視覚障害者を安全に誘導するために歩道や床面に点字ブロック(正確には視覚障害者用誘導ブロックという)が敷設されている場合があります。
ここへ車や自転車を止めたり、看板など物をおいたりしているケースを多く見ます。点字ブロックは視覚障害者のためにあります。この視覚障害者への配慮が不足している問題を語っていきます。
点字ブロックは何のためにある?
これは説明せずとも誰もが知っている事でしょうが、点字ブロックは単なる模様ではありません。視覚障害者のために敷設された道標なんです。
凹凸があるだけでなく、色が黄色というのも理由があります。目立つ色だからです。彼らはこの点字ブロックを頼りに歩きます。彼らが自分ひとりでも安全に円滑に移動するためには点字ブロックはとても頼りになります。
点字ブロックが視覚障害者のために設置してあるということは知らない人は多分いないと思います。
点字ブロックの意味はわかってはいるけど、点字ブロックの真上に車を駐車して放置したリ、点字ブロックを遮るように自転車を駐輪したりと、ここに点字ブロックがあることを全く気にも止めず行動している人が多いです。
私たち健常者は彼らの身になって考えないといけません。
マンホール蓋についても点字ブロックと重なる場合は、蓋にも点字ブロックを貼り付けたり、あるいは点字ブロックの配置を見直すなどやってほしいです。点字ブロックは使うためにあるんですから、使えないと意味ありません。
法律上は
歩道にある点字ブロックを車が塞いでいる場合、これは明らかに駐停車方法で通行の妨げになっているので道路交通法第47条の違反。それと歩道上に無許可で置いてあるお店の看板などですが、道路交通法第76条の3にはこう書いてあります。
何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
出典:道路交通法第76条の3
たとえ許可されていてもそれによって危険が生じている場合は許可を取り消され撤去を促されます。
では駅のホームや通路など路上ではない場所の点字ブロックへ看板類や資材を置いて塞いだりしてあった場合はどうなのか。
これは民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)に接触する可能性があります。
点字ブロック上に障害物を置く行為は危険です。それによって視覚障害者が転倒し、怪我をした場合、損害賠償請求をされることがあります。
点字ブロック上を歩行中に障害物や人と接触した事故例
2014年09月04日、埼玉県JR川越駅で全盲の女子高校生が白杖を使い点字ブロックの上を歩行中、前から来た男性が白杖に接触。男性は転倒したようで、高校生は背後から右足を蹴られる。男性は怒鳴って立ち去った。女子高校生は全治3週間の怪我。
2016年07月02日、兵庫県姫路市の山陽電鉄西飾磨駅で50代の視覚障害者が白杖を使い点字ブロックの上を歩行中、点字ブロックを塞いでいた補修工事フェンスに引っかかり転倒。男性は左足大腿骨を骨折し全治2ヶ月。山陽電鉄と工事委託業者は謝罪。
2016年07月14日、神奈川県横須賀市の歩道上で48歳の視覚障害者が白杖を使い点字ブロックの上を歩行中、点字ブロックを塞いでいた舗装工事用の看板に接触し転倒。両足首捻挫で全治8ヶ月。損害賠償を求めた訴訟で工事会社と和解。
2019年07月03日、東京都八王子市の京王八王子駅前の路上で全盲男性が点字ブロックの上を歩いて通勤中、正面から来た通行人とぶつかり白杖が壊れる。全盲男性は右足を蹴られる。
事故例から思うこと
障害者への配慮が欠如していると思います。
工事用車両や資材でどうしても点字ブロックを塞がないといけないこともあるかとは思います。
そういう場合は点字マットを敷いて迂回させることが望ましいです。点字マットを使い、臨時的に迂回させている工事会社もよく見ます。
点字ブロックは視覚障害者が安全に歩くことができるように設けられています。
点字ブロックが頼りであるにもかかわらずその上に障害物をおいて通行を妨げる行為はあってはなりません。
通行人との接触についても、人の多い歩道や駅などでは通行人を健常者のようにスイスイ避けることは出来ません。そういう人が多い時間帯や場所に出かけるほうが悪い、など言う人もいますが、通勤通学で移動している場合はそうはいきません。
健常者がなるだけ配慮してあげないとぶつかるリスクも高くなります。
視覚障害者が歩行中、健常者とぶつかった際に心無い言葉を浴びせられるなどトラブルは多いらしいです。
そういう中で毎日生活していると辛いと思います。健常者が立ちはだかって、視覚障害者に避けさせようと期待してもそりゃ無理です。ましてや向こうからぶつかってきたのだからと暴言吐いたり蹴飛ばしてやり返すなどの行為は絶対にしてはいけません。
直接身体がぶつかったならまだしも、例えば白杖が何かに当たっても、視覚障害者はそれが物なのか人なのか状況がすぐにはわからないことがあります。
つまり状況を把握するまでには時間がかかりますし、ぶつかった瞬間に即座に謝るということは健常者にとっては当たりに出来ても視覚障害者にとっては難しい場合もあるのです。
その状況を把握する間に暴言を吐かれたり暴力を振るわれたらたまったものじゃありません。呆然と立ち尽くしている場合は健常者(本人か周囲にいる人)が言葉で説明してあげて下さい。
お互い歩行中で点字ブロックの上でぶつかれば、互いに謝るのが理想ですが、基本的にはすぐに状況が把握できる健常者が、先に声をかけ視覚障害者へ状況を言葉で説明するべきだと思います。
点字ブロックは視覚障害者優先です。
仮に点字ブロックの上で立ち止まっていたら視覚障害者が後ろからぶつかってきた、であっても、健常者がその上を塞ぐように立っていること自体がマナー的には良くないと思います。
先程言ったように視覚障害者はとにかく状況がわかりにくいのです。視覚障害者がぶつかってきた、すぐに謝らない、だからマナー悪い、だから文句言い返してやる!というようなやり方は大人げないです。
つまり
健常者視点で何もかも考えてはいけない
ということです。
むしろ健常者が配慮して通行しやすいようスペースを開ける努力が必要だと思います。視覚障害者は人を避けることが困難です。
健常者は視覚障害者が安全に通行できているか見守り、進行方向に障害物などがあれば声掛けや誘導など、障害者に対しての思いやりとサポートの精神が大切だと思います。
弱者優先の社会、強者が弱者を助けるべきです。点字ブロックを看板や自転車その他障害物で塞がないようにしてください。
この問題について、健常者は一度視覚障害者の身になって、同じ条件で点字ブロック歩行を体験することも必要ではないかと思うのです。そういう視覚障害者体験イベントが行われているところもあります。
我々健常者が出来ること、やってはいけないこと。
最後に
点字ブロックを気にも止めていない人が多すぎると思います。
点字ブロックは模様じゃありません。誘導ブロックです。自分視点から物事を考え判断するのではなく、他人の身になって考え、もっと弱者に配慮した社会にしないといけません。
最近は信号機のない横断歩道のマナーなどばかり取り上げられていますが、こういう点字ブロックのマナーがかなり醜い状態が続いていることも、メディアはどんどん取り上げて問題化していかないといけないと思います。
強者が弱者を守る社会へ!