ネット上でコオロギ食の叩かれ方がすごい。否定的意見、誤情報、陰謀論・・・ありとあらゆるコオロギへのネガティブな意見や情報が溢れています。
その根本的な理由にあるものが昆虫食への拒否反応。
現代人は昆虫に触ることさえ苦手な人が多く、昆虫はゲテモノであるという認識、昆虫食が生理的に受け付けられない人が多い。白状すると僕も昆虫食は苦手(触るのは平気)。
コオロギを使用した敷島製パンと学校給食がSNSで叩かれていますが、ほとんどの人が間違った解釈をしたまま怒り出して叩いている状況。感情的となり、周りも見えず、説明も通じず、間違った情報のまま暴走特急となっている状態です。
どこで勘違いが起きているのかを記事にしました。
敷島製パンのツイートリプライが無法地帯に
コオロギパンを出したとして、敷島製パンのTwitterアカウントが大炎上。
敷島製パンのあらゆるツイートにコオロギパンを出したことについて反対意見のリプライで溢れかえっている状態です。どのようなツイートにも溢れかえり、あまりに多すぎてもはや集団いじめや嫌がらせと変わらない。
意見だけならともかく、嫌味、皮肉、人種差別用語を使用した表現、憂さ晴らしや嫌がらせのリプライなど、とにかく言葉が汚いです。ネチケットが崩壊したリプライが多い。また、「コオロギパンを食べさせるな」「今更言い訳しても遅い」など勘違いしたリプライや、「危険性がある」「発がん性がある」など科学的根拠のないものや脅迫めいたリプライも散見される。炎上に便乗した悪ふざけ勢っぽいのも見られる。
敷島製パンに文句を言いたい人がコオロギのネガティブ情報を探す。すると陰謀論アカウントの拡散ツイートにたどり着く。そしてその陰謀論アカウントが出した胡散臭い情報を片手に一般アカウントが叩き始めた。
敷島製パンを叩いている人の問題点は、メディアの記事をきちんと読まないで、どういう販売形態なのかも調べもしないで、「敷島製パンがパンにコオロギ粉末を混ぜた。」というそこだけを切り取り、勝手な解釈と想像だけで評価して叩いていること。
コオロギ製品を作っているのは敷島製パンだけではありません。無印良品もコオロギせんべいを2020年から販売。しかし無印良品のツイッターアカウントは炎上していません。敷島製パンも販売始めたのは2020年です。その当時は炎上していませんでした。炎上は2023年以降。
敷島製パンだけ集中的に叩かれるのはメディアが取り上げたりTwitterで多く見たりといった話題性かもしれません。
敷島製パン炎上の誤解
コオロギパンを出したとして炎上した敷島製パン。炎上の勘違いとして多いのがこのパターンです。
敷島製パンはパンにコオロギパウダーを混ぜているらしいぞ。
安心して食べられない。
よしツイートして拡散しよう。
不買運動を広めるぞ。
そもそも通販限定なのに、何も調べず、全部に混ぜこんだと勝手に勘違いして怒り出したパターンが多い。工場が別で混ざることはないと敷島製パンが公式サイトで説明しても怒りは収まらない。
通販のみとか工場が別だとかそういう問題じゃない!
もう、逆上して周りが見えなくなり、何を説明しても説得しても怒りが収まらない。食べたい人だけが買って食べればいいだけの問題なのに、彼らはとにかくコオロギ商品を出していることに腹が立っていて、何でもいいから叩きたい状態。
敷島製パンは昨日今日コオロギパンを発売したわけではなく、すでに2020年からオンラインショップで限定発売していた。それは2日で完売。その後ちょこちょこ再販し現在もオンラインで限定販売されています(限定じゃないだろという突っ込みはあるが。まあ受注生産みたいな感じなのかな?)。それが2023年になって今更炎上した感じ。
Twitterでは敷島製パンのパンは全部買わないというツイートで溢れました。不買運動を広めたいツイートが多くみられた。
コオロギパンはオンラインショップ限定でその販売公式サイトにはこう書いてあります。これは炎上後一部追加・修正などされたようです。
- コオロギパンはオンラインショップ限定の4商品のみ。
- コオロギを使用した商品であることをパッケージに分かりやすく記載。
- 甲殻アレルギー表示あり。
- コオロギパンは工場建屋・製造ライン・製造スタッフが別である。
- 超熟シリーズなど他商品にコオロギパウダーが混入する可能性はない。
- 使用しているコオロギは管理が行き届いた養殖コオロギ。
詳しくはPASCOオンライショップ公式サイトから見れます。
情報をきちんと知れば怒る理由はまったくない。わからないようにこっそり混ぜたわけでもない、ラインが同じわけでもない、商品名もきちんと分かるようにしてある、通販限定だから店頭で間違って買うこともない。食用コオロギの安全性は欧州食品安全機関(EFSA)が認めている。好きな人だけが買って食べればいい。
学校給食炎上の誤解
徳島県立小松島西高校の集団給食で、食物科の生徒がコオロギのパウダーを使った料理を、当日の給食に加え、希望者のみに追加される試食という形で作った。甲殻アレルギーの説明はあった。食材は企業などから提供された安全なもの。
2022年11月に1回目、2023年2月に2回目。これはニュースにもなった。
1回目の試食以降クレームが相次ぐ。
徳島県立小松島西高校は小中学校で食べるような給食形態とは異なり集団給食。生徒がメニューを考え調理し、希望者のみが食べる。学校のサイトによれば食物科3年生5-6名がメニューを考え毎日交替制で集団調理しているという。
その通常メニューに追加される試食(1回目は小さな団子状のコロッケ一個)という形で希望者のみが食べたわけです。
これは政府や自治体などが介入してコオロギ給食を出したわけではなく、学校の命令でやらせたわけでもなく、ほぼ生徒と先生の自主的なもの。生徒が友人のプレゼントとして買ったコオロギを友人が集まって食べ、それを見た先生が加わって話が進む。
その後グリラス社からコオロギパウダーの供給で生徒が試作をした。その結果が良かったので試食として試みることになる。当日の通常の給食メニューに対し、希望者にコオロギ粉末入りのカボチャコロッケ(1個)が追加される形での試食となった。試食2回目はコオロギエキス入りの大学いも。
そこで起こった勘違いがこれ
徳島県立小松島西高校の給食でコオロギ粉末を使ったメニューが提供されました。
給食にコオロギ入れて子供に食べさせたとかおかしい!
子供に食べさせるな!
アレルギーの問題もあるだろ!
そして苦情のことがニュースになり、勘違いした人がSNSで更に炎上させた。
学校が給食にコオロギ粉末を混ぜた!
学校給食で生徒にコオロギ食べさせるとか頭オカシイ!
なぜ子どもの給食でやるのか!
学校給食に出すとかカルト化している!
補助金が出ている。金儲けのため。
お前らが食え卑怯者!
勘違いはこれ
- 学校給食にコオロギを入れて食べさせた!
給食に入れ全員に配ったのではなく、希望者のみの試食。 - なぜ子供の給食でやるのか!補助金が出ている!
政府や自治体の取り組みではない。生徒と一人の先生で自主的に発案し、食物科の生徒が作った。 - アレルギーの問題
アレルギーの説明はあった。
多くの勘違いは、一般的な小中校の給食と同様に不特定多数の生徒に食べさせたと思いこんでいること。
小松島西高校は給食センターが作って配っている形態ではありません。食物科の生徒がメニューを考えて作っています。コオロギ試食は生徒が取り組んだものであり、政府とか自治体はコオロギ試食に全く関与していない。
コオロギ食が叩かれる理由
2020年あたりから敷島製パンや無印食品などコオロギ製品が出ていたにも関わらず、なぜか2023年という今になって大炎上。メディアのコオロギ関連ニュース、SNSでのコオロギのデマが発端かもしれない。
コオロギ食が異様なまでに叩かれる理由は昆虫食に対する嫌悪感、つまり心理的要因です。自分たちが育った食文化が根本にあり、昆虫は気持ち悪いものであり食べ物ではないという認識。それが食べ物になるのが受け入れられないということです。
食べる食べないは自由であるにも関わらず、コオロギに関わったというだけで許せないという人がネット上に多く現れ、その言動が一線を越えてしまった。
政府はゴリ押しはしていませんし、食べたい人だけが食べればいいのです。
もう一つは陰謀論者などの誤情報を鵜呑みにしてしまったため。これがコオロギ不安を加速させた。
コオロギの不安のほとんどは誤情報。多くの人はSNSのソースなき情報を鵜呑みにし根拠を確かめません。不安を煽るツイートは、怪しいアカウントが発信する出典元がない捏造だったり、データの見方を間違っている物が多い。
食用コオロギは欧州食品安全機関(EFSA)も認めている通り安全です。
- 2018年にEFSAがリスクあると評価?
その後の2021年と2022年では安全と評価されEUで解禁。2018年のものも全文をよく読めばそれほど危険ではないのがわかる。 - 外殻に発がん性がある
どこにもソースが示されていない。実際に科学的根拠なし。 - ボツリヌス菌がある
コオロギ特有ではなくすべての食品が同様リスクだが製品の場合は心配不要。ちなみに120℃4分で死滅。 - 寄生虫がいる
サバやイカも同様。十分な加熱処理で問題はない。 - カドミウムが含まれる
土壌環境に依存。養殖では心配はない。 - カエルでもコオロギを食べない
食べている動画はいくらでもある。 - 漢方で微毒
漢方の毒は西洋医学の毒とは意味が違う。四气五味の度合いが低いこと。利尿効果あるいは天然中国コオロギの衛生面(殺菌処理不十分の場合)の問題。食用は養殖であり、加熱処理もして衛生面で問題なし。 - 妊婦が流産する
科学的ソースなし、漢方辞典にも記述なし。 - 漢方で妊婦に禁忌
利尿効果あるいは天然中国コオロギの衛生面(殺菌処理不十分の場合)の問題。食用コオロギ商品が妊婦に悪影響があるという科学的根拠はない。 - 中国でさえ食べない
中国は1200年のコオロギ相撲の伝統昆虫でコオロギは食用と認識してない。ただ、雲南省では食べる。 - プリン体が異常に多い
研究データを良く見ればわかる。条件を同じにするとプリン体はイワシやクルマエビと同じくらい。
ただ甲殻アレルギーの問題は正解。これはエビやカニ同様、商品にアレルギー表示すればいい話。
それにしてもSNSは早とちり勢による炎上が後を絶たない。困ったもんだ。