エと工、カと力、タと夕、トと卜、ニと二、へとヘ、ロと口など、日本ではとても紛らわしい文字が多数あります。
これらは日本人でもわからなくなるし、どう書き分けるのかわからないこともある。外国の人が日本語を学ぶ時はもっと苦労するに違いない。
どれも小学校で習う字だが、学校ではかき分け方は教わらなかった。見分け方や書き分け方はあるのだろうか?これを調べてみたよ。
紛らわしい文字
ひらがな、カタカナ、漢字の中で、紛らわしい文字はどういう物があるのかあげていきます。
カタカナの エ
漢字の 工
カタカナの カ
漢字の 力
カタカナの タ
漢字の 夕
カタカナの ト
漢字の 卜
カタカナの ニ
漢数字の 二
ひらがなの へ
カタカナの ヘ
カタカナの ロ
漢字の 口
中にはややわかるのもありますが、違いがさっぱりわからないものもありますね。
義務教育で違いを明確に教わるものとしては、ソとン、末と未、士と土などあります。しかし上に上げた文字については違いがあるのか無いのか教わった記憶がありません。これらは同じなのか、同じに手書きしていいのか曖昧なまま過ごしてきた感じがあり、もやもやが残ります。
文字の区別の方法を探る
エと工
まずは エ と 工
これ、私自身、書き分けはカタカナのエの方をやや高さを低く書いていた気がします。漢字の工は縦棒をやや長くしていたと思います。ゴシック体も縦棒の長さのみで差があるようです。
では、これを教科書体の表現してみましょう。
エより工のほうが縦棒が長いですね。それ以外は非常によく似ています。
明朝体は文字のデザインで線の厚みなど明確な差が出ていますが、これは書体としてのデザインであり、字体(文字の骨組み)を表すものではありません。
活字だと文字の大きさでは漢字のほうがカタカナより大きくなっています。しかし活字に見られるカタカナと漢字の僅かな大きさの違いに、書体としての基準はなく、手書きする場合に2つとも全く同じ大きさでも間違いではありません。
これがカタカナであるか漢字であるかは文脈や単語から察するのが確実だと思います。「エビ、カエル」のようにカタカナの単語として成り立っているのならば「エ」はカタカナの「エ」です。「人工、工業」という単語であれば漢字の「工」です。
カと力
カタカナのカと漢字の力。
私の目で見る限り、ゴシック体の活字では区別がつかないw。筆記で書く場合は私は漢字の方をカタカナよりも力強く書き分けていました。
教科書体ではどうなっているか見てみましょう。
ん~~~さっぱり違いがわからない。これは全く同じではないのか?
ゴシック体を拡大します。
漢字の力のほうがやや大きいのに気が付きましたか?しかし微妙な大きさの違いなんて並べればわかるかもしれないが、単体で見た場合はわかりません。
では明朝体。
これは横線に違いが見られました。漢字の横線を細くするのは明朝体のデザイン的な特徴です。明朝体で印字された文字を読む時はこれで見分けることができるかも知れません。
手書きの場合では字体(文字の骨組み)の違いはあるのか。くずし字から調べてみます。
見る限り、字体の違いはわかりません。手書きする場合、同じ字体で書いて問題はないようです。
カタカナの字源については諸説ありますが、漢字の「加」から取ったという説もあり、「加」は「力」と「口」が合わさった漢字だと言われています。だとすれば字体は同一と言っていいかも知れません。
読む時は「デジカメ、アメリカ」など、カタカナで構成された単語ならばカタカナの「カ」である。「協力、力比べ」など漢字で構成されていれば「力」は漢字の「力」であると判断できます。
タと夕
カタカナのタと漢字の夕。
これも全くわからんw。
教科書体で見ると。
さっぱり違いが分かりません。明朝体とゴシック体を見てみます。
カタカナの「タ」のほうは斜め線がはみ出ています。これは古典籍のくずし字にあるためはみ出してもはみ出さなくても間違いではありません。また漢字の「夕」についてもはみ出しても間違いではないです。
他に違いを見るとすると、漢字のほうがやや大きいです。
カタカナの「タ」の字源は漢字の「多」から取ったという説があり、「多」は肉を重ねたもので、月から来た「夕」とは字源が異なるため、それを重ねたものではないということらしい。しかし日本語の字体としては「タ」と「夕」に違いは無いようです。
手書きで書く場合、全く同じに書いても間違いではありません。ただ、パソコンなどで文字を打ち込む時は似ているようでも文字コードが異なるため、「た」で変換して「タ」、「ゆう」で変換して「夕」など区別しないといけません。
トと卜
カタカナのトと漢字の卜。
これも本当によく似ていてわかりません。
まずは教科書体と明朝体を見てみましょう。
漢字の「卜」のほうが斜め線がやや垂れ下がっています。
ゴシック体は。
ゴシック体はナナメ線が縦線からやや離れているのが漢字の「卜」。くっついているのがカタカナの「ト」。それと漢字のほうが微妙に大きい。
ではくずし字はどうなっているのか調べてみます。
カタカナも漢字も斜め線が少し離れているものもくっついているものもあり視覚的な違いは感じられません。離すか離さないかについては、字体(文字の骨組み)は同じであり、字形の違い(同じ文字を表すが形が違う)でどちらも誤りではありません。
カタカナの「ト」の字源は漢字の「止」からという説がある。「止」の字源は足裏の形から来ている。漢字の「卜」は、卜骨と言われるように骨を焼いて出来た亀裂の形から来ている。つまりそれぞれ字源は異なる。
しかし実際の場面では手書きで書く場合は全く同じで問題はないようです。漢字の方を気持ち大きく書くと見やすいかも知れません。ただ、パソコンなどで入力する時はきちんと区別しないといけません。
ニと二
カタカナのナニヌネノのニと漢数字の二。形もそっくりで読み方も同じ。非常に紛らわしい文字です。
明朝体こそデザイン的な特徴で区別は付きますが、字体としてはあまりに似過ぎてもう笑うしかないです。やはりこちらも漢字のほうがやや大きくなっています。しかしカタカナと漢字のわずかな大きさの差の決まりはありません。
カタカナの「ニ」の字源は漢数字の「ニ」や「仁」という説があります。つまり形は漢字と同じと考えていいのではないでしょうか?ただ、手書きする時は漢字の方をやや大きめに書くと見やすいかも知れません。
パソコンなどで入力する時は文字コードが異なりますのでカタカナと漢数字を区別して変換しましょう。
へとヘ
ひらがなのへとカタカナのヘ。
教科書体では違いはなしw。ここまで来ると間違い探しより難しいです。
明朝体もほぼ瓜二つ。下記初め部分に微妙な違いはあるがこれはデザイン的な差で字体(文字の骨組み)の違いを表すものではありません。
全く同じように見えますが、山の高さに微妙な差はあります。ひらがなを曲線的に、カタカナを直線的に描いた感じです。ただ、それも間違い探しレベルのわずかな差でしか無いです。
行書体でもひらがなは曲線的、カタカナは直線的になっています。
字源はどちらも漢字の「部」の「阝」から変化して「へ」の形となったようです。ここまで来るともう完全一致のような気がします。
傾向としてカタカナは角張った形が多いためか、ひらがなを曲線的に柔らかく、カタカナを直線的に角ばらせて書く人もいるようです。
へとヘの違いの明確な決まりはありません。手書き文字であれば特に気にせず同じに書いて問題ありません。パソコンで入力する場合は文字コードが違いますので区別して入力しましょう。検索にも影響します。
ロと口
カタカナのロと漢字の口。では各書体で比較していきます。
明朝体は文字のデザインの特徴で違い出ています。大きさの違いもわずかに見られ、漢字の「口」のほうがやや大きくなっていますが、大きさの違いについての明確な定義はなく、活字の大きさの違いは見やすくするために違いをつけているといえます。
カタカナの「ロ」の字源は漢字の「呂」から来ているようです。呂の字源は背骨の形です。漢字の「口」の字源は人の口の形です。つまりロと口の字源は異なります。
しかしロと口の違いに明確な定義はありません。手書きなら全く同じに書いて問題ありません。見さすさという点では漢字の方をカタカナよりやや大きくするのはありだと思います。パソコンで入力する場合は文字コードが異なるのできちんと区別する必要があります。
まとめ
この記事で取り扱った文字に関しては、2つを全く同じに手書きにしてもどちらも正解です。
漢字の「夕」の内側の斜め線がはみ出るかはみ出ないか、「卜」の斜め線が縦線と離れるかくっつくかは、どちらでも正解です。
日本古典籍のくずし字に関してはこちらで検索できます。
ただ、筆記をする場合に「見やすく美しく」書くという目的で、漢字よりカタカナやひらがなをやや小さめに書くことは多いようです。もちろんこれは定義ではなく、全く同じ大きさで書いて間違いではありません。
カタカナと漢字の大きさの違いを分けているものは、あくまでも美しさと見やすさを目的としたものです。
注意することは、手書きならば全く同じ字体に書いて間違いではないが、パソコンで入力する時はきちんと区別して入力しないと、文字データとしてのコードが異なっているため、グーグル検索など利用するときに影響が出ます。
読む場合の判別は、やはり文脈や単語でどのように使われているかで判断していくことが確実です。
「力を発揮する。」という文章であれば、「ちからをはっきする。」となり、「かをはっきする。」では日本語がおかしくなるので、ここでは「力」は漢字の「ちから」であると判断が可能です。
「カレンダー」という単語であれば、「かれんだー」であることは分かります。「ちかられんだー」では日本語がおかしくなります。
ただ、「そこにはまだカがいる。」であれば、「そこにはまだ蚊がいる。」なのか「そこにはまだちからがいる。」なのかどっちであるかわかりにくい。それは前後の文脈で判断していくしかないでしょう。
日本語は難しい。