昔は掃除機の多くは紙パック式でありコードに繋いで使っていました。
それがいつしか紙パックを使わないサイクロン式、そしてコードレス仕様のバッテリータイプがゾロゾロとラインナップに並んできました。
一見かっこいいですが、これらはしっかり特徴を知っておかないと紙パック式コード仕様の代わりとして買い替えで購入すると後悔することもあります。
そこで掃除機の特徴を比較しながら目的にあった掃除機の選び方をしていきましょう。
メンテナンス時に埃が舞う、舞う、舞う
掃除中の排気はクリーンだが、メンテナンスで何かと埃を撒き散らすサイクロン。メンテナンス頻度も多く、呼吸器系アレルギー持ちには辛いです。
サイクロン式はいかに排気が綺麗かをアピールしているものは多いです。高性能のエアフィルターで綺麗な空気を排気したり、中にはHEPAフィルターを搭載したモデルまであります。
しかし問題はそこじゃないんです。
まず、カップに溜まったゴミを捨てるときに埃が舞う。舞わないようにそっとゴミ箱へ落としても舞います。目に見えてなくてもかなり舞っています。ゴミ箱の蓋をすぐ閉めればかなり軽減。
しかし掃除機のカップの蓋を閉めるときも埃は舞います。この埃というのが粉のようにかなり微粒子。ですがこれはまだいい。
一番厄介は掃除機各部のメンテナンス。サイクロン式というのは紙パックが無い代わりに掃除機内部が汚れます。なので頻繁に分解クリーニング(およそ月に一回くらい)が必要。これは分解するだけでかなり埃が舞います。この埃も極めて小さな微粒子なのできつい。
サイクロン式の本体分解クリーニングを7ヶ月ぶりにした動画がありました。使用環境にもよるでしょうがサイクロンはこんなになるんです。
動画を見ると分解時に空中に大量に埃が舞っているのが見えます。
サイクロン式の宿命です。紙パック式であれば微細な埃のほぼ全てが紙パックに捕集され本体(※ヘッドを除く)はほとんど汚れないですが、サイクロン式だと微粒子がフィルターやその周辺にたまる。
各部品をエアブロアーで吹き飛ばしたりブラシで掃こうものなら悲惨です。あたり一面に埃です、最悪です。屋外でやっても一発舞うと10秒ほどは付近に埃が舞い続けます。これを継続的にバサバサやると大変。
掃除中にクリーンな空気を宣伝していたのは一体何だったのかと思えるレベルで全て台無し。
もちろんメンテナンスは丸洗いできたりしますが分解した時点で埃はそこら中に飛び散ります。目に見えなくても微粒子は確実に舞っています。
メンテナンスは屋外でやってマスクをすればいいという話になりますが、屋外でも埃はすぐに拡散するわけではありませんので鼻から吸い込みます。マスクをすれば当然軽減されますが、マスクの密着度は甘いものが多く顔の隙間からどんどん入り込んできます。
呼吸器アレルギーの人はこの埃で症状が悪化することはあって、これらを日常的に何度も繰り返せば良くない環境です。
サイクロン式はとにかくごみ捨てとメンテナンス時の埃を吸い込むリスクが大きい。サイクロン式を初めて買う場合はそういう特徴を知っておく必要があります。
紙パック式であればそっと取り出してただ捨てるだけです。掃除機自体のフィルターも徐々に汚れていきますがサイクロン式よりもメンテナンスのインターバルはずっと長い。内部が汚れない機種は数年使ってもほとんど汚れません。
まあ紙パックと言えどヘッド内のブラシや周辺部はサイクロン同様きっちり汚れるわけでメンテナンス時に埃が舞って吸い込むリスクは当然有るんですけどね。
これについては、最近は髪の毛などが絡まないブラシなど出てきているのでそういった商品を選ぶ選択肢もあります。
紙パック式とサイクロン式の特徴
キャニスターとスティックタイプ
キャニスターよりスティックタイプのほうが収納しやすくすぐに使える、それにかっこいい。
と感じる人は多いと思います。
キャニスターとは本体を床において使うタイプ。スティックタイプはホウキのような形をした掃除機。
集じん容量に差がある
ただ、スティックタイプは紙パック式だと、集じん容量がかなり少ないことを知っておきましょう。おおよそ0.3リットルくらいです。
ちなみに一般的なキャニスタータイプが集じん容量1.3–1.8リットル。なかには2.4リットルというものもあります。
紙パック式で集じん容量が少ないデメリットは、すぐにいっぱいになって紙パックの交換頻度が上がることです。
収納し安さはメリット
スティックタイプの掃除機の収納し安さは、掃除機の出し入れが面倒で掃除が億劫になっている人からみれば、掃除を気軽にできる一つの要素です。
ただ近年はキャニスタータイプでも小型コンパクトで綺麗に立つようになっているものが多く、収納スペースはそれほど必要としません。
吸引力は雲泥の差でキャニスター有利
スティックタイプはバッテリー式が多く吸引力では不利。
ですがコード式のスティックタイプであってもやはりキャニスタータイプより吸引力は遥かに弱い。
同じ紙パック式でキャニスターとスティックタイプを比べると、大きなモーターを搭載できるキャニスターのほうが吸引力は断然有利です。
スティックタイプはあまり大きなモーターを付けると筐体が大きく重くなって扱いにくくなるため小型軽量に特化。
コード式かバッテリー式か
バッテリー式は最近流行っています。煩わしいコードがないし見た目かっこいい。ただ、デメリットも知っていかないと後悔します。
室内を掃除する目的であれば、個人的にはコード式がおすすめです。
コードレス式(バッテリー式)
- 車内の掃除やお庭でも物置小屋でも屋根裏でもどこでも使える。
- コードの煩わしさやトラブルから開放される。
- きちんと充電できていれば災害時に停電してもしばらく使える。
- 広い一軒家などで広範囲を掃除するにはバッテリー容量的にキツイ。強にするとあっという間に終わる。
- 吸引力ではコード式より不利。ただハイパワーなものもある。
コード式(コンセント直結)
- バッテリー残量や劣化を気にすることなく強でもガンガン使える。
- 安定した吸引力。
- コードを伸ばしたり巻いたり面倒で掃除が億劫になる。
- コンセントがないところで使えない。
- 災害時に停電すると使えない。
高いものって何が違うの?安いので十分?
高い掃除機というのは、まずヘッドの性能が高い。ヘッドの性能が高いとカーペットなどへからんだ毛などが効率的に吸い込める。このヘッドの違いだけで価格が数千円は余裕で変わる。
床に埃がまだ残っていないかランプが付くものもありますが、こういうのは便利機能で必須ではないです。
アイドリングオフ機能があれば電気代を節約できます。
必要以上に高いものは本来必須ではない機能もついていることがあるので、個人的には2万円くらいの価格帯で選ぶのが性能とコストのバランスがベストだと考えます。
掃除機のヘッドタイプを見て!
カーペットなどの吸引力は、単に吸引仕事率が◯ワットだけでなく、掃除機のヘッドの能力で大きく差がでます。
- ヘッドに回転ブラシがないスタンダードタイプ。
- 掃除機本体からの吸引風圧を利用してヘッドのブラシを回転させてゴミを吸い込んでいくタイプ。
- ヘッドのブラシがモーターで回るタイプ。
後者のほうが吸引力は強いです。
ブラシがモーターで回転するほうが絶対にいいですが、価格も高くなります。またモーターを使用したり部品点数が増えるということはそれだけ故障のリスクもわずかながら増えるということです。
故障リスクがいやな人は2番目がいいかも知れません。
一度現物を店頭で確認すべし
ネットで写真やスペックだけを見て買うのではなく、家電量販店で実際に現物を確認することをオススメします。どこで買うかは自由ですが、現物を確認することは大切。
掃除機の大きさ、ホースの太さ(写真で見るより意外と太かったりする)、持った感触(重さや持ち安さなど)、各部品の操作時の感触(蓋のガタツキやジョイント部の脱着の感じなど)、ヘッドの回転角など。
おすすめは?
近年はサイクロン式でバッテリー駆動のスティックタイプの人気が高まっています。たしかに見た目かっこいいし出し入れしやすいので気軽に使えるかも知れない。
ただ掃除機本来の目的は「綺麗にすること」。
綺麗にできないと意味ないんですよ。フローリングならどの掃除機でも落ちたゴミは吸い込めます。ですがカーペットなどに絡みついたものは吸引力がないと効率的に吸い込んでいかない。
やはり紙パック式で、コード仕様で床に置いて使うキャニスタータイプが吸引力は強く安定。パックにゴミが溜まると吸引力が落ちるとよく言われるが、元の吸引力が半端ないせいか個人的にはほとんど変化は感じない。
サイクロン式はランニングコストは安いかも知れないがそこそこ吸い込めるやつだと掃除機本体がかなり高い。
と、時代の流行とはかけ離れた感じですが、このブログでは紙パック式のコードタイプをオススメします。かつヘッドのブラシが回転するタイプです。
三菱
三菱の良いところはヘッドが床ベッタリまで寝ること。ベッドの下など低くて狭い場所を掃除できます。
また低価格帯でも本体側に高性能の集じん性能のフィルターが装備されていて排気が綺麗です。
安く高性能なもので
価格と性能のバランスでオススメがBe-K TC-FJ2X。2020年2月発売のモデルです。
価格がamazonで12,947円(2020年10月29日時点)、価格comだと最安値で11,807円(2020年10月29日時点)。
ヘッドのブラシは本体の吸引による風圧で回転するタイプ。
公式サイトによれば本体フィルターは0.5μm以上の埃を約99%以上捕じんするということです。この価格帯ではありがたい装備。
このヘッドのブラシをモーター回転式にしたタイプが下のTC-FM2X。
価格が一気に上がってamazonで19,950円(2020年10月30日時点)、価格comの最安値で18,500円(2020年10月30日時点)。
ヘッドで7,000円の差を個人でどう見るかによりますが。ヘッドは吸引力にかなり影響するパーツ。モーター式の回転ブラシの場合、回転力が半端ないです。
それだけゴミを掻き出す能力が上がります。
パナソニック
安いものだと
手頃な価格帯だとMC-PKL21A。
2020年10月29日現在だと価格com最安値が11,696円。amazonだと12,973円とやや高い。
しっかりした性能と作りでなるだけ安いとなるとこれくらいのものがオススメ。
気になるヘッドブラシは掃除機の吸引力の風圧を利用して回転するタイプ。
ノズル上部にあるエアダストキャッチャーがノズル付近で舞い上がった埃を吸い込みます。
紙パック交換お知らせランプあり。
運転の強さは、弱・標準・強の3モード。
標準運転時はゴミの溜まり具合で吸引力を自動コントロール。これは賢い。
アイドリングオフ機能はない。
中価格帯のオススメ
中価格帯だとMC-PK21G。
amazonで22,000円(2020年10月29日時点)、価格comで最安値19,500円(2020年10月29日時点)。
ヘッドはモーターで回転するパワーヘッド。
ノズル上部にあるエアダストキャッチャーがノズル付近で舞い上がった埃を吸い込みます。
ノズルを床から離すと運転が停止するというアイドリングオフ機能あり。節電になります。
アレル物質の活動を抑制するフィルター搭載。
紙パック交換お知らせランプあり。
運転の強さは、弱・標準・強の3モード。ブラシ回転はオンオフ可能。
標準運転時はゴミの溜まり具合で吸引力を自動コントロール。賢い。
これだけ性能が整っていれば十分ではないでしょうか。性能と価格とのバランスを考えればイチオシです。
価格を気にしない性能重視なら
性能重視ならパナソニック2020年新型のMCJP830K。
パナの紙パックは性能がいいですが、この機種は本体にも集塵性能の優れたフィルターを採用したもので、排気がさらにクリーン。公式サイトによれば0.5μm以上の埃を約99.9%キャッチするということです。これは先ほど紹介したMC-PKL21AやMC-PK21Gには搭載されていません。
また、からまないブラシ採用で、ヘッドのメンテナンス頻度が下がりそうです。
吸込仕事率は紙パック式掃除機のラインアップで最も強い。アイドリングオフ機能あり。LEDナビライトあり。
上位モデルなので当然付属品も充実。
2020年10月29日時点ではamazonには出品されていないようで、楽天とYahooだと5.5–5.7万円(2020年10月29日時点)ほどとかなり高額です。価格comだと最安値が45,900円(2020年10月29日時点)です。
パナのいいところは紙パックが優れている
パナソニックの紙パックは色々ありますがその最上位にはAMC-HC12という高性能紙パックがあります。0.5μm以上の埃を約99.9%逃さない性能。当然高いですが呼吸器系アレルギーには最適。
スタンダードな紙パックを使い、そこから漏れた微粒子を掃除機本体の高性能フィルターでキャッチという構造よりも、紙パックのフィルターそのものを高性能にしたほうが掃除機の内部が汚れにくい。
つまり掃除機本体のメンテナンス頻度が減ることは、それだけメンテナンス作業で起こる埃の体への暴露も減るということ。
それとパナの紙パックはシャッターが付いているので交換時にゴミが舞い上がるリスクが少ない。
ただ、注意しなければならないのは、このフィルターを使ったからと言って呼吸器アレルギー持ちの人の発作が起きないという保証はないということ。
これはリスクを減らす一つの要素であり、掃除中は換気をよくし、密着性の良いマスクの着用、そして空気清浄機の活用。掃除中と掃除後しばらくは空気清浄機を手動に切り替えて風量最大モードで回すこと。
これら複数の要素を合わせた対策が呼吸器アレルギーの発作の予防になります。