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骨に必要なのはカルシウムとビタミンDだけではない

「骨を強くするにはカルシウムとビタミンDを摂りなさい!」

世間一般ではそう浸透していることが多いと思います。たしかにカルシウムとビタミンDは骨を作るのに必要な栄養素です。

骨を作る・強くするにはカルシウム、リン、ビタミンD、コラーゲン(コラーゲンを作るのにタンパク質、ビタミンC、鉄)、ビタミンKと多くの栄養素が必要となります。

しかし世間ではカルシウムとビタミンDだけ言われる。なぜそうなるのか、それでいいのか考えていきましょう。

骨は何から出来ているか

骨はリン酸カルシウムとコラーゲンが結びついて出来ています。

リン酸カルシウムを作るにはリンとカルシウムが必要で、この吸収を助けるのにビタミンDが関わってきます。コラーゲンを作るにはタンパク質と鉄とビタミンCが必須となります。そしてビタミンKはリン酸カルシウムを骨に沈着させる働きがあります。

つまり骨を強く作るのにはカルシウムとビタミンDだけではなく多くの栄養素が必要となっています。

  • カルシウム、リン
    骨に必要なミネラル。
  • ビタミンD
    カルシウム、リンの吸収を助ける。
  • タンパク質、ビタミンC、ビタミンK、鉄
    コラーゲン合成
  • ビタミンK
    リン酸カルシウムを骨に沈着させる。コラーゲン合成を助ける。

不足時がちなものを意識的に

カルシウム

カルシウムは日本人の殆どが不足しているミネラルです。厚労省によれば成人女性で1日650mgほどが推奨量で、必要量は550mgほど(年齢によって細かく分類されているのでおおよその値を書いた)。成人男性は推奨量が750mgほどで、必要量は600mgほど。

しかし現状どうかというと、2019年の国民健康・栄養調査データによれば男女とも中年層が400mgほど、高年層が550mgほどしか摂取できていません。それは1990年代よりもぐんと低い数字です。高齢者より中年の人ほど摂取量が少ないのはおそらく偏食によるものでしょうか。高齢者の摂取量が多めなのは意識的に摂取していると予想します。

ちなみに戦後まもない頃の調査では日本人は1日250mgほどしか摂れていません。ダイエットなどで極端な食事制限をしている人は要注意です。

体にカルシウムが足りなくなると、骨から血液へカルシウムが溶け出し、血液中のカルシウム濃度が上がります。そうなると血管の壁にカルシウムが堆積し、これが動脈硬化となります。これをカルシウム・パラドックスと言います。

カルシウムが足りないと骨密度は下がり、動脈硬化が進む。踏んだり蹴ったりです。

動脈硬化は長い年月をかけて進行し、害が出てくるのは中年、高年になって。こうなるともう遅いわけですから、若いうちから意識的にカルシウムを摂取しなければいけません。

カルシウム摂取で手っ取り早いのは牛乳です。しかし日本人は多くが乳糖不耐症。しかし乳糖を分解できるか否かのイチかゼロという2通りではなく、程度があります。乳糖の消化酵素であるラクターゼ活性の程度の問題で、乳糖不耐症でも少量ならば分解できる事が多い。

例えば牛乳200mlで下痢になってしまう人でも100mlなら大丈夫だったりする場合がある。その自分の許容量がどの当たりにあるか知っておくと牛乳を飲んでも下痢を起こしにくくなります。一気に飲むのではなく少量を分けて飲んでいくといいと思います。

どうしてもゴロゴロなってしまう人はヨーグルトがおすすめです。ヨーグルトは乳酸菌が乳糖を分解しているので乳糖不耐症の人でも大丈夫の場合が多いです。

リン

リンは骨に必要なミネラルですが普通の食事をしていれば不足することはありません。

2019年の国民健康・栄養調査データを見る限り厚労省の目安量に達しています。リンはカルシウムとのバランスが大切です。リン:カルシウム は 1:1から2:1の範囲内が理想です。ちなみに牛乳は0.9:1で、ややカルシウムが多いバランスです。

ビタミンD

厚労省のビタミンDの目安量は成人で男女とも8.5μg。それに対し2019年の国民健康・栄養調査データでは男性で6μg女性で5μgほどしか摂れていない。2001年のデータより大きく低下していて近年はビタミンDの不足が顕著になっているようです。

ビタミンDは意識的に摂っていく必要があります。ビタミンDは干し椎茸がよく挙げられますが実際ビタミンDはどれくらいあるのでしょうか。

干し椎茸1個5gで1日の目安量の1/10が含まれ、全卵1個60gで1日の目安量の1/8が含まれています。サバ缶1個200gにはなんと3日分のビタミンDが含まれています。また、サバ缶はカルシウムもガッツリ含まれます。手軽に摂るにはサバ缶は便利です。

日光浴でビタミンD3を合成する

人間は日光浴をし紫外線B波を浴びることで上皮でビタミンD3を合成することが出来ます。ただ紫外線は日焼けやシミ、また皮膚がんのリスクが増えるとして、近年は強力な日焼け止めクリームでガッツリガードしている人が多いです。

日焼けを抑えながらビタミンD3を合成するなら肌の露出面積を広くして日光浴すると短時間で効率よく合成できるでしょう。日光浴するときの露出面積を2倍にすれば単純計算で半分の時間で同じ量のビタミンD3が合成できます。そのほうが少ない日焼けですみます。

また、からだに悪いのは一度で一気に大量に日光を浴びることです。紫外線で損傷したDNAの回復が追いつけるように少量ずつ浴びると良い。皮膚が赤くならない程度にとどめておくのが理想です。

日焼けして皮膚が黒くなると紫外線吸収率は落ちるので日光浴によるビタミンD3の合成効率は悪くなります。そのぶん多めに日光浴をする必要があります。

コラーゲン

コラーゲンはタンパク質が摂取できていれば不足しないので特に意識する必要はありません。

ちなみに食品から直接コラーゲンを食べてもこれらは高分子コラーゲンであり、いったんアミノ酸に分解されます。つまりコラーゲンを食べたから、それがすべてコラーゲンとして合成されるとは限りません。また合成能力は加齢で落ちていきます。ただしサプリなどの低分子コラーゲンであればそのままの形で一部吸収されます。

合成に必要なタンパク質、ビタミンC、鉄

コラーゲンを合成するにはタンパク質、ビタミンC、鉄が必要で、ビタミンKはその合成を助けます。

この中でビタミンCは1990年代に比べ平均摂取量が極端に落ちています。とくに若い世代ほど摂取量が少なく、若い世代は60mgほど。高齢者で120mgほどとよく摂っています。若い世代は厚労省の出した1日の必要量85mg、推奨量100mgより少ない。

若い世代から中年の世代は1日の必要量を下回っているが、ただ、人間はビタミンCを1,500mgほど貯蔵しており、摂取量が少ないときは排出せずに腎臓で再吸収するので、1日摂取量が60mgならばコラーゲン合成に影響(ビタミンC欠乏症)が出るほどではないです。欠乏症が出るのはもっともっと少ない状態が長期間続いたときです。

ただし人によっては極端にビタミンCが不足している人もいるので意識的に摂っていくことはいいかもしれません。ビタミンCはトマトやブロッコリー、キウイ、じゃがいもなどに多く含まれます。特にブロッコリーはビタミンKもたっぷり含まれるマルチビタミン野菜です。

鉄は国民健康・栄養調査データを見る限りおおよそ摂取基準に達している感じです。ただ、これも昔に比べると摂取量が少なくなっていく傾向が見られます。

鉄はレバーがおすすめと聞くことが多いですが、鉄を補うために積極的に鶏レバーや豚レバーを食べ続けることは気が進みません。鶏レバーや豚レバーにはレチノール(ビタミンA)が桁違いに多く含まれており、鶏レバー20gで耐用上限量を超えてしまい過剰摂取となります。十分な鉄を摂ろうとするとレバーの量は20g以上となってしまいます。たまに食べる分ではいいが常食はおすすめできません。しかしたまに少量食べる程度では鉄不足解消の方法にはなりません。

ビタミンK

ビタミンKはリン酸カルシウムを骨に沈着させたり、コラーゲン合成を助ける効果があります。

ビタミンKは国民健康・栄養調査データによれば成人の平均摂取量は200-270μgほどあり、厚労省の食事摂取基準150μgを十分に満たしていて、通常の食事であれば特に不足することはないでしょう。

ビタミンKはブロッコリーに豊富に含まれています。

骨に圧力をかけないと強くならない

いくら栄養を摂取しても骨に圧力がかからないと強くなりません。

例えば無重力状態で生活すると、いくら栄養を摂取しても骨は弱くなります。長い期間無重力状態にいる宇宙飛行士は骨密度が下がることが知られています。

無重力状態では破骨細胞が活発になり、猛烈な勢いで骨量が減少します。科学的なメカニズムはまだ解明されていませんが重力が骨密度維持に大きく関与していることは明らかです。

ちなみにウエイトリフターは骨密度が高いことが知られています。

これらから言えることは、骨に力がかかることで骨が強くなる。骨に力がかからないと骨は弱くなる。ということです。足の骨を強くするならば栄養を摂ることだけでなく、2本の足で立ち上がり歩いて重力を受ける必要がありそうです。

走ったりスポーツをすると更に骨に圧力が加わりますし、ウエイトを使ってトレーニングをすれば更に強くなるということです。運動は骨を強くすることに大きく関わる要素です。

大切なこと

骨を強くするには多くの栄養素が必要ですが、その中で不足気味なのがカルシウムとビタミンD。なんだかんだで意識的に摂ったほうがいいのはカルシウムとビタミンDです。

栄養をしっかり取るために、意識的に食材を選ぶことは大切ですが、それが日常的に食べていくものでないと意味がありません。

カルシウムを補うために小魚を食べるとしても、それを毎日食べ続けられるものかどうかです。ビタミンD目的で干し椎茸を食べるにしても、気まぐれ的にたまに食べるのではなく習慣としてずっと食べ続けないと意味がありません。

うなぎ1尾225gには40.5μgという約5日分の必要量の大量のビタミンDが含まれていますが、土用の丑のときだけ食べたって意味がありません。かといって年中食べ続けるのはコスト的にも入手のしやすさ的な面からも現実的ではありません。

健康を考えた食材はそういう事を考えて選んでいく必要があります。

また、ある食材がいいからとそればかり食べ、そして最初のうちだけ必死に食べるが数日後1週間後、熱気が冷めたら全く食べなくなってしまい、そのまま忘れて何年も過ぎていくといった人は多い。健康食はフードファディズムになっても全く意味がありません。

食事も運動も程度とバランスを考え、それを習慣化することが大切です。

<参考リンク>

平成7年以降の国民健康・栄養調査データ
栄養素等摂取量|国立健康・栄養研究所

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