スピード違反の取り締まりは定置式、追尾式、オービスの3種類があり、警察が厳しく目を見張っていて毎日多くのドライバーが検挙されています。
60km/h制限の道路では60km/h、100km/h制限の高速では100km/hで流れていることが多い日本。日本では制限速度上限ギリギリで巡航するのが一般的となっています。
道路交通法の速度制限を超えたら違反ではあるが、60km/hのところを1km/hオーバーして検挙されることは皆無。多くの場合は15km/h以上の超過で捕まるパターンです。
それを知っていてか制限速度+10km/hまでは大丈夫とその速度域で巡航するドライバーも多い。
しかし海外へ目を向けるとスイスは違う。スイスは速度違反にはとても厳しく、わずかでも超えたら即検挙です。
日本だと新しいオービスはおおよそ15km/hオーバーから光ると言われています。フィルム撮影式の時代は30km/hオーバーから光ると言われていました。
速度違反の許容レベルはどうあるべきでしょうか?
なぜ1キロオーバーで捕まえないのか
なぜ1km/h超過で捕まえないのか。それは速度測定器の精度の問題と、ドライバーのスピードメーターの誤差もあります。誤差については道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条に10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/94)V1(平成19年1月1日以降に製作された自動車の場合)となっています。
ですが実際の取り締まりはこの誤差よりも甘いです。警察は明らかな違反を検挙し、微妙なものは取り締まらないといった感じではないでしょうか。
ちなみに車や自動二輪車のメーターは概ね実際の速度より少し速い数字が表示される傾向が強いです。
一般車の場合はタイヤの回転数で速度を割り出してあり、しかしタイヤ外周はタイヤのブランドや摩耗具合で微妙に変わります。同じタイヤの規格でもブランドで外周はわずかに違います。ゆえにタイヤが摩耗したりタイヤを交換すると同じギアの同じエンジン回転数でも速度が変わってきます。
こういった理由もあって市販車はやや速めに表示されているのではないでしょうか。
取り締まる側である白バイのメーターは定期的に校正が行われてあり、極めて正確です。ですが、一般車のメーターは誤差もあって、取り締まる対象は1km/h超過で即検挙ではなく、明らかな速度超過が見られる車両です。
オービスに関しては、昔は撮影にフィルムを使用していました。フィルムには枚数制限があったせいで青切符違反まで撮影しているとすぐにフィルムがなくなって、以降の撮影ができなくなってしまいます。そういった理由で特に悪質である赤キップクラスの違反が主な対象でした。
しかし最近はデジタル撮影に変わってきています。これはいくらでも撮影は可能です。
現在では青切符で検挙されるオービスの報告も増えてきました。昔よりは厳しくなった。しかし青切符でも15km/h超未満での検挙はほぼ聞いたことがない。やはり違反の特徴が明確に見られる車両が対象ということでしょうか。
スイスは1キロオーバーでアウト?
スイスの交通取締りが厳しいというのはご存知でしょうか。交差点には監視カメラがあり信号無視など見張っています。停止線を超えて停止してもアウトで後日通知が来ます。反則金も高いです。
速度違反に関しては、日本では一般道で30km/h以上の速度超過でやっと免停ですが、スイスでは市街地では16km/h以上オーバーから免停です。市街地外での一般道では21km/hオーバー、高速道路では25km/hオーバーから免停とやや甘くなりますがそれでも日本より厳しい。
しかも繰り返し過度な速度違反をすると免許永久取り消しになる可能性がある。大きな違反の罰金も収入に応じたものが課せられて上限がない。下手すると数千万円になることもある。
スイスでは速度違反には安全マージンがあり、速度取締機で測定した速度より差し引かれます。
最も厳しいレーザー式速度測定機では100km/h以下の違反は3km/hしか差し引かれない。
シュヴィーツで50km/hの道路を54km/hで測定されて4km/hオーバー。誤差を3km/h差し引いて1km/hオーバーで違反金40CHFという通知の例を発見。
スイスでは速度超過に1-5km/hの超過の項目があり、その程度でも違反金が40CHF(約4,900円)となっています。
何キロオーバーから検挙されるのかは明確ではありませんが、3km/h引かれるということは4km/hオーバーが最低ラインかもしれません。3km/hオーバーだと0km/h超過の切符になるので違反項目から外れる。
日本人の例で言えばスイスでレンタカーを借り、4-5日移動した後日に4枚もの速度違反通知が来たのが下のブログ。
速度制限ギリギリで流れるのが日常
海外は知りませんが日本では60km/h制限の道路があれば60km/hで走り続けるドライバーがほとんど。
速度上限ギリギリで走り続けるのが暗黙のルールのようになっています。高速道路で雨や霧で80km/h制限の表示が出ていてもドライバーは100km/h固定から緩めない人がほとんどです。
60km/hの速度制限は常に60km/hを保って走れという意味ではありません。だが多くの人がとりつかれたように上限ギリギリで巡航します。通常の路面コンディションだとまだいいですが、雨が降っても雪が降っても槍が降っても60km/h固定だと危険です。
10km/hオーバーくらいでは捕まらないと、制限+10km/hで巡航する人も多いです。それなら最初から一般道は制限速度70km/hにすればいい。でもそうすると今度は80km/hで巡航されてしまうのです。
現実的には測定精度の高いオービスならば5km/hオーバー程度でも取り締まることは可能でしょうが、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条のメーター許容誤差などあってそこまでガチガチに厳しくはしない。
そもそも1km/hでも超えたら法的には違反であり、60km/h制限は60km/hでずっと走れという意味ではないので、なにもギリギリで巡航し続けなくてもいいのです
なぜ皆ギリギリで走り続けるのか。それは検挙する超過の目安が緩く甘いからではないのでしょうか?
交通取締りはどうあるべきか
法定速度はそもそも事故防止や騒音を抑えるという交通安全の目的で決められていて、たとえば高速道路では最低速度50km/hというように下限速度もある。これも速度差がありすぎると危険という安全上の理由です。
法定速度は必ずしも見合っていない場合もあり、また時代や道路環境でも安全な速度は変化するため見直されることもあります。しかし免許を交付されたドライバーは道路交通法を守る義務があり、その一つが法定速度です。
法定速度は1km/hでも超えたら道路交通法違反であるが、実際の取り締まりはこの法定速度の数字より15km/h以上超えあたりから行われているというのが現状。それを知ってか、10km/hくらいなら超えても大丈夫と慢心したドライバーも多い。
これでは法定速度の数字の意味は何なんだ?と考えさせられます。100km/h制限区間の高速道の追い越し車線の流れが120-130km/hというのはおかしい。
ここまでスイスを例にあれこれ語ってきましたが、そのスイスの2019年の交通事故死者数は187人。日本でも警視庁の発表によれば2020年が2,819人。どちらも交通事故死者数が過去最低を更新し続けています。これはいいことです。
スイスは人口が860万人で、人口1億2000万人の日本より少ないのは当然ではあるが、四方を国境で挟まれており海外からの車や物流トラックもかなり多く入ってくると考えれば人口以上のものがあり、かなり優秀ではないでしょうか。