2017年の東名高速事故をきっかけに社会問題となった煽り運転だが、あれだけ騒がれた煽り運転をいまだにやってしまうドライバーが跡を絶ちません。
煽り運転の基準は世間ではやや勘違いしている人もいて、車間が狭いだけで煽り運転だ、通報するべきか、と騒いでいる人もかなり多い。
この記事では悪質とされる煽り運転(いわゆる妨害運転)の判断の基準を書いていこうと思う。
道路交通法の定義
車間が狭い状態だけで煽り運転となるわけではありません。
煽り運転(妨害運転)は道路交通法の第117条の2の2第8号にあり、妨害する目的で交通の危険を生じさせるような10項目の行為のうちいずれかを行ったもの。
他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
出典:道路交通法第117条の2の2第8号
イ 第十七条(通行区分)第四項の規定の違反となるような行為
ロ 第二十四条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為
ハ 第二十六条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為
ニ 第二十六条の二(進路の変更の禁止)第二項の規定の違反となるような行為
ホ 第二十八条(追越しの方法)第一項又は第四項の規定の違反となるような行為
ヘ 第五十二条(車両等の灯火)第二項の規定に違反する行為
ト 第五十四条(警音器の使用等)第二項の規定に違反する行為
チ 第七十条(安全運転の義務)の規定に違反する行為
リ 第七十五条の四(最低速度)の規定の違反となるような行為
ヌ 第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項の規定の違反となるような行為
- 通行区分違反
- 急ブレーキ禁止違反
- 車間距離不保持
- 進路変更禁止違反
- 追い越し方法違反
- 減光等義務違反
- 警音器使用制限違反
- 安全運転義務違反
- 最低速度違反(高速自動車国道等)
- 停車及び駐車違反(高速自動車国道等)
これらの行為を一つでもしたら、ハイ煽り運転だ!ではなく、「妨害する目的で」ということが不可欠となります。
煽り運転には厳しい罰則があり、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる。行政処分は25点で免許取り消し(欠格期間2年)。
さらに、著しい交通の危険を生じさせた場合は、道路交通法第117条の2により、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。行政処分は35点で免許取り消し(欠格期間3年)。
次条第一項第八号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者
出典:道路交通法第117条の2第4号
「妨害する目的で」がポイント
相手に悪意はなく、ただ車間を詰められただけでは煽り運転ではありません。日本語の意味としては煽られた状態ではあるが、これだけでは車間距離不保持の軽微な違反(青切符)として扱われます。
煽り運転(妨害運転)を確定させる必要不可欠な要素が「妨害する目的」。
では、何をもって妨害目的と判断するのか、だが、この基準はない。日本語の意味として「妨害目的」を判断する必要があります。
この妨害目的が明らかにわかる状態にならないと警察は動いてくれません。警察へ、「このクルマ、車間狭かったです!煽られました!」と動画を提出しても、「たまにいますよね~、大変でしたね」で終わりです。
妨害目的が明確になる状態とは
単に車間を詰められた・・・というのではなく、つきまとってしつこく粘着し、幅寄せや割り込んでからの急ブレーキ、通せんぼしたり、複数の違反行為をこちらに向けて行っており、明らかに自分を狙っていると判断できる場合、ここまであきらかにわかるような粘着性があれば確定です。
一つだけの違反行為でも、高速自動車国道の本線車道上で進路を塞いで停止させ、車を降りてドアの窓から大声で威圧してきたりすれば、あきらかにこちらに向けた妨害目的と判断できると思います。
このような場合は警察に通報です。
こういう一連の状態はドライブレコーダーで撮影することが大きな証拠となり、煽り運転として立件できます。
普段から車の前後を写すドライブレコーダは欠かせません。