマスクを外せば全く意味のないことをしているわけです。
ちなみにタバコの煙は浮遊するウイルス並みに小さく0.1µmほどしかありません。一般的なマスクは貫通してしまいます。
空気清浄機はHEPAフィルター搭載のもの
空気清浄機は室内の塵や埃をすべて吸い取ってくれるわけではありません。
空気清浄機を24時間稼働させていても塵や埃の大半はそのまま床に積もってしまいます。
自動運転では部屋の空気をすべて入れ替えるまで1時間ほどかかるのでその間に机や床に落ちて積もってしまうような埃は一部しか吸い取れません。しかし部屋の空間を長時間浮遊するような微粒子にはかなり効果があると思います。
PM2.5を捕集してくれるHEPAフィルターを搭載した空気清浄機を選びましょう。
私は掃除中は空気清浄機を強にして全開。掃除終わっても強のまま8-10分回し、それから自動運転に切り替えています。私の空気清浄機では強にすると8-10分ほどで部屋の空気をすべて入れ替えるからです。
マウスマスクはきちんとした物じゃないと効果薄い
PM2.5対策でマウスマスクをする人は多いですが、これマスクのフィルタの性能だけ見ていてもダメです。
マスクを装着して隙間が少しでもあると空気はフィルタを通らずほとんど隙間から出入りします。鼻の横とかにわずかでも隙間ができればマスクは全く意味ない。フィルタがいくら優れていても全て無駄です。隙間なくしっかり密着するものを選ぶことです。
望まない受動喫煙を防止するため健康増進法の一部を改正
健康増進法の一部が改正されています。
以下のリンク先に分かりやすく書いてあります。これは多くの人に関係してくることなので、喫煙者非喫煙者関わらず、全員すべて熟読したほうがいいです。違反すれば過料もあります。
行政機関、学校、病院、児童福祉施設などは2019年7月1日から原則敷地内禁煙。飲食店、職場等には2020年4月1日から原則屋内禁煙が義務づけられます。
つまり2020年4月から全面施行ということになります。人が集まるところはほとんど禁煙。もうどこで吸ったらいいのかわからないというくらいあっちもこっちも禁煙になります。
4月以降は立ちタバコや歩きタバコなど路上喫煙が今より増えるかもしれません。
前を歩いている人が喫煙すると、後ろを歩く人はタバコの煙をずっと吸うことになります。でもこれだけ複雑で大掛かりな法改正するなら、もういっそのことタバコを違法薬物にして法で全部禁止にすればスッキリするような気もするのですが・・・。
ところで、線香禁止はならないんですね?あれもタバコ並に体に悪いですが。
現在のPM2.5を見ることが出来る便利なサイト
環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)スマホ用サイト
外を見て白く霞んでる場合は、これらのサイトでちょっと確認したほうがいいかもしれません。PM2.5がすごい数値になっているようならばマスクをして外出。ジョギングなど運動も控えたほうがいいかもしれません。
屋内でPM2.5の心配がなくなれば後は屋外だけ
健康増進法改正で、屋内で受けるタバコの煙のPM2.5対策はこれでほぼ完結した気がします、タバコの煙に関してはね。ただ、屋内は線香、蚊取り線香などまだ問題があります。屋内は逃げ場が殆どないので、煙を吸い込みたくない人にとって死活問題です。
日本国内の屋外で観測されるPM2.5は少なく良好なレベルです。
中国からのPM2.5の飛来があると特に九州は影響が大きいです。これは日本では頑張りようがないので、これからの中国の頑張りに期待するしかありません。
綺麗な空気は当たり前ではない時代