※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

琵琶湖鳥居前の道路横断は交通違反ではない!観光整備をするべき

メディアで取り上げられた、滋賀県高島市の白鬚神社前で危険な道路横断と伝えられた観光客のニュース。

観光客は琵琶湖の有名な湖中大鳥居を撮影しようと、白鬚神社前の国道161号線の横断をするが、いかんせん観光客の数が多いため、横断頻度が多く、死亡事故もあったということで、地元では危険な横断として、横断しないように呼びかけなど行っているという。

現地には横断禁止の看板もあるが、ここを横断すると違反になるのか?という質問をYahoo!知恵袋で見た。

先に答えをいうと、ここは横断しても道路交通法違反ではありません。また、この問題は観光整備が悪いことに原因があると思います。

ストリートビューで現地を見る

まず現地をストリートビューで見てみます。

場所は滋賀県高島市の白鬚神社前の国道161号線。右に見えるのが琵琶湖です。

神社側には歩道があり自転車通行可となっています。その反対側は普通自転車専用通行帯(2024年3月下旬から実施)があります。ストリートビューは2023年8月時点のもので、普通自転車専用通行帯はまだ未完成の状態。現在路側帯はありません(2021年時点では琵琶湖側が路側帯だった)。

制限速度は特に規制速度標識などは見当たらず、ここは法定速度の60km/hとなるが、車道には法定外表示である減速路面標示があります。これは車道幅員を視覚的に狭く見せることで減速効果を期待するもの。

道路中央には規制標示である「追い越しのための右側はみ出し通行禁止」があり、中央線を兼ねています。

ここには写っていないが少し手前には駐車禁止の道路標識が双方向にあり、ここは道路両側とも駐車禁止となります。

161号の道路横断は交通違反ではない

この国道161号線の白鬚神社前には横断禁止の看板があるが、実はこれ法的な規制力のないもので、この場所は道路交通法では横断禁止ではありません。つまり観光客に「危険だから横断しないように!」とお願いしている形となります。

横断禁止を規制する道路標識はない

道路交通法による横断禁止の場所は道路交通法第13条です。

(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者等は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2 歩行者等は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。

出典:道路交通法第13条 ※赤色マーカーは当サイトでひいたもの。

法第13条第2項の「歩行者等は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。」という部分の「道路標識等」ですが、

白鬚神社前にある、 危険!横断禁止 の看板は標識令で定める道路標識ではありません。

法的効力がある横断禁止は規制標識である、歩行者等横断禁止(332)

れらの標識がこの場所にはない。

交通規制の効力が発生する条件。

交通規制の効力発生時期及び消滅時期
交通規制の効力は、交通規制の効力発生要件をすべて充足したとき、すなわち、交通規制権限のある者の意思により、法令に定められた手段・方法により道路標識等が設置・管理されたときに発生し、この効力発生要件が一つでも欠けたときには交通規制の効力は消滅する。

出典:交通規制基準p5|警察庁

つまりここは横断禁止の交通規制の効力はありません

ただ

横断禁止ではないが、琵琶湖側に横断した場合は、その場所は普通自転車専用通行帯(ちなみに路側帯はない)。

歩道と車道(普通自転車専用通行帯も車道である)の区別のある道路では、歩行者は歩道を通行する決まり。

 歩行者等は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。
二 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。

出典:道路交通法第10条第2項

横断しても道路に滞留スペースはまったくなく、つまり横断後は道路外に出る必要あり。

横断禁止の標識が設置できない理由

さっさと横断禁止の道路標識を設置して法的に横断禁止にすればいいじゃないか!と思うでしょう。しかしこれには規制実施基準があるんです。あくまで原則とはなっていますが。

対象道路

原則として次のいずれかに該当する道路
1 道路の両側に歩道のある道路で、歩行者の横断需要が多く、かつ、自動車の交通量が多い道路
2 規制区間の前後等に立体横断施設、信号機のある横断歩道等安全な横断施設があり、かつ、乱横断による歩行者事故が発生するおそれのある道路

出典:歩行者等横断禁止 交通規制基準 p81|警察庁

歩行者の横断需要が多く、自動車の交通量が多いまではあっているが、片側にしか歩道がないので1には該当せず。

2についても乱横断による歩行者事故が発生するおそれのある道路まではあっているが、この付近200m以内に横断施設なんてありません

規制区間内において歩行者横断施設に到達するまでの距離は、原則として200メートル以内とすること。

出典:歩行者等横断禁止 交通規制基準 p81|警察庁

つまり規制実施基準に満たない。

北に1.4km歩けばアンダーパスから渡ることが可能、南は1.4km歩けば信号機のない横断歩道がありますが。つまり横断禁止にすると10m横断するために往復で2.8km歩くわけです。更に神社付近に車を止めているのであれば戻ってくるのにまた往復の2.8kmなので合計5.6kmも歩くことに。

もうなんかここらへんからこの鳥居前は問題がある気がします。

横断歩道は設置できないのか

ここは交差点ではなく単路に当たるため、横断歩道の設置基準は以下の通り

対象道路

3 単路
単路については、原則として次のいずれかに該当する場所に横断歩道を設置するものとする。
(1) 車道幅員が5.5メートル以上で、横断歩行者が多く歩行者の安全を確保する必要がある場所
(2) 信号機が設置されている場所

出典:横断歩道 交通規制基準 p74|警察庁

車道幅員はグーグルマップで計測すると8m程、横断歩行者が多く歩行者の安全を確保する必要がある場所であるため、実施基準に合致します。その他留意事項に引っかかる部分もなく、

つまり設置は可能

しかし設置しない。なぜ?

県警では「横断先に滞留スペースがない。」「鳥居見物のためだけに設置はできない。」ということです。

スペースについては、横断先に、道路からオーバーハングしたちょっとした広さのテラスのような展望台を作ればいいだけだし、鳥居見物のためだけと言うが、観光客はかなり多く、国内だけではなく海外から来る人もいる。そもそも、見物のためだけに設置はできないなんて設置基準はありません。

そもそも問題となっている白鬚神社前から1.4km南の横断歩道なんて、なんでこんなところに横断歩道なの?というもので琵琶湖側には消防水利以外は何もありません。ここに作っているのに白鬚神社前(横断者が遥かに頻繁である)に作らないは理解できません。

ここに横断歩道を作るべき理由がなにかあるのでしょうか?

すべて観光客のせいにするのはどうかと思う

白鬚神社前の国道161号線の道路横断は法的には禁止ではないため、「危ないので横断をしないように」と、お願いしている形となり、強制力はありません。

この横断問題は、その横断自体は両側2車線の道路であるため特に危険行為ではないが、無茶なタイミングで横断したり、横断後に普通自転車専用通行帯に滞留して記念撮影を始めるのは問題です。

また、いかんせん観光客が多いため横断頻度が多い。そのため中には無茶に横断する人も出てくるし、中には状況に見合わない速度で飛ばす車もいて、左右確認して横断してもはねられたりするリスクは出てきます。

これはそもそも観光母数が多いために発生しているもので、観光整備に問題があります。

湖上の鳥居を観光に来る人がここまで多いと立派な世界の観光名所です。

新たに柵を設置したと言うが、何でもかんでも制限しようとするのは日本の悪い癖です。歩行者を遮るための頑丈な柵を作ったりするくらいなら観光できるように整備するべきでしょう。

日本は観光のための環境整備をちゃんとしないから観光公害が多いんだと思います。観光公害が全くないと公言しているスイスならここは間違いなく観光のために整備します。

タイトルとURLをコピーしました