信号機の青は「進め」ではなく「進んでもよい」だから、青になっても進まないで止まっていてもいいってことだよね?という、道路交通法に揚げ足をとるような質問をネットで見かけた。
これは一見、日本語的な理屈にはかなっているようだが、場合によっては道路交通法違反となります。
では道路交通法施行令から見ていこう。
青信号の意味(道路交通法施行令)
まあ青色信号と言っても実際は緑色であり、英語圏では青信号はGreenであって、記事を書く度に青・・・青・・・と言うことに違和感があるが、まあこれは英訳するときにBlueと言わないように気をつけたい。まあこんな話はここではどうでもいいんだがw
道路交通法施行令では、青信号の意味は
歩行者は進行することができる。
自動車は直進、左折、右折することができる。
自転車は直進、左折することができる。
青色の灯火
出典:道路交通法施行令第2条第1項 ※赤色マーカーは当サイトで引いたもの。
一 歩行者及び遠隔操作型小型車(遠隔操作により道路を通行しているものに限る。)(以下この条において「歩行者等」という。)は、進行することができること。
二 自動車、一般原動機付自転車(法第十八条第一項に規定する一般原動機付自転車をいう。以下同じ。)(右折につき一般原動機付自転車が法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点を通行する一般原動機付自転車(以下この表において「多通行帯道路等通行一般原動機付自転車」という。)を除く。)、トロリーバス及び路面電車は、直進し、左折し、又は右折することができること。
三 多通行帯道路等通行一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車(法第十七条第三項に規定する特定小型原動機付自転車をいう。以下この条及び第四十一条の三第一項において同じ。)及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。
「進行しなければならない」ではないことに注意が必要です。
「進行することができる」です。「進行なければならない」は「進みなさい」という強制的な強い意味合いがあり、「進行することができる」は「進んでいいですよ」というような、前者よりも柔らかい意味となります。
青でも進行しないで停止したままの場合
「進行することができる」を取り違えて、「じゃあ進行しなくてもいいのか?」というツッコミを入れる人がいます。
歩道の上で待機している歩行者は、青になっても進行せず、歩道で立ち止まっていても他の通行の妨害(法76条違反)になっていなければ違反ではありません。ただ、渡るつもりはないという意思表示(渡る方向とは逆方向や横方向に体が向いているなど)がないと右左折する自動車は一瞬困惑するでしょう。
家族連れで歩道を歩いていて、ちょうど青信号で横断歩道に迫り、青で渡る予定だったが、家族が後方に離れていたため、青だったが渡らず、横断歩道手前の歩道上で家族を待つ状況もあるかもしれません。
車道を走る自動車や自転車の場合は、
信号機のすぐ手前(交差点や横断歩道の側端から5m以内)で青になっているにも関わらず理由もなくずっと停止したままの場合、駐停車違反(駐停車禁止場所等)となります。
(停車及び駐車を禁止する場所)
出典:道路交通法第44条第1項 ※赤色マーカーは当サイトで引いたもの。
車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
二 交差点の側端又は道路の曲がり角から五メートル以内の部分
三 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
四 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
五 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
六 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
赤色マーカーの部分「法令の規定」というのが信号機の交通整理です。赤の点灯の場合は法令の規定「進行してはならない。」に従いますので、交差点5m以内で停車しても違反とはなりません。
青になった時点で法令の規定の一時停止が外れますのでこの場所では駐停車禁止となります。
危険を防止するため一時停止する場合は駐停車禁止ではありません。車側が青だったが信号無視した歩行者がいたので交差点内や横断歩道手前で一時停止した、など。
青は「進め」にすればいいのでは?という意見について
「進行することができる」については、正面が青になっても横断歩道を渡り終えていない歩行者がいるかもしれません。また駆け込みで渡ってくる歩行者や自転車もいるかもしれません。これらに注意して進行しないと事故を起こします。
自動車が青で右左折するとき、横断歩道で歩行者が渡ろうとしているときは停止しなければなりません。
また、道路交通法50条(交差点等への進入禁止)で青でも進行できない場合や、道路交通法第40条(緊急自動車の優先)で青でも停止線手前で停止したまま進まない場合もあります。
歩行者に関しても青信号だからと何も考えずに進行するのは危険です。青信号で無理やり右左折して突っ込んでくるドライバーもいます(ドライバーの死角になっていることも)ので、車の動きには注意して進行しないと危険です。巻き込み事故は多いです。
青信号を「進め」とか「進行しないといけない」にすると、安全を確認しないで進んでしまう人が増えます。信号機は安全と交通の円滑のために設置された交通整理であることを忘れてはいけません。