50cc原付きは道交法では制限速度30km/hと定められていますが、「30km/hというのはむしろ危険である!」というような訴えは昔から多数ありました。
私も50ccに乗っていた頃は、30km/h以内で車道を走行することには恐怖を感じていました。ならば道交法を見直して40km/hだの45km/hにすればいいのです。しかしその希望はいまだ通っていません。
免許区分を整理
原付きと言うといろいろ誤解がある部分もあるので整理します。
原付といっても原付1種と原付2種をひっくるめて原付と解釈している人もいるかと思います。実は道路交通法と道路運送車両法では呼び方が違います。
道路交通法
原動機付自転車 50cc以下
小型限定普通自動二輪 50cc超125cc以下
道路運送車両法
第一種原動機付自転車 50cc以下
第二種原動機付自転車 50cc超125cc以下
この記事は道交法30km/h制限についての記事なので車両区分の呼び名は道路交通法に従って、原付=50cc以下で話を進めていきます。
どうして30km/hなのか
道路交通法では50cc以下の原付きは最高速度は30km/hと定められています。
これは原動機付自転車が性能的に安全に走行できる目安として定められたようです。ただ、自転車にエンジンが付いただけの時代に決まったものですので、現代の50ccにそのまま当てはまるとは思えません。
じゃあ引き上げればいいじゃん!と思うかもしれませんがそうは簡単にいかないのです。なぜなら免許もそれに合わせた条件になっているからです。
30km/h制限はなぜ危険か
原付きは30km/hでも他の車両は60km/hで走っているわけです。
速度差30km/h。
つまり30km/hで走ろうものならひっきりなしにもう次から次へとビュンビュン抜かれるわけです。原付きはどんどん端っこへ追いやられます。
道路の端は轍が多くハンドルをとられやすい、異物が多いのでパンクのリスクも高い。
そして交通量の多い道路では50ccは路側帯を常時走らざるを得なくなってしまう。
大きなバスやトラックでは道路幅的に厳しく原付きをなかなか抜けません。抜くときは引っ掛けていないかヒヤヒヤしていると思います。やっとこさ抜いても信号待ちでまたチョロっと前に行かれる。青になり30km/hで走られるとまたすぐ詰まってしまう。
このループです。ざっというと30km/hでは流れに乗れませんので交通の流れの妨げになってしまうわけです。
しかし現状30km/hで走っている原付きはほとんどいません。
原付きの多くは50km/hくらいは出している感じです。ただ、50km/hで走れば白バイやパトカーに検挙されます。ちょっと車の流れに乗ってしまって白バイに検挙されている原付きを見るたびに可愛そうで仕方ありません。
ただ、道交法ですので、従うしかありません。
撤廃できないのは車両的な問題か、免許的な問題か
もともと50cc原動機付自転車が安全に走行できる目安として決まった30km/hなんですが、今の原付きはアクセル目一杯回せば60km/hくらい出ます。
制限速度を40km/hあるいは50km/hに引き上げたところほとんどの50ccならばエンジン性能的にはなんら問題はないです。
ブレーキ制動力に関しても問題があるとは思えません。
例えば50ccのブレーキと125ccのブレーキが同じものだったりします。昔あったスズキレッツ2S(50cc)とヴェクスター125、150は同じフロントブレーキです。しかしこれは125cc用で設計したブレーキを50ccに採用しただけ、といわれそうですね。
では多くの原付きで採用されているドラムブレーキ車ではどうなのかと言うとドラムだと効きが悪いというわけでもなく、50ccのドラムでも十分に止まれる性能は持っています。
つまり車両の性能的には30km/hを超える速度には十分に対応できるはずです。
その証拠として日本の50cc原付がアメリカ(48km/h制限)やロシア(50km/h制限)でも普通に走っています。
日本国内でも50km/hくらいで走っている50cc原付きが多いが性能的には問題はありません(法的に問題はありますが)。ふらついている人はいないし、きちんと停止できています。
つぎに言われるのが免許条件。
原付(50cc以下)は適性検査で視力両目で0.5以上。小型自動二輪(50cc超-125cc以下)は両目で0.7(片目で0.3)以上。
原付きは30km/hに釣り合った条件なんです。
つまり30km/h規制を撤廃するにはこの免許条件を引き上げないといけない。
さらに実技試験導入もということになれば、原付免許は気軽に取れる免許ではなくなってしまいます。
この場合、学科や実技の変更については新規免許習得者のみを対象にし、すでに原付免許を30km/h規制時の条件で持っている人は既得権(すでに得ている権利)で解決すればいいのです。
無条件で改正後の速度が出せるということです。しかしすでに原付免許がある人は更新時に適性検査をクリアできない人が一定数出てくると予想します。
もし視力条件を0.7まで引き上げれば、今までの視力0.5の条件でクリアしていた人が免許を更新できず、より厳しい視力矯正を余儀なくされるでしょう。その問題は残ります。
旧免許所持者を既得権で解決するとどうなるか。事故は増えるのか?
いえ、原付きは現状はすでに50km/hくらいで走っている人が多いですから、既得権を使っても今とほとんど速度的な変化はないので事故はほとんど増えないと予想しています。
そして今までのように走っていても白バイやパトカーに検挙されなくなるという変化が出ます。
海外ではどうなのか
スイスが30km/hで、あとは45-50km/hが多いですね。
やはり日本も40-50km/hくらいは必要な気がします。スイスはなぜ30km/hなんでしょうね?スイスでは一般道の車の制限速度は80km/hなんですけどね。ただスイスは50km/hへ速度規制されている道路は多いです。
スイスの場合はわずかでも速度超過すると取り締まり対象になるのでスイスの30km/hはある意味日本より厳しいと思います。
50ccは45km/h前後に引き上げてほしい。
仮に速度条件を引き上げると原付免許習得のハードルは高くなります。これは仕方ありません。今までのように簡単には原付免許が取れなくなるでしょう。
しかしながら30年以上も昔からすでに30km/h撤廃と叫ばれながら全く変わっていません。おそらくこれからも変わらない気がします。
ですが60km/hで流れている道路を30km/h以内で走れというのは実際走ればわかりますが危険だと思います。50ccに乗っている側も危険と感じるし、車で追い越す側も危険と感じています。
原付きは45km/hが理想と思う