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日本が食品添加物大国という嘘・デマを暴く

日本って添加物大国?なんかそういうことを訴えるサイトが多い。しかし私はそんなこと聞いたことがない。

日本が添加物大国だと主張するサイトは以下のようなデータを用いてきます。

  • 日本 1500種類
  • アメリカ 133種類
  • ドイツ 64種類
  • フランス 32種類
  • イギリス 21種類

この情報の出どころがさっぱりわかりません。どのサイトもソースが書いてない。いつのデータかもどこから拾ってきた情報なのかもどういう数え方なのかも、香料も含まれているのかさえもさっぱりです。

この出所不明の情報があちこちのサイトにコピーされ、日本は添加物大国だと訴えているのです。そのほとんどが個人サイトや個人クリニック、または無添加食品を販売するサイトなど。

週刊誌かあるいは添加物を煽る本がソースなのか、あるいはSNSなどの陰謀論ツイートからなのか?

つまりこれらがどういう基準で数えられているのすらわからないのです。にも関わらず自信たっぷりにこれらの数字を掲げ、日本は添加物大国だと訴えるのはどうも怪しい。

そこで環境めぐりでは、実際はどれくらいの添加物が使われているのか、各国の政府のサイトから直接調べます。

日本の食品添加物は1,558品目

厚生労働省によれば指定添加物と既存添加物の合計で829種類(香料含む)となっています。

令和3年1月15日現在、日本の食品添加物の数は829品目(香料を含む)あります。

出典:よくある質問(消費者向け)Q4.食品添加物の海外の基準は日本よりも緩いのですか?|厚生労働省

しかし829というのは指定添加物と既存添加物の合計であり、「使用が認められている食品添加物」の定義で数え直してみます。

日本で使用が認められている食品添加物には指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物があります。

出典:よくある質問(消費者向け)Q2.どのような食品添加物の使用が認められているのですか?|厚生労働省

指定添加物が472種類既存添加物が357種類、指定を必要としない天然香料が624種類一般飲食物添加物が105種類となっています。これらを合計すると日本で使用が認められている食品添加物は1,558種類となります。

また、指定添加物472品目の中にある、脂肪酸類やエステル類など「18類の分類に該当する香料」を物質ごとに細かくカウントするとこれら18分類の香料は3,151種類あります。

アメリカの食品添加物は2,688種類

まあざっと言ってしまえばアメリカの食品に添加される物質は3,975種類(2018/06/26更新分。ただしFDAのEAFUSというリストで扱われる総数であり食品添加物としての定義ではない)。日本との比較は単純ではない。FDAが食品添加物としている定義が日本とはまるで違うこと。

FDA(米国食品医薬品庁)の食品添加物データベース
Substances Added to Food (formerly EAFUS)|FDA

このFDAの定義だとアメリカの食品添加物は2,688種類(直接添加物と間接添加物の合計)

ただ、日本はアメリカの間接食品添加物(食品と接触する容器に使われた添加物から微量に食品へ入り込むもの)を食品添加物と定義していない。間接食品添加物を引いて直接添加物のみにするとアメリカは1,629種類(天然香料207種類と合成香料721種類含む)になる。

ちなみに着色料が51種類あるがアメリカでは食品添加物に定義されていない。さらにGRAS(すでに安全と認められた既存添加物)も食品添加物と定義されていない。これは1,056種類ある。日本は既存添加物も食品添加物と定義されているので、同じように合計すると2,736種類となる。

ただ、日本は18類の分類に該当する香料(物質ごとに3,151種類ある)は18種類としてカウントしてしているので全部足せば日本も4,600種類ほどになる。

ただ、これでもまだ完全一致したわけではなく、日米で条件を全く同じに揃えることは不可能。

確実に言えることは、アメリカの食品添加物がたった133種類という情報はまったくのでたらめであるということ。おそらく何年か何十年か前の連邦規制集Part172のセクション数を数えたのではないかと思います(現在は152セクションある)。

連邦規制集 Part 172
https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-B/part-172

ただしこれはセクション数であり添加物の種類数ではありません。

たとえばPart 172.892 は「食品でんぷん加工品」というセクションだが、CAS番号で48種類の添加物に分けられています(上の連邦規制集はリストではないためCAS番号はない)。

Part 172.515 だと「合成香料物質および補助剤」というひとつのセクションだが、これは721種類ある。

ネットの個人サイトなどにある「アメリカは133種類」という根拠のないデータはこういうのを1種類で数えているのではないだろうか?

添加物の種類はこちらのEAFUSで調べることが出来ます。
Substances Added to Food (formerly EAFUS)|FDA

カナダは656種類

カナダで承認された食品添加物は656種類(カナダ政府のウェブサイトより2022年7月27日確認時点)。

カナダの食品添加物のカテゴリは15。

  1. 固化防止剤 15種類
  2. 漂白剤、熟成剤、生地改良剤 16種類
  3. 着色料 47種類
  4. 乳化剤、ゲル化剤、安定剤、増粘剤 103種類
  5. 酵素 51種類
  6. 固化剤 11種類
  7. 光沢剤、研磨剤 12種類
  8. その他 122種類
  9. 甘味料 23種類
  10. pH調整剤、酸反応材料、水補正剤 83種類
  11. 防腐剤(保存料) 77種類
  12. 金属イオン封鎖剤 26種類
  13. 澱粉改質剤 26種類
  14. 酵母食品 20種類
  15. キャリア、抽出溶媒 24種類

※カナダでは「栄養添加物」「加工助剤」「香料」は食品添加物と定義されていない。そのためこれらを足せば656種類より遥かに多くなります。

EUの食品添加物は324種類

ネットで海外の食品添加物はドイツ64種類、フランス32種類、イギリス21種類という出所不明のデータが拡散されているが、これらの国はそもそもEU規則に基づいた食品添加物となります。イギリスはEU離脱したとは言え、ドイツ、フランスで倍も違いが出ている時点でおかしい。

イギリスは325類

イギリスは2020年にEUを離脱し、国内法に基づいたものへ変わったが、食品添加物はEU規則とほぼ同じです。

GOV.UK(イギリス政府のウェブサイト)によれば、イギリスの食品添加物は325種類です(北アイルランドはEU規則に完全一致していますので324種類)。2022年7月30日確認時点。ページの最終更新日が2022年2月15日でしたのでほぼ最新だと思われます。

イギリスのE番号ごとに数えた種類です。

  • 着色料 41種類(北アイルランドは40種類)
  • 防腐剤 34種類
  • 酸化防止剤 16種類
  • 甘味料 19種類
  • 乳化剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤 63種類
  • その他 152種類

合計で325種類です。(EUである北アイルランドは二酸化チタンが2022年2月7日から禁止になったので1種類少ないです)

イギリス政府のサイト「承認された食品添加剤とE番号」
Approved additives and E numbers|GOV.UK

ただしEUは栄養添加物、香料、漂白剤、加工助剤、酵素、補色剤などがリストにないため非常に少ない。つまりこれらを含めれば326種類より大幅に多くなります。

EU加盟国のドイツ、フランスは324種類

食品添加物はドイツ64種類、フランス32種類と訴えるサイトがあちこちにあるが、ドイツもフランスも、食品添加物はEUの規則です。つまり統一リストであり、64種類と32種類という差が出ること自体がおかしい。

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)のサイトによるとEUは320種類の食品添加物、香料が2,500種類となっています。(香料は食品添加物とは別に区別されている)。

Food manufacturers in the European Union are allowed to use around 320 food additives for technical purposes. And around 2500 permitted flavourings enable them to give foods any taste they want.

source: Improved detection of food additives and flavourings|BfR

正確に言うとGOV.UKのサイトで2022年2月15日更新分が全リスト公開してあるとおり、EU規則の食品添加物は324種類です。

EUも同様に香料も含めると合計で2,800種類を超えてしまいます。

下のEU添加物リストでは403種類となっていますが、禁止になったE171の二酸化チタンがまだリストにありますし、ちょっとデータ更新が古いようです。

EU公式の食品添加物データベース
Food Additives|Europa.eu

結論

食品添加物の定義が国によって異なり、ものすごくややこしいので、同じ条件で比べることは出来ません。しかしどの国も香料なしでは数百種類、香料込みだと数千種類あるわけで、政府機関のちゃんとした出所元から調べた感じでは、認可された食品添加物は日本は特に多いとは感じませんでした。

ネットで拡散されている日本の1,500種類はあっているとして、アメリカ133種類、ドイツ64種類、フランス32種類、イギリス21種類という数字は全くのでたらめです。

そもそもこれら海外データの出所が不明(どのサイトにも書いてありません)である。いつのデータ化さえもわからない。何をどう数えたのかさえ不明。

しかし食品添加物を好まないサイトがこれら出所不明データをまるで確定したかのように自信満々でそのまま転載して広めています。無添加食品メーカーサイトだから、クリニックのサイトだから信頼性があると思わないで下さい。それらは政府の機関ではありません。

政府に認可された食品添加物が何種類あるのかを確実に調べられるのは厚労省やFDA(アメリカ食品医薬品局)、GOV.UK(イギリス政府デジタルサービス)、EUなどちゃんとした政府機関のサイトです。

それらから調べると、各国で認められている食品添加物は、それぞれの国の定義では日本は1,558種類、アメリカは2,688種類、ドイツとフランスは324種類、イギリスは325種類(北アイルランドは324種類)でした。

しかしこれらは定義の範囲がまるで異なるため同じ土俵で比べられません。EUの食品添加物は324種類で日本の1,558種類より遥かに少ない。しかし大量の種類がある香料が含まれない(香料を含めると2,800種類を超える)など食品添加物の定義が日本より遥かに狭いのです。

SNSやブログやその他サイトでデータが示されているときは、必ずそのデータがどこのものなのか確認するようにして下さい。出所不明データなんて信じてはダメです。

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