衝撃的なニュースが飛び込んできましたね。東京五輪マラソンを東京ではなく札幌にすることを提案するいうニュース。あまりに突然のことでびっくりしました。
今更変更ですかい!というのが正直な感想。
いろいろ準備進めてきた東京は大丈夫?札幌も準備間に合うの?と心配になります。でもね、熱中症のリスクの高い東京から札幌へという案は、選手の安全を考えるとこれは仕方ないかと思います。
IOCがマラソン札幌開催を提案
なんと、国際オリンピック委員会(IOC)が来年の東京五輪マラソンと競歩を札幌に移す計画を検討中らしい。以下IOCの10月16日のニュースの引用。
The International Olympic Committee (IOC) today announced that it is planning to move the Olympic marathon and race walking events to Sapporo
Source: INTERNATIONAL OLYMPIC COMMITTEE ANNOUNCES PLANS TO MOVE OLYMPIC MARATHON AND RACE WALKING TO SAPPORO (International Olympic Committee)
今年の世界陸上ドーハ大会で灼熱の中マラソンが開催され、あまりの暑さでリタイア続出。
IAAF公式サイトの結果によれば、完走率は女子が40/70名スタート気温(スタート気温32℃湿度74%、ゴール気温32℃湿度74%)。男子が55/73名(スタート気温29℃湿度51%、ゴール気温29℃度湿度51%)。
しかも日差しがまったくない夜のレースでもこの完走率。やはりこの大会の影響が大きかったのかもしれません。
安全最優先で考えると札幌
選手の安全は、なによりも優先されるべきです。
かつてオリンピックマラソンで死者が出たことはありませんが、84年ロス五輪の女子マラソンであったスイスのアンデルセン選手のような熱中症の症状が襲う可能性は十分あります。
アンデルセン選手は蛇行しながら歩いてゴールしました。意味不明な仕草も伴っていて明らかに普通ではなかった。体力があるトップアスリートだから大事に至らず回復したのかもしれませんが、普通の人だったらゴール後に死んでいたかもしれません。
選手にとって夏のオリンピックは毎回過酷なレースになっています。いずれ死者が出る可能性もあります。
そもそもマラソンは夏のスポーツではありません。30度超えのコンディションはマラソンは過酷すぎます。2–3km走っても滝汗が出ます、これを42km走るのです。吸水を頻繁に取ろうが発汗量に追いつきません。体温上昇も激しく体に生理的なダメージが来ます。
真夏の東京でのマラソンと言えば1991年東京世界陸上。日本の谷口浩美選手が金メダルを獲得したレース。このときの気温コンディションがはこんな感じ。
- 女子
スタート時 20.2℃/72%
ゴール時 23.0℃/60% - 男子
スタート時 26.7℃/71%
ゴール時 28.9℃/54%
気象庁の気温で調べたので、日陰の気温になります。道路の上の空間はこれより遥かに暑かった可能性があります。
来年の東京五輪マラソンは女子が8月2日、男子が8月9日で早朝6時スタート予定になっています。気象庁の過去の気象データをもとに東京都札幌の気温を比べてみましょう。
- 東京
6時/27.5℃ 9時/32.0℃ - 札幌
6時/22.7℃ 9時/20.1℃
※札幌は雨で気温が下がった。
参考:過去の気象データ(気象庁)
- 東京
最高平均32.8℃、最低平均25.2℃ - 札幌
最高平均26.5℃、最低平均19.7℃
ちなみに気象庁の温度計は日陰の中に設置してあります。
最近は北海道も暑いと言われますが、やはり東京に比べれば札幌のほうが涼しいですね。6度も違えばかなり変わります。札幌で開催することは選手にとっていいコンディションとなります(東京と比べれば)。
北海道で行うもう一つの利点は、台風の影響を受けにくいという点。
毎年夏に開催される北海道マラソンの例
札幌といえば、北海道では毎年夏に北海道マラソンが札幌で開催されています。2019年も8月25日に開催されました。その時のコンディションを見てみると、
- 札幌
9時/ 気温18.1℃、湿度86%
12時/ 気温21.0℃、湿度67% - 当日の東京
9時/ 気温25.3℃、湿度76%
12時/ 気温28.9℃、湿度53%
東京のほうがかなり暑いですね。しかし北海道マラソンも、マラソンレースとしては暑いです。
今更変更される問題について
東京五輪マラソンコースも競歩コースも昨年すでに決定していた。開催まで1年を切った今更開催地を変更されると問題が出るのは当然。それはIOCもわかっていると思う。IOCの協力は必要です。
膨大な追加費用と手間がかかる
コース設定、距離測定、選手の宿泊施設準備、マラソンボランディア募集。チケットの払い戻しとクレーム対応。五輪ツアーの問題。そして札幌はこれから急いで準備を整えていかなければなりません。予算はどうなるのか。
東京はマラソンのために遮熱性舗装も整備を進めてきたのに。
東京でやったマラソン選考会が・・・
いったい何のために夏の東京で選考会をやったのか。
まあ札幌も結構暑いので完全に無駄にはならないが、これがわかっていれば選考会は北海道マラソンにすればよかったということに。ただ、東京の選考も無駄ではない。当たり前ですが、内定者の変更はないということらしいです。
優勝予想タイムは上がるでしょうからスピードのない選手には厳しくなりそうです。
オリンピックは秋に開催するべき
そもそもマラソンは夏になるべきスポーツではないのです。
マラソンと言えば冬のスポーツ。けれど100mなどの瞬発系競技は温かいほうが走りやすいし記録も出る。さまざまなスポーツをまとめて開催するとすればやはり秋が最適です。
スポーツと言えば秋。夏季オリンピックを10月中旬から11月頭までに移動すべきではないかと思う。開催地によっては冷えすぎるがそこは臨機応変に時期を変更すればいい。大会の金銭的な利益よりも選手優先で考えるならば、秋にやるべきです。
札幌に決まれば札幌を応援するしかない
この時期になって変更という展開でびっくりしました。
色々問題はあるでしょうが、でもここはもう気持ちを切り替えて札幌で準備を進めてほしい。
札幌へ決まれば東京で楽しみにしていた人は残念かもしれませんが、札幌市民は嬉しいでしょう。マラソンは沿道で見ることができますから気軽にオリンピックを目の前で見ることができるのです。こんな機会はないです。
あとは日本人選手ががんばってくれれば盛り上がる。やっぱそこかな。