カメラを取り巻く環境は変化しています。
以前はフィルムカメラはデジタルカメラに活躍の場を奪われ消えていきましたが、今度はコンパクトデジカメがスマホにその立場を奪われてしまいそうな問題。コンデジはこのまま消えていくのか、 生き残る方法はあるのか、その考察。
スマホとコンデジが融合したようなモノはあった
スマホとコンデジの徹底的な差は、光学ズームを搭載しているか否か、と私は思います。しかし実は光学ズームを搭載したスマホはあった。見た目はほぼコンデジ。コンデジにスマホを積んだような。どっちなんだというようなスマホ。
サムスンGalaxy S4 ZoomやニコンCOOLPIX S800cなど。しかしこれらは一時的なもので、すぐに消えていきました。
コンデジの最大の利点である光学ズーム。光学ズームを搭載したコンデジ全盛期中でもほとんどのユーザーはワイド端とテレ端の2焦点しか使っていなかったので、ワイドとテレのレンズ2個搭載したスマホで十分代わりは務まります。
画素数で釣れる時代は終わった
◯万画素、これだけで売れたのは昔の話。少ない画素が足を引っ張っていた時代は終わり、今や画素数で不満を感じる人はいない。メーカーも昔ほど画素数をアピールはしない。
もはやこれ以上画素数を上げてもメリットはない。
極小センサーに高画素で作り上げた画像は、補完拡大したようなおおざっぱな絵になっていき、データだけ無駄に食う。実際多くのユーザーは1000万画素もあれば十分であり、これ以上の高画素化の恩恵はあまりない。
用途はSNSやブログなどへアップしたりがメインでA4サイズプリントなんてやる人は今や殆どいない。
いくら高画素で記録しても、結局インターネットでの画面上では縮小されてしまうので、画素数よりも色合いやダイナミックレンジなどを追求したほうが高画質になる。
高画素ではトリミングして使用できるというメリットについては、現在の滲んだ水彩画のように破綻した等倍画質を見れば、そんなことは無理であることを実感できる。
縮小してやっと見るに絶えられるレベルなのです。600万画素時代までのデジカメは今より遥かに緻密な描写をしていた。
カメラの画質はスマホもコンデジもどんぐりの背比べ
スマホもコンデジも小さなセンサーに高密度でセルを詰め込んでいて、本来絞り込んだときに出ていた回折現象(画像がぼやけてくる)はレンズ開放時から発生し、画質は破綻。
さらに画素ピッチが狭いカメラはノイズも出やすく、これをノイズリダクションなどフィルタをがっつり掛けて無理やり誤魔化しているものだから、細部ディティールまでつぶしてしまい、まるで滲んだ水彩画のようになり、すでに等倍では見れたものではない。
極小センサーの高画素化による画質破綻はすでに400万画素時代から言われていました。
こういう傾向はメーカー側も把握していて、そこから生まれたのが1インチセンサーという大きめのセンサーを積んだコンデジ。キヤノンのパワーショットG7XシリーズやソニーRX100シリーズ。
ただ、センサーが大きくなると、同じ明るさのレンズを搭載しようとするとレンズユニットが大きくなる。これらのシリーズはそのバランス、画質とサイズがちょうどよくまとめられている。
スマホを持っていても、コンデジを別にほしいと思えるようなカメラに仕上げられた。ただ、これは写真好きな人にとってはそうなのだが、これを一般ユーザーが求めているとは限らない。
コンデジはいっそ35mmフルサイズセンサーで統一する?
スマホとコンデジが同じようなスペックで競い合えば、コンデジが劣勢なのは目に見えています。
完全に住み分けるには、いっそのことコンデジは35mmフルサイズセンサーで一本化しちゃえばいいのではと思ったりもします。35mmフルサイズ化はスマホには恐らく真似できないでしょう。
すでにソニーには35mmセンサー搭載のコンデジでRX1シリーズはあるが、RX1の値段は20万円近い。カメラが特別な趣味ではない普通の人はカメラのために20万円も出さない。
写真が撮影が好きな人にはとても魅力あるカメラではあるが、一般層にとってはそう簡単に売れるわけではない。例えこれが5万円台だったとしても一般ユーザーが一気に食いつくなんてことはない。
なぜなら多くの人はスマホのカメラと画質で満足しているので、スマホとは別にカメラを用意する必要を感じていないから。
つまりコンデジは画質で差をつけても、もはや昔のようには売れない。
コンデジは進化させるべきか、終わらせるのがいいのか
デジカメが普及し始めたのが1995年頃。80年代にもあったが、実際に普及始まったのは1995–1996年頃から。
当時は35万画素のカシオQV10や富士DS-7の時代。電池消費も半端なく、DS-7は単3アルカリ4本を使って30枚ほど撮影したら電池が切れる始末。起動時間も撮影後の処理も遅くストレスが溜まった。
コンデジがようやくまともに使えるようになったのが2002年頃。
バッテリーの寿命は伸び、光学ズーム搭載は一般化し、画素数も400万画素あたりに増え、解像度的にもプリントに耐えられるレベルになった。
まだ起動時間(ズームレンズモデルは特に遅かった)や撮影感覚はかなり長かったが、それも2005年あたりになるとストレスのないレスポンスに進化。
このあたりからフィルムカメラを使う人は一気に減ったように思う。気がついたらフィルムカメラは姿を消していた。
携帯電話も2001年頃からカメラ内蔵型を徐々に見るようになり、その数年後には殆どの携帯でカメラが付いていた。画素数も大きく伸び、コンデジの代わりに使える物へなっていった。
スマホが普及する2010年以降になると、とうとうコンデジがスマホカメラに押され始めた。コンデジは必要なくなった人が増えた。静止画も動画もスマホで。そういう時代が来た。
コンデジにカメラ以外の機能をあれこれ搭載しても、スマホには及びません。
大型センサー化で差をつけるか、光学レンズで差をつけるか。
つまりカメラとしての性能で差をつけたい所なんですが、静止画も動画もスマホで十分と感じている人が多いので、コンデジは撮影を趣味として楽しんでいるユーザーをターゲットにするしか道はないでしょう。
つまりコンデジは一般消費者をターゲットにするのは終わるしかないように思います。生き残れるのはこだわりの上位高級コンデジ。ターゲットは写真を趣味とする人。私はそう思います。
しかし、そういう中で、時代を逆戻りするかのように、
最近はひそかに使い捨てフィルムカメラが人気復活しているらしい。
フィルムカメラにはスマホにはない魅力がいっぱい詰まっている。
普及クラスのコンデジが消え、そのうちフィルム仕様のコンパクトカメラが復活するのでしょうか。
ブーム広がりそうな予感はする。