高速道路は普通車だけが走ってるわけではありません。いろいろな車種の自動車が走っています。
加速力のある大型二輪やスーパーカーもいれば、軽自動車、トラックやバス、そして80km/h制限の大型トラック、多種多様な自動車が走っています。
普通車視点から見ると、大型トラックが邪魔だとか、進路を塞いで嫌がらせだとか、そういう声を聞くことがあります。
しかし道路では何もかも普通自動車基準で考えてはいけません。そりゃ普通車のほうが走る台数は多い。だから普通車がルールではないし、普通車優先ではない。大型トラックにも権利があります。
トラックは趣味や旅行ではなく仕事で走っています。物流で欠かせない乗り物です。皆そのトラックのお陰で物が買え、生活が出来るのです。トラックは温かい目で見るべきです。(こういうと一部のマナー違反トラックを例に上げて否定する人もいますが、あくまでも道交法を守ったトラックの話です。)
高速道路では全てが普通車のように加速できるわけではないです。性能的に出せるスピードもピンキリです。普通車の妨げになればすぐに邪魔者扱いにされてしまう大型トラックですが、そういった自動車に対して少しでも理解してほしい。
追い越しには時間がかかる
追い越しするときに制限速度+30km/h以上も出しているような車(速度違反である)は、追い越しにかかる時間はあっという間かもしれません。しかし追い越しは基本的に長い時間がかかります。
例えば90km/hで走る車へ100km/hの車が追いつき、減速せずに50m手前から100km/hで追い越しを始め、50m引き離して戻った場合、追い越し完了までに約36秒かかります。
ここを110km/hで追いついた車が減速せずに追い越せば18秒で追い越せます。130km/hだと9秒で追い越せる。法定速度を守れば追い越しというのは時間がかかるのです。
相手より前に出たらすぐ戻れるわけではありません。十分な車間距離まで引き離す必要があります。そうしないと走行車線の車両がブレーキを踏むことになります。これを理解できないと、「追い越したならすぐ戻れ!いつまでも追い越し車線を走るな!」というイライラ目線になります。
追い越し中の車に追いつく車
制限100km/hの高速道路であれば、追い越すときの速度はおおよそメーター読み100-120km/hが多い気がします(実測90-110km/hくらいでしょうか)。メーター誤差もあるため法定速度よりもやや速度を上げる人が多いようです。そのほうがスムーズに追い越せるからです。
ただ大型トラックは最高速度は80km/hとなっていて、リミッターも90km/hです。追い越しもその速度内でしか出来ません。
追い越し最中によくあるのが、追い越し車線上のはるか後方からぐんぐん迫ってくる車。ミラーの点だったのがあっという間に真後ろに来る。おおよそ130-140km/hだろうか、160km/hくらいで追いついてくるような場面も珍しくありません。この手の車は高確率で車間をギリギリまで詰めてきます。
制限速度かプラスアルファで追い越し中の車が、法定速度を大きく超えた車に追い越し車線で追いつかれるパターンです。追い越しに時間がかかるほどぽ遭遇率は上がります。
速い車ほど追い越し車線を走り続けているパターンが多いです。なぜなら走行車線を走ってもまた別の車にすぐ追いつくから結果的に追い越し車線をずっと走る形になりがちです。
大型トラックの追い越し
大型トラックは高速道では最高速度が80km/hと定められ、90km/hの速度リミッターを搭載しています。
高速道路で走行車線を走るのが基本ですが、70-75km/hくらいで走る別のトラックなどへ追いつくこともあるでしょう。
80km/hで巡航していても、向かい風や坂道の影響で知らずに速度が落ちてしまっているトラックはいるでしょう。
速度が低下したトラックに別のトラックが追いつくと、やはり仕事ですので少しでも速度差があれば追い越しにかかるでしょう。長距離トラックだとなおさらです。
しかし速度が乗りやすい普通車は、追い越し中の大型トラックへあっという間に追いついてしまいます。こういったドライバーからはトラックやバスがずっと追い越し車線を走り続けているように見えがちです。
もちろん高速を走るトラックドライバーは毎日のように高速を走っているので、車の性能を考えながら、追い越し時も後方に注意しながらタイミングを見て車線変更します。車線変更時にはミラー後方に全く車が映っていなくても、それでも追い越し中に後ろから追いつかれます。
追い越しされているときは加速しないで
追い越し中に相手に加速され並走状態になってしまう大型トラックがあります。
この場合更に加速して追い越したい気分ですが、大型トラックは高速道での最高速度が80km/h(リミッターは90km/h)となっていてそれ以上加速は出来ない場合は多い。この場合は一旦諦めて下がるしかありません。
しかしこのときに後ろから車間を詰めて煽られてしまうと、下がって走行車線に戻ることさえ出来ずに永遠と並走状態になります。
まさにそのトラップ状態のトラックの動画がこれです。こうなるともう戻ることも前に出ることも出来ません。詰みです。
道路交通法27条1項では、「追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない」と定められています。加速してしまうとこうなってしまうパターンです。
違う動画ですがドライバー視点だとこうなります。追い越したあと加速されて引き離すことが出来ず、走行車線へ戻れないトラックの動画です。後ろには車がべったり張り付いて下がることもできなくなっています。
こういう状態のトラックを、「追い越しが終わってるなら戻ってよ!追い越し車線を走り続けるな!」という目線で見るドライバーは多い。だけど追い越してすぐ戻れば追い越した車両の頭を塞ぐ形になり危険です。相手にブレーキを踏ませないように安全な車間が取れるまで前に出る必要があります。
引き離すまで追い越し車線を走っている状態なのに「追越車線を走り続けている迷惑トラック」などとユーチューブに晒されているものもあります。
追い越し中の加速は禁止されていますが必ずしも悪意があるとは限りません。
強い向かい風や登りで無意識に速度が落ちてしまい、大型トラックに追いつかれる。そして後ろから追い越しされ横に並ばれたとこで、自分の速度の低下に気がついて元の速度まで再加速。これが原因で結果的に並走状態となるパターンもあります。
なので途中で加速するドライバーが悪意があってやっているとは限らないことに注意が必要です。もちろん追い越され中に加速するのは道交法違反です。
後続車両は追い越し車線でもたついている車両にイライラして詰めすぎたりするようなことがないようにしなければなりません。多重事故の原因となります。
高速道路は普通自動車専用道ではありません。普通車視点の都合で物事を考えるのではなく、仕事で走っている大型トラックなどにも配慮をした運転を心がけるべきでしょう。
トラックとバスは追い越し車線禁止するべき?
最高速度が110km/h、120km/hの区間は、大型トラックと大型バスは、追い越し車線の走行を禁止にするのもありかもしれません。
スイスでは、高速道でトラックとバスは追い越し車線を走ることが禁止されています。日本でも流石に大型トラック類(80km/h制限で90km/hリミッター搭載)は追い越し車線の走行そのものを禁止にしてもいいのではないかと思います。
大型トラックは走行車線を走る車を追い越すときの速度差が僅かであり、追い越しにかかる時間が長いだけでなく、追い抜かれる車の僅かな速度の上限で並走状態になりやすい。
また、120km/h区間の追い越し車線で80km/hで走る大型トラックと120km/hで走る普通車が混在していると40km/hの速度差があり危険性が高いということ。
かと言って80km/h速度制限と90km/hリミッターを廃止し、他の車と同様に追い越し車線を走らせても、制動的な能力や回避動作は普通乗用車より遥かに劣るので危険回避が難しくなります。事故を起こしたときの被害も普通車のときより甚大となります。リミッターは残すべきでしょう。
90km/hリミッターがない大型バスであっても、追越車線をかなりの速度で飛ばしている姿はかなり怖いです。これも90km/hリミッターをつけるべきだと思います。
大型トラックや大型バスなど大きく重い車両は、110km/h、120km/h区間の高速道の追い越し車線を通行できないようにするのが安全だと思います。