筆者の私は以前フォークリフトに乗って大きな物流センターで10年くらい仕事していました。
物流センターでのフォークリフトの事故はかなり多いです。いちいちニュースになりませんが実際かなり多い。
私自身は人身事故は一度もありませんでしたが、物損は結構やりました。正直、もう危ないから二度とフォークリフトには乗りたくない。
これからフォークリフトの資格とって仕事しようと思っている人はここを読んで欲しい。フォークリフトがいかに危ないか、どういう点に注意して乗るべきか事故事例とともに解説します。
フォークリフトは免許ではなく資格です
フォークリフトを免許と思っている人がいますが、資格です。
学科授業を受け、筆記試験。筆記と言ってもかなり簡単です。
学科中に寝ていない限りは誰でも受かります。
技能講習も難しいようで誰でも出来るようになります。コースは単純。技能にも試験はありますが、安全確認の手順とかしっかり抑えとけばほとんどが合格します。
視力検査とかもありません。有効期限もありません、一度取れば更新はなく、ずっと有効です。
ちなみにこれに乗って道路を走行することはできません。
フォークリフトで多い事故パターン
棚や荷物に引っ掛ける
危険度★
ただし巨大なラック棚がある倉庫はラックに引っ掛けて雪崩式に崩れる事故はある。そうなると危険度マックス
荷物などに引っ掛ける事故は物流内ではかなり頻度が高いので注意。
倉庫は広くても通路は狭いことはよくある。広くてもいかに多く積み付けるかとなると結局通路などがギリギリまで狭くなる。
どんな倉庫のフォークリフトでもお尻を見ると削ったように塗装が剥げています。これは壁や柱や荷物に擦っているということです。つまりだれでも事故を起こす可能性は有ります。
パレットはまっすぐ持つ。斜めに持ったパレットは引っ掛ける原因。
パレットは最後まで爪に差し込む。中途半端に差し込むとパレットがたわんだり、最悪割れて荷崩れを起こす。
パレットの荷物は綺麗に積み付ける。崩れやすいものは紐かラップを巻く。パレットへのカートン積み付けも、パレットからはみ出した積み付けはしないこと。
片隅でも引っ掛ければ荷物は簡単に破れ最悪荷崩れ。これはだれもが一度はやってしまうミス。いくら効率優先でやっても、荷崩れしてしまうと余計時間がかかります。
慣れてきたときが危ない。
爪を下げ忘れたまま走行し、マストをぶつける
危険度★★
(荷物を持っていない場合。ぶつける場所によっては危険度は更に上がる)
これは無いだろと思ってる人が多いかも知れませんが以外に多いです。人間の視界は上にはありませんので上げ忘れに気づかないときは本当に気づきません。
パターンとしては、まずは荷物を2段目3段目に重ねて積み付け終わる。
そしてバックで下がる。
で、爪を下げてから通常走行へ戻る。
が、このとき爪を下げ忘れていると大変。積み付けた直後に無線で連絡があったりして作業が一時中断すると、再開したときに意外に忘れます。
このまま走行すると、例えば倉庫内の各倉の入り口を通過したときに、入口の低い壁にフォークリフト爪かマストがぶつかります。
そして壁を破壊したり、あたった壁の場所が悪いと配管を突き破ったりします。もしもその配管が冷媒の液体アンモニアの配管だったら噴き出して人体へ降りかかれば死にます。
爪下げ忘れは、爪が頭上より上がっている場合、視界から消えているせいか以外に気が付かないこともあるのでかなり注意。
冷凍倉庫で爪が凍って滑る
危険度★★
これは冷凍倉庫での悩みですね。
冷凍倉庫の各倉の庫内は-20℃ほどあり、現場は10℃ちょいです。したがって倉からでると爪が結露してしまいます。
結露した爪で再び庫内にはいると爪が凍ってしまいます。
この爪の状態で荷物を取って持ち上げたはいいもののパレットが滑って爪から落ちてしまうパターン。半分滑ってもパレットは重みで割れてしまい、荷物は崩れます。
例えば庫内で積み付けしようと前進から停止した減速した瞬間にツルーと滑り、また持ち上げて引いたときにパレットが爪めの前にずれ、爪に半分乗っかった状態のところで荷物の重みでパレットがバキバキ割れて落下。荷物はグシャグシャになり破損してしまいます。
荷物が降ってきてもフォークリフトの中にいればまず安全(フォークリフトの天井ガードはかなり丈夫)ですが、周囲に人がいればかなり危険です。
手際よくやるのはいいが、荷物を破損すると荷主の信頼を失います。
崩れた荷物で動けなくなると時間のロスも大きいです。
冷凍倉庫でフォークリフトを運転している人だと、爪が滑るのは誰もが経験していると思います。発生頻度はかなり高いので冷凍倉庫の人はかなり用心しないといけないポイントです。
プラスチックパレットは特に注意。濡れたパレットを冷凍庫内に入れたときもパレットが凍って危ない。
庫内でフォークリフトの上に登って滑って落ちる
危険度★★★
庫内の最上段など高い場所に積み付けた荷物を1個だけ取ろうとマストに登る人がいます。しかしこれはかなり危険。冷凍倉庫だとマストが濡れていたりすれば庫内で凍って足が滑ります。
パレットに高く積んだ荷物を持って前進しぶつかる
危険度★★
高く積んだ荷物を持っての前進は前が見えずに死角が多いので危険。置いてある荷物にぶつかったり踏み潰したりします。人が飛び出したりして急ブレーキをかければ荷物が滑って崩れてしまいます。
フォークリフトはバック走行が基本です。
理由は遮るものがなく視界が広い。急ブレーキ掛けたときに荷物が落下しにくいからです。
ただ、荷物を持って坂を登るときは当たり前ですが前進です。
プラットホームから落ちる
危険度★★★★★
倉庫内のプラットホームからフォークリフトごと落下するパターンです。
たかだか高さ1mちょいのプラットホームでも落ちるとヤバイです。例えばカウンタータイプの1.5tバッテリー式フォークリフトだと重量は3.2トンほどあります。お尻にはウエイトが付いて重くなっています。
この車両の下敷きになるというより、バッテリーの下敷きになってしまうのです。
私がいたとこは実際バッテリーに潰されて死亡する例がありました。
このサイズのフォークリフトのバッテリーは700kgほどもあり、上蓋をロックしていてもホームから落ちれば簡単に蓋は外れてバッテリーがのしかかってきます。乗っている人はシートと蓋ごと潰されます。
プラットホームから落ちたら死ぬと思ったほうがいいです。
エレベーターに突っ込んで扉を突き破って転落
危険度★★★★★
倉庫内の床はコンクリートというところが多く、たとえば冷凍倉庫は現場の温度は10℃ちょいですが、床は結露しやすく大変滑りやすい状態です。梅雨の湿気が多い時期も滑りやすくなります。
フォークリフトで荷物をエレベーターに入れる時は、すぐに入れられるようにまだ扉が開いていないエレベーター前に荷物を並べることがあります。その時に床が滑って停止できず勢い余ってエレベーターの扉へ突進し、扉を突き破り、フォークリフトごと中に落ちてしまうパターン。
100%死にます。エレベーターの扉は頑丈ではないのでフォークリフトで突っ込むと簡単に外れます。この事故も自分のいた職場でありました。
ハンドル切って横転して潰される
危険度★★★★
たいていのフォークリフトはサスペンションなどはついていないはずです。そして車幅も狭い。
ハンドルを切ると後輪が動いて方向転換するのでその場で360度回転できるほど小回りが効きます。それゆえ勢いよく曲がってしまうと車体が傾いてタイヤがすぐ浮きます。
これは非常に危険です。もし横転して運悪く下敷きになれば大怪我、あるいは死亡します。慣れてくると飛ばしがちになるので十分注意しないといけません。速度を落とすところはしっかり落とす。
フォークリフトと人が入り混じって動いているような現場
倉庫の現場によりますが、フォークリフトが右から左から行き交う中を出入庫立ち会いや荷役、作業員、トラックドライバーなどが行き来します。
現場に棚がありフォークリフトと台車を持った作業員が同時にピッキングしているような倉庫。こう言う状況は非常に危ないです。
フォークリフトがトラックや棚の荷物に爪を差し込んだ後は必ずバックしてきます。
このタイミングで後ろを通るとぶつかります。私ではないですが、バック時にトラックドライバーとぶつかって足を踏み潰して骨がぐちゃぐちゃになった事故は実際ありました。
フォークリフトを運転する者はかならず後方を確認してからバックすることになっていますが、あまり確認しない人がほとんどです。
後方の視界はかなりいいものの多くの人は確認をしないのです。フォークリフトがトラックから荷物を引くときは荷物の状態を見ながら引く人が多いです。
なぜなら荷物の状態を確認しないで引くと引っ掛けているのに気がつなかったり荷崩れを起こすことがあるからです。
そしてバックを始めてから後ろを見るような感じの人が多いです。そのため人とぶつかったりします。
スイッチバックするときは一度確認をしてから、荷物に注意しながらゆっくり引いて、降ろして、そして後方を見ながらバック走行で運ぶ。
現場歩行者は、フォークリフトは必ずバックしてくるものを認識すること。フォークリフトの前後を横切らないこと。やむをえず横切る時は声をかけること。
フォークリフト運転手は、バックする前に左右から後方確認(片方じゃダメ)を必ず行う。スイッチバックする頻度はあまりに多いので作業効率は若干落ちますが事故を起こしたら余計時間がかかります。
安全のために
フォークリフトの事故はかなり多いです。そして似たような原因で凝りもせず事故を繰り返します。事故発生率は現場の忙しさとは関係ないです。
特に物流センターの現場は信号機のない交差点で人と車が車道の中をぐちゃぐちゃに行き交っているような感じです。フォークリフトに乗る仕事は車の事故率より1000倍くらい高いと思ったほうがいいです。
フォークリフトの後ろに傷が多いほどよくぶつかっているということです。
- ヘルメットを着用すること。
- 安全靴を履く。
- バックするときは後方をしっかり確認。
- バック走行が基本。
- 降りるときはサイドブレーキ。
- ヘルメットを着用。
- 安全靴を履く。
- フォークリフトの前後を横切らない(やむなく通るときは声をかける)。