アルコールは飲みすぎると肝臓に悪いということは多くの人が知っていると思います。少量のアルコールは循環器系へ好ましい影響があるということも知っている人は多いと思います。
しかし、アルコール飲料には発がん性がある。知っていましたか?これは以前少しだけ取り上げられ話題になりました。その時知った人、また全く知らない人も多いかと思います。
これは一部の科学者、研究者が訴えていることではなく、国際がん研究機関(IARC)が正式に認めているものです。しかし世間で騒ぎ立てられることはありません。
今日はアルコールとがんについての記事です。
アルコール飲料は発がん性があります
アルコール飲料は国際がん研究機関(IARC)の発がん性分類においてグループ1になる発がん性が確定されているもの。国際がん研究機関(IARC)ではアルコールが乳がん、結腸・直腸がん、喉頭がん、肝臓がん、食道がん、口腔がん、咽頭がんのリスクを高めるとしています。
国際がん研究機関(IARC)概要と評価 アルコール飲料(グループ1)ー国際化学物質安全性計画(IPCS)
http://www.inchem.org/documents/iarc/vol44/44.html
アルコールとがんの発生率 ー国際がん研究機関(IARC)
https://epic.iarc.fr/highlights/alcoholcancerincidence.php
ALCOHOL AND CANCER
G. Pöschl, H. K. Seitz
Alcohol and Alcoholism, Volume 39, Issue 3, May 2004, Pages 155–165,
https://doi.org/10.1093/alcalc/agh057
Published: 01 May 2004
しかし人々の間ではアルコールの発がん性がニュースになってもあまり騒がれません。
私は無駄に恐怖を煽るような記事は書きたくない性分ですが、このアルコールについてはたった一つの研究論文だけで証明したというレベルではありません。数多くの研究論文を集め、それをもとに協議され、人への発がん性が確定しているものです。
世間ではマーガリンはどうのこうので騒がれ、糖質制限ブームで糖質はどうこう騒がれ、その他人工甘味料もヤーヤー言われました。
メーカーは苦慮し、トランス脂肪酸がほとんど含まれないマーガリンを開発し、糖質カットをアピールした食品を出し、人工甘味料不使用をアピールしたものまで出てきました。
アルコールの発がん性がニュースになり、これを理由にじゃあ飲むのをやめるという声は聞きません。社会現象になって居酒屋から人が消えるようなことはなかった。
一時ニュースで取り上げられたが大きな問題とはならず、人々の記憶からすぐ消え去って風化しました。多くは今までと変わらず楽しく飲んでいます。
アルコールは少量でも発がん性リスクが高まる
アルコールと癌(がん)ーe-ヘルスネット
アセトアルデヒド(あせとあるでひど)ーe-ヘルスネット
じゃあどれくらい飲めばどれくらいのリスクが有るのか。重要な点はそこだと思います。
アルコールのMOE(暴露マージン)の値は、他の食品添加物などとは比較にならないレベルで非常に懸念の多いものとなっていて、他の食品添加物のような、ADI内に収まっているから影響は出ないといえるわけではないということです。
繰り返しますが、アルコールの場合は発がん性が疑われるではなく確定しているもの。アルコール摂取は少量でも中程度でも発がんリスクが高まるのです。
もちろんアルコールを摂取したからと言って100%がんになるわけではありませんし、高確率でがんにいなるわけでもありません。そこは勘違いしないようにしないといけません。
世間一般では発がん性が不確定な食品添加物では健康に影響が出るなど過剰に騒ぐわりには、アルコールをなくそうという動きはありません。ですが、一部の国ではアルコールに癌とのリスクを示す警告表示が義務化されています。
我々はどうするべきか
アルコールは人が生きていくために必要なものではありませんが、はるか昔から人間との関わりがあり、人と人とのコミュニケーションとしても重要な役割を担っています。
世の中から「発がん性があって有毒だからアルコールは禁止にして根絶するべきだ!」という声が出ることはありません。その代わりアルコール依存症は大きな社会問題となっています。
また、アルコール摂取による酩酊者の迷惑行為や犯罪、飲酒運転も深刻な問題です。
私はアルコールとがんの問題についてこの問題をもっと取り上げて認知度をあげ、少なくとも発がん性を知らずに飲み続ける人がいないようにしていかないといけないと思います。
そのためにはアルコール飲料の容器に、発がん性があるという警告表示を義務化するべきかもしれません。