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子供がうるさいから公園廃止?青木島遊園地廃止の本当の理由

地元の要望で2004年に作られた長野県長野市青木島町大塚の青木島遊園地(遊園地という名前だが公園)が、長引く騒音クレーム問題の影響で2023年3月31日をもって廃止となることに。

メディアは子供の声がうるさくて廃止と伝えているが、実は騒音のクレームは子供の声に関してだけではありませんでした。たった一人のクレーマーとの長いトラブルがあったようです。

クレーマーという言葉は世間一般的にイメージは悪く、安易に使うのは気が進まないが、悪質かどうかは別として、クレーマーとは「しつこく苦情を入れる人」という定義であり、この言葉の意味に合致しているのでクレーマーという言葉を使います。

「子供がうるさいから廃止」というメディアの見出しが独り歩きし、全容を知らないまま意見を述べている人を多く見かけるので、この一連の問題を最初から追っていき青木島遊園地の背景を見ていきます。

青木島遊園地のクレームのあらまし

まずはクレームが原因で2023年3月31日で廃止予定となっている青木島遊園地(公園)の場所です。立地環境は良さそうに見えます。

ストリートビューだとこんな感じです。遊具はほぼなく、広場があるだけと言った感じです。公園のルールを書いた看板が掲げられています。

ボールが公園外に出ていくことを防止するためか、野球やサッカーは出来ないようです。

青木島遊園地のクレーム問題は、ある一人の住民が公園とその脇に隣接する児童センターへ出した騒音苦情です。メディアは「子供がうるさいから公園廃止」と伝えていますが、その背景は複雑でした。

あらましを書くと(苦情者をA氏とする)

  1. 地元の要望で2004年に公園が建設。
  2. 児童センター設立のときに、大塚第一地区代表2人への説明はあったが、A氏への説明はなかった。
  3. 館外放送がうるさいと苦情。
    →館外放送はやめた。
  4. 送迎の車のエンジンが止まっていなかったことへの苦情。
    →駐車場の工夫や、通知書で保護者への通知。公園駐車場に「バックで駐車してエンジンストップ」の看板設置。
  5. 子供が走り回って遊ぶのがうるさくてとても耐えられない。
    →遊具を奥の方へ移設。樹木の植え替え。公園灯時間変更。ボール遊びと花火の規制。児童センターが30人同時に遊ばせていたのを5人へ減らしたが苦情が続くため遊ばせるのをやめた。青木島小学校も苦情のため公園を利用しないことに。
  6. 館内放送も気になるという。
    →玄関により南側で使うように心がけているので理解してほしいと伝える。
  7. 遊戯室で遊ぶ子供の音が気になるという。
  8. 児童がボール遊びをしていると、苦情者が手を引いて看板の前に連れていき注意していた。
  9. 苦情対応しながら利用することが困難。誰も利用しない公園は廃止したほうが良いと判断。
  10. 公園廃止へ。

A氏の主張

  • 児童センター、公園の建設に関して説明がなかった。
  • 家にボールが飛んできたり、植栽が荒らされることが重なった。
  • 児童40-50人が拡声器の号令で遊ぶ(開設当初)
  • 1日100台の車が迎えに来る。
  • 騒音に18年間苦しんできた。

公開資料

長野市議会議員の小泉一真氏が情報公開請求で入手した文書がスライドシェアにアップされていますので詳しく知りたい方はこちらから(全部で4つ)。

管理側は色々と気を使って対策を試みたようですが、それでもクレームはおさまらなかったようです。

クレームのやり取りの詳細がこちらです。

考察

クレームに対しての対応状況について 1日に何度も電話するほどで業務的にも対応が苦しかったように思えます。この騒音は、深夜の音ではなく日中であるし、ある程度の生活音は妥協しないと社会での共同生活は無理だと思います。

クレームの要望に答え、たくさんの対策を施したにも関わらず、それでも終わることなく次から次へとクレームが続いていること。しかも繰り返されるクレームはたった一人の同じ人であること。以上から、もしかすると苦情者の本質的な原因は騒音ではなく、児童センター設立に関して自分への説明がなかったことが(地区代表者2人への説明はあった)本当の原因だったのかもしれません。

挨拶がなく勝手に作られたことで気分を害してしまうと、児童センターや保護者の動き、子供などに神経質になり、音に対して敏感に反応するようになってしまうでしょう。

もちろん本当の原因は違うかもしれません。単に他の住民よりも音やマナーに敏感な人だったのかもしれません。

人によって騒音の感じ方は違います。仲のいい知人が立てる物音や会話は騒音と感じないが、赤の他人の立てる物音や会話は騒音と感じ、敏感に反応する人は多いです。特に嫌いな人の立てる物音や会話は僅かな音でもイライラする傾向は多くの人に当てはまるものです。

子供が嫌いな人は子供の立てる音に敏感に反応します。バイクが好きな人はレーシングマフラーの音を美しいサウンドと思いますが、バイクに興味がない人にとっては騒音です。

普段音に敏感な人なのに、店内がうるさいパチンコには通っているというパターンもよくあります。自分が好きなものは大きな音でも騒音ではないのです。

少数派の騒音クレーム問題というのは、年に一度の除夜の鐘でもクレームがあり、頻度は関係なく起こります。風鈴の音でもクレームはあり、音量と関係なく起こります。耐え難き音というのは、受け取る側の感じ方によります。

実際この騒音問題の音の大きさが常識の範囲内であったか、実際に何デジベルあったのかが具体的に記録されてないので、苦情者の体感に基づいた議論になっています。そしてその体感は人によって感じ方が違うということです。

家にボールが飛んでしまうことはどの公園でも昔からある問題で、福岡市の場合だとボール遊びができる公園だと、ボールが飛び出さないように高い金網を設置したり、ネットを張って対策しているところをよく見ます。

青木島遊園地の柵は高さ1mほどしかなく、ボールが飛んでいきやすい環境です。やはりボールが外へ飛んでいかないための対策をするべきだと思います。

植栽が荒らされるのはおそらく送迎待ちの児童が周辺をウロウロして私有地に入り込んだ形でしょうか。保護者やセンターの人が児童へちゃんと教育し、しっかり見張っている必要があるでしょう。

1日に100台の車がお迎えに来るというのを、同時に100台並ぶと勘違いしているネットの声もあるがそうではありません。実際どういう状況かは見ていないのでわかりませんが、やはり状況をビデオ撮影などして、それをもとに複数の会議出席者に見てもらい、議論をするべきだったと思います。

屋外の拡声器の使用は苦情後にやめているが、その後屋内の拡声器も気になるということで、苦情者はかなり神経質になっていたことが伺えます。

苦情者は公園廃止については大賛成ということですが、ここまでの流れだと公園を廃止しても苦情は終わらないと思います。児童センターへの苦情、送迎車への苦情、隣接された保育園や小学校へも苦情がいく気がします。

どう対応するべきだったか

この問題に関しては、公園内でルールを守って遊ぶ子どもたちには何も罪はないということ。

私の意見を言うと、まずはそのクレームが妥当なものであるかの調査をしっかり行うことです。つまり騒音が一般常識の範囲だったのかどうかということを測定し、数値で証明することです。

クレームが発生する時間にその場に立ってどういう状態なのか調査する。一定期間、複数箇所で(できれば苦情者宅でも)毎日音量を測定する。状況がわかる動画も撮影する。そういったデータをしっかり集めることが大切です。

また他の近隣住民は苦情者が訴える騒音に関してどう感じているのか調査する必要があります。

そうでないと苦情者の主張が妥当なものか、騒音は常識の範囲内なのか、その議論はできません。一人の主張だけを丸呑みしたイメージだけでの決断や対策はリスキーです。

周辺にも住宅があるにも関わらず度重なるクレームが一人だったということは、やはり他の近隣住民とは感じ方が違っていた可能性はあります。あるいは他の住民は平日日中は自宅には不在だった感じなのでしょうか。

公園に関して言えば、公園で子どもたちに音を立てずに遊べと言うことは無理な話で、そもそも公園は走り回って遊んでいい場所であり、無言で静かに本を読む図書館ではない。ある程度の音は出るがそれは日中に限定されているし、深夜の騒音とは違います。

世の中は自分ひとりが生きているわけではありません。多くの人が同じ地域で共同生活をしています。生活騒音は少なからず発生しますし、個人の価値観を優先するために多くの人を制限させると地域の共同生活は成り立たず、誰しもがどこかである程度は妥協して成り立っています。

特定の音に神経質になると常識レベル以下の音でも耐え難き苦痛レベルの騒音と感じるものです。こうなってしまうと公園がなくなっても音をいくら小さくしてもクレームは終わらないと思います。いがみ合っている状態では何をやっても解決はしないでしょう。

足りないのは近所とのふれあいです。苦情を出し続けている人と児童などが情緒的につながった関係を築き仲良くなることが解決への近道(騒音として感じにくくなる)です。児童たちといっしょに町内の行事やイベントをやり、児童や保護者、センター職員と打ち解けていく事ができればストレスは大きく減るでしょう。

一緒に行うイベントであれば互いに楽しく、苦情者にとっては騒音ではありません。そうやって円満に解決していくのがベストです。

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