車道の左端を通行していた自転車がバスに幅寄せされ、あわや接触したかもしれないという問題動画がニュースで取り上げられました。
ユーチューブサイトには自転車に乗っていた本人が投稿した動画があります。動画の状況では自転車は右も左も逃げようがありません。自転車は綺麗に直進していたので良かったものの、もし自転車が少しでもふらついていたら接触したような状況。
このような経験をした人は少なくないと思います。こういう状況での事故は全国で結構多いと思います。私が高校の時には、自転車で通学中の生徒が追い越してきたダンプカーに引っ掛けられて死亡した事故がありました。この動画をきっかけにして、この問題を考えていきましょう。
例の動画を見ると
バスに幅寄せされた方のユーチューブチャンネルにあるオリジナル動画です。
自転車ナビマークのある道路を左に寄せて直進していた自転車。その横スレスレをバスが通過。あわや接触という場面の動画です。
運転手「お前らがトロトロ走ってるからだろ、歩道を走れ」
この言い分を聞く感じでは故意にギリギリで寄せ追い越したんでしょうか。動画では自転車は自転車ナビラインよりも左端を綺麗に真っすぐ走っています。
自転車は蛇行もふらつきも一切なく、私が見る限り自転車の走行方法は何も問題はありません。しかしバスの運転手は何がか気に食わなかったのでしょうか。しかしこれは一歩間違えば自転車を引っ掛けてタイヤに巻き込んで重大な事故になっています。巻き込んだらどうなるかくらいわかっているはずです。非常に危険な運転行為です。
車道を走る自転車が邪魔だから幅寄せしていいという法律なんてありませんし、そういう危険行為を故意でやったのならば狂気の沙汰。公道を運転する資格はないと思います。
動画では自転車は自転車ナビマークを走行
自転車ナビマークと自転車ナビラインは自転車専用レーンとは意味が違います。
自転車ナビマーク・自転車ナビラインの表示する意味
自転車が通行すべき部分及び進行すべき方向を明示するものです。
出典:自転車ナビマーク・自転車ナビライン(警視庁)
自転車は、矢印の向きに進行してください(逆行はできません)。
自転車ナビマーク・自転車ナビラインは、法令の定めのない表示であり、この表示自体に新たな交通方法を指定する意味はありません(通行方法については法定又は道路標識等の交通規制に従うこととなります)。
自転車ナビマークがあっても自転車専用通行帯とは違い、自動車もここを走行出来ます。つまり自転車と自動車が混在する部分。動画での問題は、運転手が自転車を追い越すときに十分な間隔を開けずにあわや接触。安全を配慮しなかった点。
これは多くの人が遭遇するであろう深刻な問題です。一応、自転車は基本的に車道を走ることにはなっていますが、安全上やむを得ない場所は歩道走行しても良いことになっています。また、自転車が走行しても良いと標識がある歩道は以外に多いのでよく見ておくといいと思います。
自転車は基本的に歩道を走行
普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
出典:道路交通法第63条の4
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
さらに道路交通法施行令で歩道を走行できる人について
法第六十三条の四第一項第二号の政令で定める者は、次に掲げるとおりとする。
一 児童及び幼児
出典:道路交通法施行令第26条
二 七十歳以上の者
三 普通自転車により安全に車道を通行することに支障を生ずる程度の身体の障害として内閣府令で定めるものを有する者
児童及び幼児とは13歳未満の子供のことです。この道路交通法施行令に該当する人は、自転車通行可か否かに関わらず歩道を通行できます。またそれ以外の人でも、歩道通行が認められているところは歩道通行できます。そして、動画のような、安全を確保できない交通状況の場合は歩道を通行して良いのです。
自転車に車道走らせる法整備は早すぎた
日本では2008年に自転車は車道を走ることと明確に定められましたが、自転車が走る整備が整っていないのに法だけ作ったのがダメでした。オランダなどはちゃんと自転車が走行できる環境が整っています。日本の道路は狭すぎるんです。
状況的に危ないと感じる場所は遠慮なく歩道を通行しましょう。ただし自転車が歩道を走るときは歩行者には十分注意して安全な速度で走行しなければなりません。道路交通法では徐行することになっています。歩行者を驚かさないよう配慮しましょう。
車道が危ない場合は歩道を走っていいのです
多くのバスの運転手は車道の左端を走る自転車の側方から追い越す場合は、安全な間隔を開けて追い越します。動画のバスもそうするべきでした。自転車はあの状況では右も左も挟まれているのでどうすることも出来ません。
動画の男性はギリギリまで幅寄せされてもバスにぶつかることなくやり過ごせましたが、主婦などが自転車で走っていた場合、接触して転倒していた可能性も十分あります。あのような場面を体験したことがある人は少なくないはずです。
道路の左端というのは、異物があったり砂利があったり、轍もあったりで自転車はハンドルをとられやすいです。ドライバーは自転車が車道側へ転倒する可能性も考えて、追い越すときは十分に間隔を開ける。
これが安全運転です。右側にもう一車線あれば右車線に移ってから追い越せばほぼ間違いない。片側一車線で追い越すスペースがない場合は追い越さないこと。やり過ごすしかありません。事故を起こせばすべて失います。
とりあえず現時点での自転車側の対策としては交通の状況的に危険と思われる場合は無理に車道を走らず歩道を走ることです。