歩道は歩行者が歩く部分で、車道は車が走る部分。
ここまでは誰でもわかる。
では、歩道と車道を分けている縁石は歩道に含まれるのか、車道に含まれるのか、あるいはどちらでもないのか?縁石の上を歩いている人もいるが、あれは違反なのか?という疑問についての記事を書きます。
道路交通法では
道路交通法ではどうなっているのか見ていきましょう。
歩道の定義
歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
出典:道路交通法第2条第1項第2号
車道の定義
車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。
出典:道路交通法第2条第1項第3号
縁石の定義・・・・なし
道路交通法は表現が曖昧であり、縁石がどちらに含まれるのかは、ここから読み取ることは出来ません。
道路構造令では
道路構造令でも歩道の定義は同じ。
歩道 専ら歩行者の通行の用に供するために、縁石線又は柵その他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。
出典:道路構造令第2条第1項第1号
縁石は道路構造令では路上施設である。
路上施設 道路の附属物(共同溝及び電線共同溝を除く。)で歩道、自転車道、自転車歩行者道、中央帯、路肩、自転車専用道路、自転車歩行者専用道路又は歩行者専用道路に設けられるものをいう。
出典:道路構造令第2条第1項第19号
道路構造令第12条(建築限界)で、歩道の建築限界を示す「第二図」には路上施設は歩道幅員に含まれている。
第二図
出典:道路構造令第12条第2図|e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)
ちなみに、道路構造令第2条第1項第19号では路肩にも路上施設は存在することになっているが、路肩の路上施設が何かというと、歩道がない場合の道路端に設けられている防護柵などが路肩の幅員に含まれている。
車道に接続する路肩に路上施設を設ける場合においては、当該路肩の幅員については、第二項の表の車道の左側に設ける路肩の幅員の欄又は第四項の表の車道の右側に設ける路肩の幅員の欄に掲げる値に当該路上施設を設けるのに必要な値を加えてこれらの規定を適用するものとする。
出典:道路構造令第8条第11項
これは国土交通省の平成15年度 建設技術移転指針策定調査(道路設計基準)報告書69ページにある「図5.4.5 路肩の機能上の分類」で確認できる。この報告書では歩道がある場合の歩道と路肩の幅員も図で示されている(71ページ)が、路上施設は歩道の幅員に含まれている。
つまり縁石は歩道に含まれる。
防護柵がある場合も、防護柵は歩道の範囲。
歩道幅員は路上施設まで含まれるが、歩道有効幅員としては路上施設は含まれない。
縁石の上を歩くと違反?
通行の区分的には、道路交通法では歩行者は歩道を通行することとなっている(※ちなみに法第10条第2項を違反しても罰則の規定はない)。
歩行者等は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
出典:道路交通法第10条第2項
道路構造令では縁石は歩道に含まれる(ただし歩く有効な部分ではない)が、交通のルールは道路交通法。その道路交通法では表現が曖昧なため、縁石が歩道に含まれるのか、含まれないのかを明確に読み取ることは出来ない。
しかし、縁石の上を歩くと体の半分(またはカバンなど)が車道(道路交通法での車道の範囲)にはみ出るわけで、車道を走る車両と接触する恐れもあり、踏み外して車道側に転倒すれば、タイミングが悪いと自動車にはねられてしまうため、危険な行為と言える。
違反か違反でないかどっちなのかというと、明確に違反というわけではないものの、マウントアップ方式の歩道(歩道が縁石の高さになっている)ならまだしもフラット方式の歩道の縁石の上を歩けば、パトロール中の警察に「危ない」と注意される可能性はある。
道路の構造上は縁石は歩道(歩道幅員)であるが、有効幅員ではなく、縁石は、この上を歩行者が歩く部分として作られたものではない。おまけに雨で濡れているとアスファルトよりも滑りやすい。
自転車が歩道を走る場合は歩道内の車道寄り(道路交通法第63条の4第2項)を走る義務があるが、歩行者に関しては歩道内の民地寄りを歩くという義務はないものの、なるだけ歩道内の民地寄りを歩いたほうが安全だと言える。