飲料メーカーがペットボトルから缶へ切り替えに動いているらしい。
ちょっと前は缶コーヒーをペットボトルにするのが流行っていると聞いたいたような気もしますが、これはいったいどういう風の吹き回しなのか。
実はペットボトルというプラスチックごみ削減の動きが飲料容器にも広がっているらしいのです。
プラゴミ削減の動きが広がる
世界中でプラスチックごみ削減の動きは広がっています。
ストロー、レジ袋、そして飲料容器へ。PET(ポリエチレンテレフタラート)のプラスチックボトルから、蓋のついた缶に切り替わる動きが広がっているというのです。
ちなみにスチールやアルミの缶であっても容器の内側には腐食防止のコーティングとしてPETフィルム処理がされていますので純粋な金属のみで作られているわけではありません。
PETより缶のほうが環境にいいのか?
不法投棄された場合、PETは無論、缶であっても環境を汚します。現在ペットボトルの投棄ゴミが多いからという理由で缶に変えても、投棄ゴミが減るわけではなく、缶ゴミが増えることになります。
容器が回収され、リサイクルされた場合でもPETだろうが缶だろうがリサイクル工場では CO2 を排出し、リサイクル費用もかかります。ではなぜPETから缶に変わるのか。
ペットボトルのリサイクル率がアルミなどの缶よりも低いという理由でしょうか?
しかしペットボトルのリサイクル率は日本では非常に低くても、スイスは違います。
スイスではプラスチックごみのリサイクル率は低いものの、ペットボトルに関しては非常に高いリサイクル率でありアルミ缶のリサイクル率とほとんど変わらない。
日本では缶のリサイクル率は高く、ペットボトルは極めて低い。ペットボトルは燃えるので安易に燃えるゴミに出す人が多いせいもあるでしょう。しかしそれは消費者の意識の問題です。
またペットボトルのリサイクル環境が整っていないのもあります。リサイクル費用はかかるし、リサイクルの半分は海外頼み。
ちなみにスイスではペットボトルのリサイクル率が一定以下に下がったらペットボトルにデポジットが導入されます。96年に行ったときはちょうどその最中でした。
缶のデメリットもあるはず
缶容器にも蓋を付けることでチビチビ飲みが可能となり、デメリットの1つは解消しました。その他デメリットはなにか考えます。
- 透明容器は缶では不可能。つまり中身が見えない。
- プリントデザインや商品名次第では、どういう飲料が入っているかわかりにくい。
- 残量がわかりにくい。
- 落としたときに潰れる。
- スチール缶、アルミ缶ともに製造コストはPET容器より高い。
- 缶といえど内面はPET樹脂でコーティングされている。
こんな感じでしょうか。製造コスト以外はたいしたデメリットではないように思います。
しかしながら日本は自販機多い、多すぎ問題
日本の自販機の多さは世界でもダントツです。歩けば自販機に当たる。
自販機は多くのゴミを出す機械です。小さな容器はゴミが出やすい。その場で飲むことも多い。
自販機は商品を照らす明かりが24時間消えることなく点いていて、冷蔵機以外にも電力を使います。配送車が1つの自販機の僅かな補充のためにはるばる移動し、ガソリンも無駄に使います。
利便性と引き換えに環境には優しくないと言えます。
自販機はリサイクル率を高めるためにも周囲の環境を汚さないためにも自販機横のゴミ箱設置を義務化してはどうでしょうか?
飲んだあとの容器のゴミ箱設置どころか撤去するところもあり、そういう自販機の周りは飲み終わった缶やペットボトルが地面に放置してあることが多い。それは風で飛ばされたり転がったりして散らかり環境を汚します。
ゴミ箱以外の場所へ捨てる側も当然悪いですが、自販機にゴミ箱があっても何週間も回収しない放置状態のところもある始末。
設置したオーナーは周囲の環境をきちんと管理できないなら自販機を置かないでほしい気もします。売れば後はどうなろうが知らんぷりみたいな感覚ではダメです。
私の場合は自販機で買ってその場で飲む場合は、ゴミ箱が設置していない自販機では買いません。買って飲んだ後に捨てる場所がないことに気がついて、空き缶をずっと手に持って歩くなんて嫌ですから。
素材以前に小さな容器は資源ゴミが増える
容器の大きさでそれぞれメリットデメリットがあります。
- 小さな容器は食べ切れるので生ゴミは出にくいが、容器のゴミは増える。
=資源ゴミの増加。 - 大きな容器は容器のゴミは減るが、食べ切れなければ捨てることもありえる。
=生ゴミの増加。
小さいサイズは資源ゴミが増えるということを認識し、用途にあったサイズを選ぶことがゴミを減らすことになります。
プラゴミは減ったほうがいいのは間違いないですが、大きなサイズを買い、食べきれずに賞味期限が過ぎ、生ゴミが増えてもそれは処分場で焼却され CO2 を増やすことになります。
中身が飲料なら台所で流して捨て、それは下水処理場へ流れます。そこで沈殿した汚泥は焼却され CO2 を出します。
プラゴミ問題言われても過大包装をなくす動きがない
プラゴミ削減と言うならば、食品メーカーはまずは過大包装をなくし、身の丈にあった容器包装をするべきです。
私はたびたびこの過大包装について取り上げますが、過大包装は本当に無駄です。消費者ではどうしようもないです。
さらに過剰包装としてカップ麺を包んでいるビニールラップ、これも不要です。
カップ容器はこれがなくても頑丈かつしっかり密閉され空気から遮断されているのに、外側を包むビニールラップは一体何のためにあるのか全くもって理解不能です。こんな意味のないものはなくすべき。
大切なこと
たくさんゴミを出してたくさんリサイクルというのではなく、やはり基本は出るゴミを最小限まで減らし、それでもどうしても出るゴミをリサイクル。それが理想であると考えます。
現代は使い捨て容器が多い。使うのは1回きりなのです。
国産ペットボトルは無駄に厚みがあり頑丈です。
水筒として使っても10年は使えそうなレベルです。使用回数は一度なのにここまで頑丈にする必要はないと思います。外国製のように最小限の原料で作りペラペラの容器でいいと思うのです。蓋だってもっと浅くてもいい。
日本はまずそこが無駄です。最近は容器が薄いタイプも見かけますが、傾向としてはまだまだ少ない。
飲料系はいっそのこと昭和時代のように瓶の清涼飲料に切り替え、その空き瓶を回収して洗浄し、再利用するのもありかもしれません。瓶、缶、PETの回収率を高くするためデポジット料を上乗せするのもありでしょう。
リサイクルには費用がかかりますが、コストより環境を優先するべきです。
リサイクル業にとって公的な助成金・補助金が足りないのであれば予算を見直すべきではないでしょうか?リサイクルのコストが深刻ならば容器にリサイクル料を上乗せする方法もありかと思います。
そもそもペットボトルは缶より製造コストは安いです。差額分くらい上乗せしてもいいのではないでしょうか?
私の考えをまとめます。
消費者
- なるだけ使い捨て容器の飲料を使わないようにする。家でコーヒ飲むなら缶コーヒーなどではなく、インスタントコーヒーなどで作りコーヒーカップに注いで飲むなど。
- ゴミの分別の徹底。
メーカー
- PET、缶関係なく必要最小限の原料で容器を作るべき。使い捨て容器を必要以上に頑丈に作るのは無駄である。最小限の原料で作ればリサイクルするゴミは減る。
- 過大包装、過剰包装をやめる。
行政など
- 不法投棄の監視、取り締まりなど。
- リサイクル環境の整備。
最後に
PETだろうが缶だろうがゴミはゴミです。缶にしたところでリサイクルが求められることに変わりはありません。
仮に膨大な量であるペットボトルが全て缶に置き換わった場合、リサイクルは追いつくのでしょうか?ペットボトルの不法投棄については、缶であれ不法投棄すれば環境破壊となります。
私が考える最も手っ取り早い方法は、無駄に頑丈で分厚い日本のペットボトルを、海外製のように薄っぺらく最小限の原料で作ることだと思います。これだけでゴミの量は相当に減るはずです。