カロリーゼロなどを謳う人工甘味料。
人工甘味料は危険だ、一切食べるな飲むな、いいや危険ではない、人工甘味料は安全だ・・・危険と安全の情報が入り乱れ、どれが本当か、誰を信じていいのか分からない。
発がん性とか怖い話も出てくるが、普通に購入できる分をごく一般的なレベルで食べて飲んで、それで危険であるのか?大量摂取した場合の話なのか?少しだけも危険なのか?じゃあ砂糖なら人工甘味料より安全なのか?
人工甘味料について情報を探っていきましょうか。
人工甘味料が危険?
ゼロカロリーや虫歯にならないなど謳い文句の人工甘味料。ちょっと突っ込ませてもらうと、虫歯にならなくてもPHが5.5以下の食品であれば脱灰が起こり酸蝕歯で歯が溶けるリスクはあります。
癌や循環器系疾患、認知症などが出ても、それが人工甘味料によってもたらされたものなのか、原因を特定することは困難です。
は原材料はあまり気にせず購入して食べています。私が将来病気になってもそれが人工甘味料によるものなのかは特定はできません。必要なのは確証的なエビデンスなのです。
安全性が確認されるから添加物というものは認可されます。人工甘味料を避け、その同等の甘さをショ糖に代替した場合、それによって起こる肥満や糖尿病、循環器系疾患の健康被害のほうが遥かにリスクが高いように思います。
アスパルテーム
アスパルテームのカロリーが0であるという間違った情報がネット上にあるが、カロリーは0ではありません。
誤解の元はゼロカロリーを謳った食品。栄養成分表示の基準ではゼロカロリーは100gあたり5kcal未満で表示が認められている。
アスパルテームは砂糖の200倍の甘さがあるので添加物として使用する場合は少量加えるだけで済む。そのため極めて少ないカロリーで砂糖と同じ甘さを出すことができるのです。
否定派は脳腫瘍や白血病、知能低下・認知症・心疾患・アトピー・不眠症を引き起こすリスクがあると主張。しかしそれらの研究は、FDAやEFSAからは再現性がなく、情報も不十分で確証的なエビデンスにはならないと否定されています。
欧州食品安全機関 (EFSA)では遺伝毒性または発がん性はないとする。
2009 EFSA’s experts assess new findings on the carcinogenicity of aspartame in rats and conclude that there is no indication that aspartame is genotoxic or carcinogenic and no reason to revise the ADI for aspartame of 40 mg/kg bw/day.
Source: Aspartame (European Food Safety Authority)
2006 After assessing a long-term carcinogenicity study on aspartame EFSA’s experts conclude that there is no reason to revise the ADI for aspartame of 40 mg/kg bw/day.
アメリカ食品医薬品局(FDA)でも同様の意見で、安全であると述べています。
生化学のレビューではラット実験でも大規模コホート研究でも、発がん性、神経毒を裏付ける証拠はなかったと述べています。以下ソース。
Aspartame: A Safety Evaluation Based on Current Use Levels, Regulations, and Toxicological and Epidemiological Studies(Taylor & Francis Group, an Informa Business)
ただしフェニルケトン尿症という稀な遺伝性疾患を持つ人々は、フェニルアラニンを代謝するのが困難であり、アスパルテームを含むすべてのフェニルアラニンの摂取を避けるべきであるということです。
1日摂取許容量ADIは40mg/kg体重( JECFA より2019年10月21日確認 )。
体重60kgの人だと1日3000mgが許容量。
※ADIは無毒性量をさらに1/100にした数値で定められている。したがってADIを超えたからと言って害が出るというわけではない。
スクラロース
スクラロースは砂糖の600倍の甘さがある人工甘味料。カロリーは0ではないが、スクラロースは消化吸収されないので人間にとっては実質カロリーは0になります。
否定派は白血病、白内障、リンパ腫、脳腫瘍・・のリスクが増える、ダイオキシンやトリハロメタンと構造が似ていて危険という主張。138度以上で塩素ガスが発生するということらしい。
欧州食品安全機関(EFSA)は発がん性はない、遺伝毒性も信頼できる証拠がないとしています。
A comprehensive database was available for sucralose and no carcinogenic effect was reported in adequate studies in rats and mice. Moreover, there was no reliable evidence of in vivo genotoxicity.
Source: Statement on the validity of the conclusions of a mouse carcinogenicity study on sucralose (E 955) performed by the Ramazzini Institute (European Food Safety Authority)
しかし公益科学センター(CSPI)では2016年にスクラロースを注意から回避に格下げしています。 マウス実験で白血病を引き起こす結果が出たのが原因。
The Center for Science in the Public Interest has downgraded its safety rating of sucralose, the artificial sweetener also known by the brand name Splenda, from “caution” to “avoid” in the group’s Chemical Cuisine glossary of food additives.
Source: CSPI Downgrades Sucralose from “Caution” to “Avoid” ( Center for Science in the Public Interest )
スクラロースを加熱することによって毒性の化合物が生まれるということについて、 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR) は、それら多数の出典元を信頼性と妥当性のカテゴリーで分けました。
完全に信頼できるといえる実験や研究は該当ゼロ。研究によって熱安定性があるとないとの結果で異なりバラバラであるということ。
結論は、120℃を超える高熱によって毒性の化合物の形成は可能性としてはあり得るが情報が不足。リスクについて明確になるまでは加熱しないことを推奨するということです。
The available data show that harmful compounds, some with carcinogenic potential, might occur when Sucralose and especially Sucralose-containing foods such as canned vegetables or baked goods are heated.
Source: Harmful compounds might be formed when foods containing the sweetener Sucralose are heated (Bundesinstitut fur Risikobewertung)
1日摂取許容量ADIは15mg/kg体重(JECFA より2019年10月21日確認 )。
体重60kgの人だと1日900mgが許容量。
日本人の1日総摂取量は1人あたり0.825mg(※1)
※1 平成 27 年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果について(厚生労働省)
アセスルファムK
アセスルファムカリウムはショ糖の200倍の甘さ。摂取しても消化吸収されずに排泄されます。熱安定性があり焼き菓子にも適しています。
危険性については、下痢、免疫力低下、肝臓腎臓を悪くする、発がん性物質が混ざっているという声があります。
アメリカの国立生物工学情報センター (NCBI)は腸内フローラに悪い影響がありマウスの体重が増加したと結論を出しているが、人間コホートでのさらなる研究が必要と述べています。
our data evidence that Ace-K consumption can lead to adverse effects in the gut microbiome of mice. Notably, distinct gender-specific effects were observed in this study.
Source: The artificial sweetener acesulfame potassium affects the gut microbiome and body weight gain in CD-1 mice (National Center for Biotechnology Information)
欧州委員会(EC)はアセスルファムKについて遺伝毒性や発がん性はないとしています。
After re-evaluation of the earlier and new information on mutagenicity and consideration of the comments of the CSPI in relation to the earlier information on carcinogenicity, the Committee reaffirms its previous conclusions that acesulfame K is without mutagenic or carcinogenic potential.
Source: Opinion Re-evaluation of acesulfame K with reference to the previous SCF opinion of 1991 (Expressed on 9 March 2000) (EUROPEAN COMMISSION )
多くの研究では遺伝毒性がなかった。発がん性があったとする研究は再現性テストで再現されず。しかしその他健康に悪影響があるという声も多い。
1日摂取許容量ADIは15mg/kg体重( JECFA より2019年10月21日確認 )。
体重60kgの人だと1日900mgが許容量。
日本人の1日総摂取量は1人あたり2.412mg(※1)
※1 平成 27 年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果について(厚生労働省)
サッカリン類
サッカリンは砂糖の数百倍の甘さがあります。昔、発がん性があるとして規制された甘味料。サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウムがある。
その後発がん性は否定されました。
サッカリンナトリウムは食品だけでなく歯磨き剤にも入っています。
米国国家毒性プログラム (NTP)では発ガン性物質のリストから削除しています。
while in 2000, NTP removed saccharin from the list of substances reasonably anticipated to be a human carcinogen in its Ninth Report on Carcinogens (NTP, 2000)
Source: EVIDENCE ON THE CARCINOGENICITY OF SODIUM SACCHARIN (OEHHA)
1日摂取許容量ADIは5mg/kg体重( JECFA より2019年10月21日確認)。
体重60kgの人だと1日300mgが許容量。
日本人の1日総摂取量は1人あたり0.112mg(※1)
※1 平成 27 年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果について(厚生労働省)
人工甘味料の結論
欧州食品安全機関(EFSA)は規定に従って人工甘味料のリスク評価をやり直すということです。
欧州食品安全機関(EFSA)は5月13日、欧州連合(EU)において食品添加物として認可されている甘味料に関する技術的データの募集(期限は2019年9月13日まで)を開始した。
出典:食品安全関係情報詳細(食品安全委員会)
ここまで調べた感じだと、人工甘味料は安全であるという理由で認可されているし、指摘されている危険性が正しかったとしても、摂取量から見て危険性はほとんどないと感じました。
マウス実験のような非現実的なレベルで大量に摂取して毒性が現れたとしても、これが摂取量が少なければ毒性は出ないというのなら、それは酸素でも水でも同じであり、人工、天然は関係ない。これらも大量に摂取すれば死に至る。
スクラロースを加熱することによって毒性の化合物が生まれる問題はありますが、スクラロースを使った高温加熱製品は殆どありません。使われているのは主に飲料やヨーグルトなどです。なので特に心配する必要はないでしょう。
健康を害しているのは人工甘味料よりショ糖のほうが圧倒的に影響しているでしょう。ショ糖は虫歯、糖尿病や心臓病、痛風、肥満のリスクが上がり、多くの人がすでに影響しています。これを考えると人工甘味料のほうが圧倒的に安全と言えるでしょう。
ちなみに私は人工甘味料は気にせず摂ります。