
最近気になっているのが追い越しの定義。
追い越しと追い抜きの違い、というテーマで様々なウェブサイト、ブログや質問箱の回答、ユーチューブ動画で紹介されていますが、回答がバラバラでどれが正解かわけがわからない状態です。どれも自信満々に回答している人達で溢れています。
きちんとした追い越しの定義を知っておかないと、追い越しではないつもりですっと前に出てそれが追い越しだった場合、赤いランプがくるくると光り、検挙されるでしょう。
道路交通法を改めて読み直し、追い越しの定義を見ていきます。
真っ二つに意見が分かれる追い越しの定義
情報1
個人ブログの解説やYahoo知恵袋、ユーチューブ動画に多いのがこれです。

こちらの意見では、追い越しは進路変更をし、側面から前方へ出て、再び進路変更をするのが追い越しというのです。追い抜きは2パターンで、進路変更は一切なしでそのまま真っすぐ前ヘに出る、あるいは最初に進路変更をしてからまっすぐ前に出てそのまま進路変更はしないことらしい。
情報2
ちなみに運転教本などはこのパターンです。

運転教本の追い越しは、進路変更をし、側面から前方へ出ることで、前に出たあとは進路変更せずにそのまま真っすぐ進んでも、再び進路変更して戻っても、同様に追い越しとなっています。
運転教本は追い越しについての説明はありますが、追い抜きについて道交法云々の定義ではなく、参考という形でメモにあります。追い抜きは進路変更をせずに車の前方へ出ることとなっています。
運転教本ではないですが、別の信頼性の高いサイトでは追い抜きについてこのようなパターンを説明しています。

道交法より正解を導きます
道路交通法の第2条を見てみます。
追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
出典:道路交通法第2条1項21号
道路交通法では、進路を変えて側方を通過し、前方へ出るとなっています。つまり追いついたあと、最初に進路を変更することが前提ということです。側方を通過したあとは前方へ出る。前方へ出るとは書いてあるが、進路の変更は明示されていません。
追いついたあと前方出るために進路変更をしたかしていないかがポイントです。前に出たあとは進路変更の有無は関係ありません。進路変更して側面を通過して前に出る。前に出たあとは進路変更しようがしまいが、どちらも追い越しです。
道路交通法上での正解を図にします。道路上での追い抜きという定義がない以上、こうなります。

また反対側(左側)からのパターンも載せておきます。「定義」という話で進めていますが、左側からの追い越しは道路交通法違反ですので注意して下さい。

追い抜きの定義は道交法にはありません。なので追い抜きと追い越しとの違いなんていう定義も法律上はありませんので違いを説明することは出来ません。
追い越しではないことを説明をするとき。
追い越しを説明するとき。
つまり定義の議論に「追い抜き」を持ってくること自体ナンセンスです。定義さえない「追い抜き」を持ってくることで余計ややこしくなっている感じしかしません。
追い越しの定義だけ覚えておこう
道交法上では追い抜きの定義がないので、追い越しと追い抜きの違いは明文化されていません。
国語的な意味においては追い抜きも追い越しも同じ意味を示します。運転教本では参考的な表現として追い抜きを説明していますが法律上の定義ではありません。道路交通法では追い抜きの説明はありません。世間一般が自発的に定義を持たせて分けて解釈している感じです。
なので「追い抜き」に関しては定義は何かを議論する価値はありません。
そもそも、車の前に出る行為で、追い越しとは定義しない場合を説明するために、追い抜きの定義を勝手に作り、それが法律上の定義ではないのに道交法に絡めてしまったことが混乱の原因になったのかもしれません。追い抜きに関しては不文律な定義と言えます。
追い抜きはいいとして、追い越しの意味だけはしっかり覚えておく必要があるでしょう。「これは追い抜きだから違反ではない!」とたかを括って検挙されることがないように。