体脂肪率。最近は手軽に測定できるようになりごく一般的に浸透した言葉。ダイエットや筋トレをやる人は特にこの数値を気にします。
体脂肪率が10%を切った、すごい!などその数字を競います。
アスリートではある長距離女子選手が体脂肪率3%などと言っていました。
多くの人は体脂肪率が少ないいほど皮下脂肪が薄いと思っています。しかしそれは大きな勘違いです。体脂肪率=皮下脂肪厚ではありません。皮下脂肪量の目安でもありません。
この記事では体脂肪率の勘違いをわかりやすく説明していきます。
体脂肪率とは
体脂肪率とは体重に対する脂肪の割合のこと。
例えば体重60kgで脂肪の重さが12kgだった場合、体脂肪率は20%となります。
皮下脂肪とは
皮下脂肪とは皮膚のすぐ下についた脂肪のことです。同じ脂肪でも内臓脂肪とは別で考えられます。
皮下脂肪が厚いと筋肉のカットがわかりにくくなります。腹筋が割れて見えるのもこの皮下脂肪の薄さが影響します。
体脂肪率は皮膚のカットではわからない
さて本題に入ります。
多くの人が勘違いしている体脂肪率とは、体脂肪率が少ない人ほど体脂肪量が少ないと思っていることです。
例えばとある女子長距離選手の体脂肪率3%(信憑性は怪しいが)とボディビルダーの3%では脂肪の量が違います。
体重40kgの選手の体脂肪率3%と、体重110kgのボディビルダーの体脂肪率3%は脂肪の量がまるで違います。筋量が少ない人は体脂肪率の低い数値は出しにくいです。細ければ細いほど体脂肪率は少ないではないのです。
体重40kgの3%は体脂肪が1.2kg。一方で110kgのビルダーは同じ3%でも体脂肪は3.3kgです。同じ体脂肪でも筋肉量によって体脂肪の重さは違うのです。
ゆえに見た目の皮下脂肪の薄さだけで体脂肪率はわかりません。さらに水分量によっても筋肉カットが見えやすくなったり見えにくくなったりします。たとえば皮膚がむくんでいると筋肉のカットは見えにくいです。
また体脂肪は皮下脂肪だけでなく、内臓脂肪も含まれます。
痩せた人ほど低い数値が出にくくなる
普通の人はガリガリに痩せているほど低い体脂肪であると思っています。しかし先程述べたように、体型によって同じ体脂肪率でも体脂肪量は違う。
これをムキムキとガリガリでは同じ脂肪量で揃えると、ガリガリのほうが高い体脂肪率となってしまいます。
生きていくために最低限必要な脂肪量を仮に2.5kgとすれば、体重110kgのビルダーでは体脂肪率2.27%となり、体重40kgの痩せ型では体脂肪率6.25%となります。この40kgの人が体脂肪率2.27%になるには脂肪を908gまで減らす必要があるわけです。
これらをわかりやすく表にします。極端に少ない脂肪の例です。
脂肪量が同じ2.5kgだった場合の体脂肪率
体重 | 脂肪量 | 体脂肪率 |
---|---|---|
40kg | 2.5kg | 6.25% |
50kg | 2.5kg | 5% |
60kg | 2.5kg | 4.17% |
70kg | 2.5kg | 3.57% |
80kg | 2.5kg | 3.13% |
90kg | 2.5kg | 2.78% |
100kg | 2.5kg | 2.5% |
体脂肪率が同じ3%だった場合の体脂肪量
体重 | 体脂肪率 | 体脂肪量 |
---|---|---|
40kg | 3% | 1.2kg |
50kg | 3% | 1.5kg |
60kg | 3% | 1.8kg |
70kg | 3% | 2.1kg |
80kg | 3% | 2.4kg |
90kg | 3% | 2.7kg |
100kg | 3% | 3.0KG |
まとめ
体脂肪率は体重に占める脂肪の割合であり、脂肪の量の目安ではない。
それは元となる体重で左右される。つまり筋肉で体重が重い人は、それなりに脂肪がついていても体脂肪率は低くなる。
逆に筋肉が細く痩せて軽い人は少しの脂肪でも体脂肪率は高めの数字となる。女性は筋肉量が少ないため必然的に体脂肪率は高めとなる。
ちなみに家電屋にある家庭向けの脂肪計は誤差がかなり大きいので目安にはなりません。あれは測定だけで出しているのではなく、統計+測定から計算して出しています。そのインプットされた統計の違いによって体脂肪率が変わる始末です。本来、体脂肪を測定するのに年齢入力など必要ありません。
体脂肪率3%は可能なのか
アスリートが自分の体脂肪率が低いことを公言することもあります。例えば陸上長距離の新谷仁美選手は体脂肪率3.1%と公言していました。身長は165cmで体重は40kgです。3%だと体脂肪は1.2kgということになります。
脳の6割は脂肪です。女性の脳は重さが1.2kgであり、その6割であれば720gが脂肪となります。体脂肪率は皮下脂肪率ではありません。つまり残りの皮下脂肪と内臓脂肪その他脂肪合わせて480gということになります。
測定方法が定かではありませんが、これはありえない数値です。体脂肪率3%なんてのは筋量が多く体重の重いトップレベルの男性ボディビルダーでないと厳しいでしょう。
世界で最も皮下脂肪が少ないとも言われる一人にHelmut Streblさんがいます。彼のユーチューブチャンネルの動画です。
体脂肪率は年間通して3-4%ということです。頬はこけ、ホッペにさえ脂肪が殆どありません。背中にはクリスマスツリーがはっきりと見え、全体的にストリエーションが出まくっています。ここまで来るとお尻の脂肪も極限まで薄くなり、大殿筋に筋ストリエーション(縞模様)がくっきりと浮かぶことでしょう。
彼は身長190cmで体重は90kg。つまり3%であれば2.7kgの脂肪が存在することになります。これは真実味があります。これだけ絞っていてもそれだけの脂肪が残されているということです。
ボディビルダーの中には、例えばミスターオリンピア8連覇したロニーコールマンは、現役時代に体脂肪率が0.33%だったと公言しています。これに対し、専門家はありえないといいます。
ロニーコールマンは身長180cm。2004年オリンピア時には絞った状態で体重が134kgありました。史上最もバルクがあり重いオリンピアです。134kgの体脂肪率0.33%は体脂肪量が442g。442gは脳に存在するはずの脂肪量(減らすことは出来ない)よりも遥かに少なく矛盾しています。
これも測定方法がわかりませんがありえない数値です。
ケビン・レブローニというかつてのトップビルダーが1992年アーノルドクラシックで最高に絞ったときが体脂肪率2.6%と公言していましたので、おそらくこれが真実味のある数値だと思います。ここらがほぼ限界に近いでしょう。