ときどきニュースにもなる茨城ダッシュ。そのせいか茨城ダッシュの意味は全国に広がった。
茨城ダッシュは茨城だけでなく名古屋など全国各地で見られ、交通マナーの悪い都道府県の代表事例として取り上げられる。
やっている本人はその危険性をよくわかっておらず、何がいけないんだというような脳天気な反論コメントもネットでは見られる。この記事では茨城ダッシュが道路交通法のどこに違反するのか書いていきます。
茨城ダッシュとは
茨城ダッシュとは交差点で信号待ちに青信号に変わった瞬間(あるいは赤信号でフライング)にスタートダッシュし、信号待ちしていた直進車より先に右折する行為です。
この動画の場合、横断歩道を渡る自転車と接触寸前であり、とても危険な行為です。
愛媛県では「伊予の早曲がり」と言われるようで、こちらは青信号スタートの右折ダッシュだけでなく、直進車の途切れを待った無理な右折突っ込みも入るようです。
茨城ダッシュが該当する違反
茨城ダッシュが道路交通法のどの違反になるのか根拠を出していきます。
交差点右左折方法違反
右折は徐行義務があります。
自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
出典:道路交通法第34項第2項
ダッシュして曲がっている時点ですでに徐行ではなく違反です。横断歩道を渡る歩行者や自転車がいると対応できずに接触する可能性があり、その場合被害も大きくなります。
交差点優先車妨害違反
交差点は直進車、左折車が優先で、これを妨害してはいけません。
車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。
出典:道路交通法第37条
横断歩行者等妨害等違反
交差点を横断する歩行者や自転車を妨害してはいけません。
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
出典:道路交通法第38条第1項
横断歩道のない交差点でも同様です。
車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
出典:道路交通法第38条の2
交差点安全進行義務違反
交差点は車両や歩行者に注意して安全な速度と方法で進行しなければならない。
車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
出典:道路交通法第36条第4項
安全も確認せずに問答無用で号砲スタートダッシュし、危険な速度で右折している時点で守られていません。
信号無視(停止線を超えフライングした場合)
青に変わる前に赤で停止線を超え進行すると信号無視です。
赤色の灯火
車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。
出典:道路交通法施行令第2条(信号の意味等)
「直進車の発進が遅いから」という言い訳
You Tubeの動画で、こういう反論がありました。
青信号になったのにスマホを見ていて気付かないで5秒以上走り始めないなど、直進車の走り出しが遅いのに、先に右折してどこが違反なの?
発進が遅いから先に右折すると言っていますが、茨城ダッシュとは青信号になって陸上100m号砲のように速攻でダッシュ(またはフライングダッシュ)して右折すること。
青になって安全も確認せず速攻で右折スタートダッシュ(またはフライングダッシュ)している時点で、5秒も待っていないし、これで対向車線の直進車の発進が遅いとどう判断できるのか?という矛盾があり、まるっきりデタラメのウソの言い分です。
福岡市で茨城ダッシュが少ない理由
交通違反が多い、交通マナーが悪い福岡市では、以外にも茨城ダッシュはほぼ見られません。それには理由があります。
これは不名誉な理由ですが、福岡市は赤信号変わり際の駆け込みダッシュ率が高く(交差信号が青になるまで何台も突っ込んでくる。特に右折信号時。)、赤信号でも突っ込んでくるため、事実上茨城ダッシュがやりにくい環境なんです。これはこれでまた危険ですが。
事故の想定をするか否かで人生が分かれる
先日その福岡市で、生まれて初めて茨城ダッシュを見ました。赤信号待ちで、まだ青になっていないのにジリジリと前進して赤信号の交差点へ入っていく黒のミニバン。青に変わる直前でダッシュして交差点を右折し、横断歩道を渡り始める2人の歩行者(一人が僕)に突っ込んで来て直前で急停止。
来そうな予感はしていましたが、かなりの勢いだったので目の前を突っ切ってくるのかと思ってびっくりしました。
こういう運転はおそらくは常習性があるでしょう。今までは大丈夫でもそのうち事故を起こします。自分が事故を起こしてからでないと危険性を理解できない人は愚かな人です。こういう人に危険性をどれだけ説明しても軽く受け流されます。「あんた真面目だね」と鼻で笑われることもあるでしょう。
愚かな人は先を読む力に乏しく、目の前だけを見て衝動的に行動し、失敗をして初めて後悔をします。
賢い人は前もって事故の想定をして、先を未来を読んで回避行動します。
事故の想定はすでに散々言われている内容です。それを「気に留めずに軽く流す」のか、「重要事項として心に刻む」のかで未来が変わります。ここがやり直しが出来ない人生の分かれ道です。