物流センターからトラックで荷物を運ぶ。
この過程で最も効率が悪いものと言えば大型トラックへの大口出庫時の手積み。
倉から荷物がパレットごと運ばれてきて、運転手が手積みをする。そしてパレットを戻す。
パレットごと持っていけば速い。誰もがそう感じるはず。しかし物流では積極的には行われない。それが物流でのパレット紛失問題。
手積みの時間効率の悪さ
物流で言うパレットとは荷物を乗せる板。
物流センターではこのパレットの上に荷物を乗せ、そのパレットをフォークリフトで運び、倉へ入れる。大口出庫の際にはこのパレットごと次々出していくわけですが、トラックへこのまま積めば早いということ。
物流で一番効率が悪いと思うこと。それが大口の手積みトラック。いや個数が少ないトラックはいいんですよ。問題は同じ行き先に同じものを10t車へフルに積むような大口出庫の場面。
大口出庫のトラックドライバーがパレットごと積んでほしいと言ってくる場面は過去何度もありました。しかし物流倉庫側では特に取り決めていない所以外ではパレットを貸してはいけないことにしている場合が多いと思います。
このせいで運転手は手積みになり、大幅な時間ロス、物流センター側もトラックがずっと停まっているわけですから、新たなトラックが入れなくなります。大口出庫のトラックが数台いるだけで物流センターのドッグシェルターは捌けない。
トラック側も物流センター側も大幅に効率が落ちます。
宅配便などの行き先が細かい物流は別として、食品原料もの同じ行き先へ大口で運ぶ物流はこの問題に直面していると思います。
大口出庫でも製品加工した軽いカートンものならまだいいですが、原料系の1個20kgもあるような、例えば冷凍オキアミや冷凍サバラウンドを大型車に大口出庫となれば、手積みはかなり非効率的。
仮にパレットごと積み込むとなると、大口出庫ではトラックはスペース的に厳しくなるが、それはパレットを段上げして積み込めば問題はない。
冷凍トラックの荷台後ろにフォークリフトでパレットを乗せれば、あとは運転手がスケーターを使って前方まで滑らせていく。またウイング車だと横から積み込んでいく。こうやってあっという間に積み込みは終わる。
パレット積みであれば、倉から荷物さえ出ていれば10分ほどで終わりなのです。
大口出庫を運転手一人で手積みとなれば、荷物や個数によっては半日がかりの作業。そして配送先でも手降ろしとなり膨大な時間ロスとなるのです。運転手の体力精神的負担も増え、時間も無駄に増えるのです。
返却率の悪さで貸し出しを渋る物流倉庫
ワンウェイパレットなど除けば、基本的にパレットの所有者は物流センター。
物流センター側がパレットを貸すことを渋るのは、貸した運送トラック(会社)からのパレット返却率が悪いということ。
返しに来ないトラックがいる。パレットも安くはない。年末になって倉庫が溢れてくると物流センターはパレット不足が深刻になるのです。
そういう理由でパレット貸し出しは積極的ではないのです。ただ、輸入用のワンウェイパレットは使い捨てですのでそのまま積める。このパレットは貧弱なので使いまわしてもすぐに壊れます。
パレット問題を解決すれば物流効率は大幅に上がる
出庫時について書きましたが、入庫時も、違う会社の物流センターのパレットに乗っていれば、そのパレットで倉へ入れることが出来ないために手降ろしして積み替え作業が待っています。
フォークリフトで荷物だけ押してパレットを数秒で差し替える技もありますが、物によっては破損リスクがあって出来ないし、そもそも非マニュアル的な方法。
この手間と時間が半端なくもったいないし無駄だと感じます。物流会社同士で取り決めてパレット提携でもできれば最高なんですが。
このパレット問題が物流の効率化を著しく落としています。
パレット積みを積極化すれば物流の効率はぐんと上がります。倉庫側も運送側も何時間も短縮できる。
これらパレットのしがらみがネックになって効率を落としている問題を物流全体で考え、パレット積みやパレットごとの入庫からの保管が出来る環境が出来上がれば物流の効率は遥かに上がり、労働者の負担軽減や残業時間の削減にもなります。