高速自動車国道の本線車道では法定で最低速度が50km/hと定められています。
じゃあ、本線車道で大雨や工事などで80km/hや50km/hなど最高速度規制が行われている場合、最低速度50km/hはどうなるのか?
最高速度50km/h規制だと、最低速度50km/hというのはさすがに無茶だろ!ちょっとでも前後したら違反じゃん!どうなるんだ?
・・・と、よくわからない人もいるだろうし、高速自動車国道の最低速度について説明したサイトもここらをきっちり解説しているものがないので、記事を書きました。
高速自動車国道の法定速度
高速自動車国道の本線車道の法定速度は普通自動車の最高速度は100km/h。そして最低速度は50km/h(最低速度は大型貨物自動車など含めて車両すべてが50km/h)となっています。
最高速度については道路交通法施行令第27条。
最高速度のうち、自動車が高速自動車国道の本線車道又はこれに接する加速車線若しくは減速車線を通行する場合の最高速度は、次の各号に掲げる自動車の区分に従い、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。
一 次に掲げる自動車 百キロメートル毎時
(以下省略)
出典:道路交通法施行令第27条
最低速度は道路交通法施行令台27条の3。
法第七十五条の四の政令で定める最低速度は、五十キロメートル毎時とする。
出典:道路交通法施行令台27条の3
ただしこの最低速度は高速自動車国道の対面通行区間では存在しない。道路交通法施行令第27条の2の「高速自動車国道における交通方法の特例に係る最低速度を定めない本線車道」により最低速度が除外されているため。
(高速自動車国道における交通方法の特例に係る最低速度を定めない本線車道)
法第七十五条の四の政令で定めるものは、往復の方向にする通行が行われている本線車道で、本線車線が道路の構造上往復の方向別に分離されていないものとする。
出典:道路交通法施行令第27条の2
最高速度規制の場合は最低速度はどうなるのか
指定(規制)最高速度とは道路交通法第22条第1項にあるもの。
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
出典:道路交通法第22条第1項
標識で高速自動車国道の最高速度が法定の100km/h(普通自動車などの場合)から50km/hへ規制されているとき、50km/hという最低速度はどうなるのか?
道路交通法第75条の4をよく見ると分かる。
自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。
出典:道路交通法第75条の4 (※赤色マーカーは当サイトで引いたもの)
最低速度50km/hは「法令の規定によりその速度を減ずる場合を除き」ということ。つまり高速自動車国道の本線車道で速度規制で50km/hなどに最高速度が落とされている場合、最低速度50km/hを下回って走っても道路交通法に違反しない。
注意しなければならないのは、高速道路でも首都高速や都市高速などは高速自動車国道ではないため、法定最高速度は60km/hであり、これらはもとから法定最低速度は存在しない(ただし最低速度が指定されている場合を除く)。
こういう場合はどうなるの?
「法令の規定によりその速度を減ずる場合」であるため、法定100km/hだった場所が全車両向けの速度規制で80km/hになっていても法定最低速度50km/hはなくなるということ。速度規制90km/hでも同様であるが、90km/hという規制標識は見たことがありません。
速度規制は交通規制基準で10km/h単位と決められているので99km/hなどの1km/h単位の数字で規制されることはありません。
高速自動車国道の本線車道で、全車両に向けた80km/hの速度規制があったら、大型貨物でも法定最低速度50km/hはなくなります。
全車両に向けた80km/hの速度規制のとき、法定100km/hの普通車などの最低速度50km/hが消え、法定80km/hの大型貨物などだけ、速度が減じられていないため最低速度50km/hが残ったまま・・なんてことはありません。大型貨物も法定最低速度はなくなります。
道路交通法第75条の4にある「危険を防止するためやむを得ない場合」になりますので、法定最低速度50km/hを下回っても道路交通法に違反しません。道路工事で最高速度が50km/hに規制されている場合も同様。
最後に
普通車などの法定最高速度が100km/hとなる高速自動車国道で、速度規制でその最高速度が落とされている場合は50km/hという法定最低速度がなくなります。
この記事では法定最低速度50km/hが設定される高速自動車国道の本線車道についての話をしました。
話は変わりますが、高速道路の中でも高速自動車国道ではない自動車専用道路などの道路(法定速度60km/h)は、法定最低速度はありませんが、法定最高速度を超える80km/h以上の最高速度規制が行われている場合は、最低速度の規制(原則として50km/h)が設けられることがあります(交通規制基準p130)。
高速道路とは高速自動車国道、及び自動車専用道路などのことです(高速道路株式会社法第2条)。どちらも高速道路。しかし法定速度は違います。法定最低速度が設けられているのは高速自動車国道の方。