国際がん研究機関(IARC)に発がん性があるかもしれないと分類されている臭素酸カリウム。
ヤマザキパンは臭素酸カリウムの使用をやめていた時期がありましたが、角型食パンでその使用を再開しました。
山崎製パンによると、再開した理由は、更なる品質改善とおいしさの向上、角型食パン製品には残存しなかった(改良ポストカラムHPLC法の検出限界未満であった)ということです。
小麦粉改良剤「臭素酸カリウム」による角型食パンの品質改良についてー山崎製パン
発がん性、という言葉が出てくると怖くなりがちですが、安心して食べていいのか冷静に見ていきましょう。
IARC発がん性分類
IARC発がん性分類(2020年2月18日更新時のデータ)より表を作成
グループ1 | 人に対して発がん性がある | カビ毒アフラトキシン タバコの煙 アルコール飲料 |
グループ2A | 人に対しておそらく発がん性がある | アクリルアミド 亜硝酸ナトリウム 赤身の肉の摂取 |
グループ2B | 人に対して発がん性があるかもしれない | 臭素酸カリウム ワラビ アロエベラ |
グループ3 | 人に対する発がん性について分類できない | お茶 コーヒー |
これらは発がん性の強さの指標ではなく、発がん性があるかないかという確実性を分類したものです。
コーヒーに関しては発がんリスクを減らす別の証拠もありと記載されています。コーヒーは昔はグループ2Bでしたが2016年にグループ3に変更されました。
研究論文というものは、たった一つの研究論文だけで科学的根拠となるわけではありません。研究の信頼性や透明性、再現性などが求められます。
国際がん研究機関(IARC)の発がん性分類は多くの研究論文をあつめて審議して総合評価したものです。これは定期的に再評価され、変更されることがあります。
臭素酸カリウムより発がん性が疑われる飲食品
臭素酸カリウムは国際がん研究機関(IARC)の発がん性分類ではグループ2Bの発がん性があるかもしれないというもの。発がん性が完全に証明されたものではありません。
グループ2Aのアクリルアミドはポテトチップスなどに含まれています。
グループ2Aの亜硝酸ナトリウムはソーセージやハムなどの加工肉の発色剤で使用。
以下の記事で亜硝酸ナトリウムについての情報を書いています。
意外と知られていないのがアルコール飲料。これはグループ1。アルコール飲料は発がん性が確定している飲み物です。
アルコールと癌(がん)e-ヘルスネット
発がん性が確定しているお酒はガンガン飲んで親しまれているのに、発がん性があるかもしれないに留まっている臭素酸カリウムで異常に騒ぎ立てるのは変だと思います。
そういう人たちは、お酒をなぜ禁止にしないのかと問題提起したほうがいいのではないでしょうか?
パン製品には残存しない(検出限界未満)
「外国が禁止にしてるのに日本は禁止ではない!これはおかしい!本当は危険だ!」と叫ぶ人がいる。
JECFAは小麦粉処理剤としての使用は適当ではないとし、イギリス、ドイツ、中国などは使用を禁止にしています。
これは過熱が不十分だった場合に加熱分解しきれず残存する可能性があるということで禁止にしているのかもしれません。
日本では臭素酸カリウムの使用は認められているものの、製品の段階では分解または除去されていること(検査で検出しないこと)が条件となります。つまり実質禁止になっているのと同じです。
日本ではなぜ使用を認めているかというと、残留検査において検出限界が優れた高感度の分析法を用いることで極めてゼロに近い監視が可能であると結論付けているからです。
ヤマザキパンは、臭素酸カリウムが残存していないかを高精度の改良ポストカラムHPLC法で自社検査していますし、外部機関からも残留実態調査(モニタリング調査)がされます。
パンの製造で発がん性があるかもしれない臭素酸カリウムを使用していだけで買って食べるのを避けるなんてことをするくらいなら、発がん性が確定しているアルコールをやめるほうがはるかに癌のリスクは確実に減るでしょう。
しかも臭素酸カリウムはパン製造に使うだけで、これはパンを焼くときに分解されますので製品には残存していません。リスクはゼロと言っていいです。
臭素酸カリウムは人に対しての発がん性は科学的に完全に証明されたわけではありません。
ヤマザキパンで臭素酸カリウムが使われるのは検査において残留していないことが確認できた角型食パンである「超芳醇」と「特撰 超芳醇」です。余計なことは全く気にしないでいいです。
私は食べますよヤマザキパン。ヤマザキ春のパン祭りですよ!