交差点や踏切手前にある停止線で止まるときに、厳密にどこまで進んだら、何センチ、何メートルまではみ出たら違反となるのか考えたことはありますか?
停止線と言ってもその前後幅は30-45cmもあり、この線の中に入ったら違反なのか、ここを超えたら違反なのか、いまいちわからない人もいると思います。いやいや、そこまで深く考えねーよ!という人もいるでしょう。
しかしこの記事は深く考えていきます。停止線のどの位置まで進んだら違反となるか、もやもやを取り除きましょう。
まずは道路交通法から
道路に信号機手前、踏切、指定場所一時停止にある停止線では、どういう位置で停止するのか道路交通法を確認してみる。
信号機
赤色の灯火
車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。備考
出典:道路交通法施行令2条 ※赤色マーカーは当サイトで引いたもの。
この表において「停止位置」とは、次に掲げる位置(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)をいう。
踏切
車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。
(以下省略)
出典:道路交通法第33条第1項 ※赤色マーカーは当サイトで引いたもの。
指定場所における一時停止
車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。
(以下省略)
出典:道路交通法第43条(指定場所における一時停止) ※赤色マーカーは当サイトで引いたもの。
停止位置とは、停止線の直前のこと。
つまり停止線に車の一部がかぶさった時点で違反ということ。
ただ、取り締まり対象となるかというと、この写真程度では取り締まられることはありません。
運転技能検査の基準では
運転技能検査にも停止位置に関する項目があります。運転技能検査とは75歳以上で一定の違反歴がある人が受けるもの。
運転技能検査では停止線を超えると減点となります。
警察庁の運転技能検査等実施要領によれば、一時停止は車体の一部が、停止線を越えると、検査では減点、実車指導では一時不停止扱いとなります。
車体の一部が、停止線を越えるまでに停止しなかったものの、車体の一部が交差道路の側線を延長した線を越えるまでには停止した場合は、検査においては10点の減点とし、実車指導においては一時不停止(小)と評価すること。
出典:運転技能検査等実施要領の制定について(通達)|警察庁
これにある「停止線を越える」とはどういう意味か
「停止線を越える」とは、停止線の最も交差点寄りの部分(図(A)の点線)を越えた場合をいう。
出典:運転技能検査等実施要領の制定について(通達)|警察庁
つまり停止線より先に車体の一部が出てしまうと減点となる。減点はこの停止線の先端部が基準となる。
これは交差点の赤信号に従うときの停止位置でも同様である。
ちなみに手前過ぎてもよろしくないようで、運転技能検査等実施要領によると、課題走行では「停止線の手前からおおむね2m以上手前で停止した場合は、停止線の手前まで進行するよう指示するものとする。」とされている。
運転免許技能試験の採点基準では
免許を取るときに受ける運転免許技能試験の採点基準では停止線にかぶさった時点で一発中止となります。
信号無視(危険行為等)
赤色の信号(赤色の点滅を含む。)が表示された場合に、法令に定められた停止位置を車体の一部が越え又は越えようとしたとき。
出典:運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について(通達)|警察庁
指定場所不停止[一時不停止](危険行為等)
道路標識等による一時停止の指定場所で、停止線(停止線が設けられていない場合は交差点)の直前で停止しない場合
出典:運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について(通達)|警察庁
法令に定められた停止位置とは、停止線直前のことです。
なお、手前過ぎてもダメで、停止線から約2m以上手前で停止すると5点減点となります。
停止位置不適(5点減点)
法令に基づく停止線(一時停止の指定場所で停止線のない場合は交差点)の手前からおおむね2メートル以上手前で停止した場合
出典:運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について(通達)|警察庁
法的には線にかぶさったらアウト
高齢者が受ける運転技能検査の採点基準では、車体の一部が停止線の交差点側の先端を越えると減点と、ちょっと甘い感じ。
しかし運転免許技能試験は停止線にかぶさった時点で一発中止であり、道路交通法では停止線にかぶさった時点で違反。下の図の赤破線を越えないように、なるだけ近い位置で停止できると運転が上手な人だなと思われるはずです。
ただ、法は法だがちょっとでも1cmでもかぶさったらハイ違反ハイ検挙とまではならないのでガチガチになる必要はないと思います。信号機のある交差点では流石に横断歩道まではみ出し、横断歩道を完全に塞いで明らかに歩行者の妨害となったら警察官に注意を受けることになるかもしれません。