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プロセスチーズが危険だという記事があまりに馬鹿げている

ちょっとネットでいろいろと調べていたら、なんだかプロセスチーズの危険説を唱えるメディアの記事を見つけました。

それによれば、プロセスチーズの添加物が危険ということらしい。添加物の闇のような語り口調で綴られています。

pH調整剤が危険、動物実験では云々・・・と。一見科学的根拠を持ち出して説得力がありそうに感じてしまう人もいるかも知れませんが、ちょっと勘違いが過ぎているので呆れてしまいました。

メディアの書いている記事ですが、この記事に影響されたような個人ブログを見かけた。こういうメディア記事がきっかけで個人ブログやSNSに飛び火し、デマや陰謀説が生まれてくるのだと思います。

安心して食品を食べていけるように、この記事を書きます。

プロセスチーズが危険だという主張

乳化剤は危険?

プロセスチーズが危険だと主張するメディアの記事は、プロセスチーズの添加物である乳化剤を危険だと主張。

乳化剤が洗剤に使われている界面活性剤と同じ性質の合成化学物質という表現が使われ、いかにも洗剤と同じ添加物が使われているかのような書きっぷりです。

食品乳化剤と洗剤の界面活性剤がまるで同じかと思われるような書き方がもうむちゃくちゃです。マーガリンは石油からできているというデマと何ら変わりありません。

また、天然だから安全、人工合成物は危険という考えもそれは間違いです。

食品乳化剤は卵黄や大豆のレシチン、カゼインナトリウム(乳由来のもの)などが使用されます。洗剤に使われる界面活性剤は石油や動植物油が使用。

市販品で使用されている食品乳化剤は食品安全委員会が会議を開き安全性を評価して慎重に認可してたものであって安全性に問題はないが、一方でその原料によるアレルギーは別問題。

アレルゲンであれば食品表示基準で乳化剤(卵由来)や、乳化剤(大豆由来)、乳化剤(乳由来)などと表示されています。個別表示でなくとも一括表示でもよく、原材料の下の方にアレルゲン表示の項目を儲けて「乳成分」などと表示します。

たとえば牛乳アレルギー、カゼインアレルギーであればアレルゲン表示に乳由来や乳成分とあればそれは避けるべきです。

アレルゲンはアレルゲンであり、食品添加物特有の危険性ではありません。

pH調整剤が有益な菌を殺す?

プロセスチーズはpH調整剤で酸性となっていて、それを食べると体の有益な菌を殺す?

ナチュラルチーズはpHは5-6くらいの中性に近い弱酸性ですが、プロセスチーズもそれに近いかやや低い程度。

酸性は殺菌作用があるので有益な菌を殺すというが、pH調整剤が有益な菌を殺すという科学的根拠は何もありません。

そもそもどんな食べ物でも胃の中にはいると大量の胃酸(pH1の強酸性)で酸性になります。

pH4-5程度のチーズで駄目なら果物やヨーグルトは体の有益な菌を殺すことになってしまいます。

私は以前pH調整剤の安全性を調べたが、健康上問題があるような文献を探すことは出来なかった。下の記事にまとめています。

動物実験では云々という点

一つの研究での可能性を持ち出して、それがいかにも確証されたデータのように語っていますが、研究というものはたった一つで人への危険性が決まるわけではありません。

研究というものは同じ結果になるとは限りません。毒性が出たという結果のものもあれば毒性はなかったという結果のものもあります。だから評価するのは簡単ではないのです。

例えば食品安全委員会では、海外の機関での評価状況のほか、添加物の研究を出来る限り多く集めて、それを専門家で議論します。それぞれの研究の質を評価しながら総合的に判断して結果を出し、安全性に問題ないものが認可されます。

そしてこれは定期的に再評価されます。

研究というものは相反する結果が出ることはよくあります。だから出来る限り多く集めてそれを評価する必要があります。

つまり自分が主張するのに都合のいい結果の出た研究だけをピックアップし、「毒性があるという科学的根拠だ!」と言ってもそれは何の意味も持たないのです。

また、動物実験の結果をそのまま人に当てはめて危険だというのはおかしなことです。動物実験では通常ありえないような量の投与をしています。認可された食品添加物で使われる量の比ではないです。

毒性が出るかどうかいうのは量で決まります。酸素も水も取りすぎれば毒です。ですが日常生活では毒性がでない量を摂取していますので毒性は出ません。

例えば放射線も毒であり、日常的に浴び続けています。しかし量が少ないので害は出ません。また、じゃがいもの芽や緑に皮にはソラニンという毒があることはよく知られていますが、実は可食部分にも僅かに含まれています。しかしその量は微量なので毒性が出ることはありません。

添加物には無毒性量からさらに100分の1にしたもに一日摂取許容量(ADI)があります。これは人が生涯に渡って毎日摂取しても健康に害がないとされる基準です。無毒性量とは動物実験などで毒性が全く出なかった量です。

ナチュラルチーズとプロセスチーズ

プロセスチーズの代わりに添加物の少ないナチュラルチーズをすすめる流れで記事が書かれていました。

ナチュラルチーズとプロセスチーズは違います。互いに特徴が異なった食品であり、互換品ではありません。好みや目的に応じて使い分けることをおすすめします。

プロセスチーズはナチュラルチーズを粉々に撹拌し、乳化剤とともに加熱して溶かし、再び固めた加工品。プロセスチーズは加熱しても溶けないという特徴がありますが、日本では溶けるプロセスチーズが開発されて並んでいます。

日本ではチーズと言えばプロセスチーズが多く出回っていますが、欧州ではほとんどがナチュラルチーズです。またドイツではチーズ条例により、チーズ加工品であるプロセスチーズはチーズとは定義されていません。

チーズ特有の発酵した香りが苦手な人が多い日本では、ナチュラルチーズよりも匂いがほとんどしないプロセスチーズは食べやすく好まれます。プロセスチーズは発酵が止まっているので匂いが弱いです。

まとめ

週刊誌などのメディアが、食品安全委員会よりもジャーナリストが書いた記事を信用しろと言わんばかりに、不安を煽るような記事を書くことはデマや陰謀論、フードファディズムの要因となります。

記事が正しい正しくないとは別に、その過激な表現方法にも問題があります。

結論を言うとプロセスチーズは危険ではありません。

普段の生活に無駄な不安を煽るようなことはしないでほしい。

もちろん食べ過ぎによる肥満やその他循環器系など、生活習慣的な健康への影響、またアレルギー的な問題、保管状態などによる食中毒問題は別です。それは多くの食品でも言えるからです。

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