
煽り運転(悪質な妨害運転)について「煽られる側にも原因がある」というような記事をメディアが盛んに書くようになりました。それについて賛同の意見も多い。
だがどうも腑に落ちない。
相手がムカつくことをしたからやり返してもいい!というような粗暴な運転を教習中にすれば免許は絶対に取れません。
あおり運転をする人というのは、例えば混雑した人混みでちょっと肩がぶつかって、ぶつかった相手に原因があると因縁をつけ、謝ってもつきまとい、殴りかかってくるような輩と同じです。あおり運転(妨害運転)する人のほとんどがオラオラ系。
しかも因縁をつける側は、相手がこちらを見えていないのを認知しておきながら自分からは避けようとはしない傾向が強い。
煽られる側にも原因があるという言葉は、肩や腕がぶつかったから殴られても仕方ないと言っているのと同じ。
もちろんこのようなことをすれば暴行罪や傷害罪で逮捕されます。悪質な煽り運転(妨害運転)も逮捕されます。こういった行為は違法なのに、煽られる側にも原因がある(だからもっと気を使え)というのはおかしいです。
メディアの「煽られないためには」「煽られる側にも原因がある」といった記事に反論していきます。
道路は色んな人が乗っている
公道はプロのレーサーが集まる場所ではありません。公道はレース場ではありません。
運転に慣れた若い男性が運転する車ばかりではありません。
普通乗用車だけが走っているわけではないです。
ドライバーは初心者からベテラン、若者から高齢者。原付や自動二輪も走れば、軽自動車や普通自動車、トラックやバス、ローリー、クレーン車も走ります。
普通自動車を運転する若者から中年の男性ドライバーから見た視点が基準にされがちですが、公道では速く運転するほうが正義ではありません。公道は道路交通法のルールを守る義務があります。
遅い車には理由がある場合も
煽りのきっかけになる理由の一つに、ノロノロ走りが言われることは多いです。
遅い車には理由がある場合もあります。
- 免許をとったばかりで慣れない初心者。
- ケーキやガラスなど壊れやすいものを配達する車。
- 荷物満載の大型トラック。
普通自動車を運転する男性が基準になりがちですが、何もかも自分と同じ条件で走っていると思ってはいけません。
割り込んだ車はワザととは限らない
運転中に割り込まれ、相手が嫌がらせしてきたと勘違いしてしまうドライバーがいますが、相手はわざとやったとは限りません。
ミラーの死角で見えてなかったり、確認不足だったりする場合がほとんどで悪意はありません。
ほとんどのドライバーは「びっくりした!なんだよ!危ないな!」と車の中でブツブツ文句を言う程度。それだけです。それ以上はありません。それで終わりです。
しかし、たった一回の割り込みで「こいつ喧嘩売ってるのか!頭きた!わからせてやるわ!」と怒り狂って仕返し行為にでる人もいます。こういうドライバーは運転適性がありません。今すぐ免許を返納してください。
やられたからやり返すは極めて危険
「やられたからやり返す!」という人。
相手はワザとではないかもしれないのに、ワザとだと決めつけ、しつこく追い回し、後ろから延々とクラクション鳴らしたり、横に並んでから幅寄せ、前に出ては急ブレーキ、蛇行、しまいには車を無理やり停止させ、相手に詰め寄って怒鳴ったり殴りかかる。
こういった行為が原因で大きな事故が起こります。しかし感情の赴くまま行動する人は、衝動を抑えきれない。
事故を誘発する極めて危険な行為。
ムカつく基準は個人差が大きく、本当に些細な事で暴れ始める人もいる。ん?それでキレるの?というようなキレどころがさっぱりわからない人というのは社会に少なからずいます。
きっかけとなった故意ではない一回のヒヤリで、故意にヒヤリをやり返す行為。人間性の問題ではないでしょうか?わざと危険な目に合わせて仕返す行為は正気ではないです。きっかけなんて正当化する理由にすらなりません。
譲らないから煽っていいのか?
まず最初に心得ておくべきことは、「邪魔だドケドケ精神」なんて交通教訓は運転教本のどこにも書いてありません。
よく言われる「高速道で追い越し車線を遅い車が延々と走るのは迷惑。」というのがあります。これは追い越し車線を走り続けるのは道路交通法違反です。これは最もな考えです。
私は九州道をかなり何度も走ってきましたが、追越車線を110-120km/hくらいで追い越し中の車(走り続けているわけではない)に、後ろから猛スピードで追い越し車線を走り続ける車が迫ってきてすぐに煽り始めるパターンばかり。ほとんどがこれでした。煽っている車の殆どはかなりの速度超過をしています。
九州道で実際に見た傾向としては、遅い車より速い車のほうが追い越し車線を延々と走る事が多い。なぜなら追い越してもすぐにまた追いついてしまうので常に追い越し車線を走ってしまう形になるのです。
走行車線が空いていれば、遅い速い関係なく、追い越し車線を走り続ける行為は通行帯違反になります。
遅いなら譲れ!という精神
メディアの「後ろの車に譲るということを教えない教習所が悪い。」という記述を見ました。道路交通法第27条2項の「他の車両に追いつかれた車両の義務」です。
私は、追いつかれた車両は後続車両に速やかに進路を譲るということは教習中に教本で見たことがあります。授業でも教わっていたかもしれませんがそこまで覚えてはいません。とりあえず私は教習所で学びました。
ただ、道路交通法第27条2項は車両通行帯のない道路においての決まりであり、追越車線というのは車両通行帯である道路であるため左によって進路を譲る義務は当てはまりません。また、法定速度を明らかに超えた車に追いつかれた場合も除外されています。
私が見たパターンの殆どは、速度超過した車が猛烈に追いついてきて煽っています。しかも速度超過と通行帯違反をしておきながらなぜか右からの追い越しだけは守ろうとする。
追い越し車線でノロノロ譲らない車?
「高速道路の追い越し車線でノロノロ譲らない」「追い越し車線を走り続けて違反だ」という声が最近ネット上で叫ばれるようになってきました。
ただ不思議に思うことがあります。
そもそもなんで追い越し車線で追いつくの?
追い越しは基本1台ずつ行います。追い越す前に、前方に自分が入るスペース、追い越すためのルートが開いていることを確認し、かつ後方も確認して追い越しをし、1台追い越したら走行車線へ戻ります。
追い越し中に追いついたら、前の車が追い越しを完了してからその車の前方へ出るだけです。
「追い越し車線で追いついた。そのとき左車線は開いている。なのに前の車が追い越し中でないしずっと追い越し車線を走っている。」その場合、追いついた側もなぜ追い越し車線にいるのかということです。
追い越し車線を走り続けていたら追い越し車線を走る遅い車に追いついたということじゃないでしょうか?つまり追いついた車も通行帯違反をしているパターンです。最初の目的であった「走行車線を走る車を追い越す」作業が終われば戻らないといけません。
追い越し車線を走り続ける行為は、ノロノロ走ろうが、飛ばして走ろうが、速度に関係なく通行帯違反です。
真っすぐ行けばいいだけ
追い越し中でもないのにすっと追越車線をノロノロってのは、土日の高速道を結構走った私でもまだ一度も見たことがないですが、走行車線がガラガラで追い越し車線をずっとノロノロというのであれば、そのまま走行車線を真っすぐ行けばいいだけです。

追い越し車線で追いつくとどうも出来ません。なので走行車線をキープし、遅い車へは走行車線で追いつくようにしましょう。追い越し車線を走り続けるから追い越し車線で追いつくのです。
トラップの場合
前に遅い車両がいて、追い越しに移ったら、追い越し車線に車いて走行車線と同じ速度でハマってしまったパターン。もうどうにも出来ない。

この場合、ギリギリまで詰めるドライバーがいますが危険です。プッシュしたからと言って前が速度を上げるわけではないです。これに怒り狂ってわざと嫌がらせするのは大人のすることではないです。
これはいったん速度を落として走行車線に戻りたいですが、こういうときは自分の真後ろに別の車がべったり張り付いていることが多い。ポケットされた状態で身動きが取れない。こうやって追い越し車線が数珠つなぎに。
だからどの車も車間はちゃんと取ってほしい。
速度超過の車が煽ってくるケース
一番多いのがこれ。
車が追い越し中に、はるか後ろから制限速度を大きく超えた車が追い越し車線を走り続け、猛スピードで追いついて煽って来る。追いつくやいなやすぐにベタ付け。これは本当に多い。というかほとんどこれ。
もうそんなに飛ばしたいならサーキットでやれ!という感じです。ここは公道。速いやつがルールではない。
追い越し中であれば追い越しが終わるまでどうすることも出来ないのだが、追い越しが完了する間も待てないらしくガンガンに煽ってくる。
制限速度を超えて交通の流れに乗るのがいいの?
交通の流れに乗るのは速度差が小さく接触事故のリスクが少ないという面では安全です。
しかし運転技量は人それぞれであり、車種や運んでいる貨物によってもペースは異なります。大型貨物車がカーブなどで普通自動車のペースに合わせると荷崩れを起こすかもしれません。
流れと言っても法定速度60km/hの国道では朝方は90-100km/hくらいで流れていることもあります。こういう流れに合わせることは安全とはいえません。自転車や原付なども走っていれば速度差が大きすぎて危険な状態となります。
指定速度が40km/hであればその速度内で走っている車が正しい。指定速度を超過して煽るほうが悪い。この速度超過する車のために流れに乗れというのはおかしい。飛ばしたい人が勝手に決めたルールはルールではない。公道は道路交通法守る義務がある。
飛ばしたいならサーキットへ行くべきである。ここは公道だ。
煽りする人って普段温厚な人が多い?
あおり運転をする人は普段温厚でハンドルを握ると豹変する人が多い、というようなメディアの記事があったが、ぜんぜん違うでしょう。
いままであおり運転(妨害運転)で逮捕された人全員が、見た目いかにも粗暴な感じの風貌でした。歩き方もまるでコントのように肩を切って歩いていて、普段温厚な人はこういう歩き方は堪忍袋の尾がキレても出来ない。また、身柄確保されたときの態度もひどい人がいました。
煽られないためには
正直、完璧な運転をしていてもあおり運転をする人の気に触ればターゲットにされます。
煽られないためには、というか最も効果的な方法はこれしか無いです。これはバイクの場合です。
間違っても赤いサイレンを付けないようにしましょう、違法になりますから。
ただ、稀にパトカーを煽るような人間もいるので、これで100%防止できるというわけではありません。
最後に

世間で問題となっている煽り運転というのは単に車間が狭い車間距離不足のことではなく、妨害を目的とした妨害行為のこと。
割り込みやクラクションなど、「煽られる側が何らかの発端となっている」場合がほとんどだが、殆どの場合は悪意はない。
また、法定速度や指定速度を守ることや、黄色信号でちゃんと止まったり、一時停止をしっかり守ることが煽られる原因になることもある。煽る側は普段から速度超過したり、信号無視、一時停止をしない粗暴な運転をする車に多い。
つまり「煽られる側にも原因がある」という言い方や考え方はおかしい。
すれ違いにたまたま肩がちょっとぶつかった。だから問答無用で相手を思い切り殴った。ぶつかった方にも原因があるから殴られても仕方のないことだ。と言っているのと何ら変わらない。だけど大半の人は肩ぶつけられても殴ったりしません。それが普通です。
やっぱり殴る方の人間性に問題があります。煽る側の人間性に問題があります。
こういったオラオラ系のドライバーに対してもっと気を使う運転をするべきだ・・・と受け取れるようなメディアの記事はまったく賛同できません。
そもそも些細な事がきっかけで頭に血が上って怒り狂い、道路を暴走して暴れまくるような人間が免許を持っている事自体がおかしいのです。
さっさと免許に運転適性試験を導入して攻撃的な一面がある人を落としていくべきです。