喫煙率が下がって肺がんが増えているからタバコは関係はないという勘違い

タバコと肺がんの関係について、ネット上ではいまだにこういう書き込みを目にします。

「喫煙率が下がっているのに肺がんは増えているからタバコは因果関係ない。」「たばこ有害説はデマ。」「うちの祖父はタバコ吸ったことがないのに肺がんになった。」「真実を知るなら常識を疑え。」

などタバコと肺がんの関連性はないと主張する声です。常識は間違っていると言わんばかりにすっかりその気になっているので、これらの主張がいかに表面的で短絡的な思考に過ぎないかこの記事で説明します。

喫煙率が下がっているのに肺がんは増えている

国立がん研究センター及び厚生労働省の国民健康・栄養調査のデータからイメージグラフを作ると肺がん(羅漢率および死亡数とも)と喫煙率の関係は下のグラフのようになります。

こういうグラフを見て、喫煙率が下がっているのに肺がんが増えている、だから喫煙と肺がんは関係がない。という主張です。

まあちょっと考えればすぐに分かりそうですが、世間の常識、医学の常識とは逆の主張をしそれが真実であるという人はいつの時代も一定割合いるもんです。右と言えば左、左と言えば右が真実であるという感じで常に逆を訴えてきます。

肺がんになるまでのタイムラグ

喫煙率と肺がんにはタイムラグが発生します

タバコが原因で肺がんを誘発した場合、タバコを吸い始めたらすぐに肺がんになっているわけではありません。そこには数十年と長い年月の積み重ねがあります。長い期間を経てリスクが増えていくのでグラフはすぐには反映しません。

つまり喫煙率が高かった1960年代70年代の喫煙者が数十年後に高齢となったときに肺がんを増やしています。

高齢化でがんが増える

肺がんが増えているのは高齢化の影響が大きいということ。がん患者のほとんどは高齢者です。高齢となり免疫が下がるとリスクが上がります。

つまりこれは年齢階級別に見ないとあまり意味がないと言という事です。

そこで国立がん研究センターの肺がんの年齢調整の罹患率と死亡率の年次推移をみると、近年の肺がん死亡率は減ってきています。これはがん検診や医療の発達によるものでしょう。

罹患率は80年代からは微増していましたが、2010年ごろをピークにやや減ってきています。つまり年齢別にみれば肺がんになる人はすでにピークに達し減ってきているということが読み取れます。

喫煙率のピークから40年45年と過ぎてようやく反映され始めた感じです。20歳から吸い始めれば45年で65歳。肺がんの罹患が急激に増える年齢で、ピーク年のつじつまが合います。

肺がんの原因のすべてがタバコではない

すると今度は、「タバコを吸っているが肺がんになっていない高齢者がいる。」、「吸っていないのに肺がんになった人がいる。」だから矛盾してる、と言ってきます。

肺がんの原因のすべてが喫煙によるものではありません。肺がんにもいろいろあり、喫煙と関連性のほとんどない肺がん(腺がん)もあります。

タバコを吸ったら100%肺がんになるというわけではありません。あくまでもリスクが上がるということです。喫煙していても生涯肺がんにならない人はいます。むしろならない人のほうが割合は多いです。ただし、非喫煙者と比べれば肺がんになる人は多いです。

これは多目的コホート研究で示されています。

祖父は喫煙歴60年あるが肺がんではない、だから喫煙と関係ない、という身の回りの数例だけで全体の傾向を語ろうとするのは「木を見て森を見ず」ということです。

タバコは肺がんだけではない

喫煙による健康への影響は肺がんだけではありません。口腔がんや食道がんなどもリスクが上がります。またタバコはがんだけでなく、心臓病や脳梗塞、歯周病のリスクも増えます。

タバコは100害あって一利なしです。健康へは悪影響しかなく、生活費や医療費の負担も増えます。喫煙者は今すぐに禁煙することをおすすめします。

また成人を迎えて吸おうと考えている人は1回たりとも吸わないほうがいいです。その1回が依存症への道となります。生まれて一度も吸ったことがなければ吸わないことにストレスはありません。しかしひとたび依存症になれば一生やめるのは容易ではないです。

禁煙始めてから体に起こる変化を表した動画がユーチューブにあります。

この動画によれば、禁煙を始めて、非喫煙者と健康リスクが同じに戻るまでには20年かかります。少しでも早く禁煙することが望ましいです。

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