学校や公園のグラウンドは草が1本もなく、ザラザラした粗い土で固められているというのが昔からの普通の光景。
しかし欧州などではグラウンドは芝生というのが一般的。
日本でも近年は芝生化を推進している都道府県が多くなっています。人は今まで長年続けてきた文化を今更変えることには抵抗を伴うものです。しかし芝生化はメリット盛りだくさんなのです。むしろ今の時代だからこそ芝生化を推奨したい。
この記事では人工芝生ではなく天然芝生化について語っていきます。
学校や公園の地面むき出しのグラウンド(運動場)
利点
- メンテナンスが楽で維持管理にお金があまりかからない。とは言っても草抜きは必要。
- ラインが引きやすい。
欠点
- グラウンドの土は真砂土を使っているところが多く粒が荒い。そのため走っている最中に転ぶと危ない。膝などの皮膚を粒が突き破ってめり込んで血を流し、傷口はズタズタ。この傷は結構深くまで達し、一生消えない場合もある。こういう傷が大人になっても膝に残っている人は多い。
- 真夏日は照り返しがきつく熱中症になるリスクが芝生に比べて高い。
- 土といっても真砂土はガチガチに固い地面なので走ると衝撃は割と大きい。
- 雨上がりは水溜リがいつまでも残る
- 風が強いと砂埃が舞う
芝生化のメリット
- 照り返しが少ないためヒートライランド抑制になる
- 照り返しが少ないので熱中症のリスクが減る。真夏日では真砂土に比べ表面温度で10度くらい低くなるようです。
- 転倒したときの怪我の程度が少なくてすむ。
- 走ったり、強風時に土埃が立たない。
- 走っても足への衝撃が少ない。
- 見た目がキレイ
芝生化の問題点
維持管理とコスト
当然芝刈りやその他維持管理の手間や費用はかかります。
グラウンドに芝生引くのにうん千万円かかるようです。それに加えて維持管理にも費用と手間がかかります。おそらくこれが最大であろう問題点だと思います。
この問題に関しては、芝生化推進している多くの都道府県では積極的に助成事業を行っています。
- 東京都教育委員会では、緑の学び舎づくり事業補助金、公立学校運動場芝生化維持管理経費補助金。
- 文部科学省の学校施設環境改善交付金(グラウンドの芝生化や散水設備なども対象)。
- 独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ(toto)助成の地域スポーツ施設設備助成。
- コストを安くするなら NPO法人グリーンスポーツ鳥取が提唱する鳥取方式®で芝化する選択も。
維持管理には費用や手間はかかりますが見返りのほうが大きいと思います。ヒートアイランド抑制は積極的に取り組む必要がありますし、安全面でも芝生優位です。
芝生にはダニが湧くのではないか
芝生にはダニが湧くのではないかと不安になる人がいます。
芝生にダニがいないわけではありませんが人を刺さないダニだそうです。
人を刺すマダニに関して言えば4cm程しかない芝生にはほとんどいないそうです。
マダニは植物の葉の裏などに隠れて待ち伏せするダニであるが、藪などの茂みとは違い、管理されて常に4cmほどに短く刈り込んでいる芝生では隠れる場所がないため、ほとんど心配不要のようです。
マダニはもっと丈が長い植物に隠れるらしいですので管理された芝生でのリスクは少ないようです。ちなみに芝生でのマダニ被害報告例はないみたいです。
害虫による被害
害虫によって深刻な被害になることはあるらしいです。被害が大きくなる前にしっかりと管理、対策することが大切だと思います。
芝生の擦り切れや枯れ
一人あたりの芝生面積が狭い利用地は芝生が擦り切れやすい。
擦り切れてもそのまま使い続けると枯れることがある。
芝生は生き物です。すり減って薄くなった部分はコーンを置いたりロープ張ったりして立ち入りを制限し、養成期間を設けるのが理想だと思います。 踏圧耐性や擦り切れ耐性、回復力のバランスを考えた芝を選ぶのも方法だと思います。
気候や使用環境に適した芝の選択。芝の種類にあった適切な施行とその後のメンテナンス。維持管理がうまく機能しないと失敗のリスクは高くなるでしょう。芝生は生き物です。
コストで悩むなら鳥取方式®
グリーンスポーツ鳥取が考える「芝生」とは
出典 NPO法人グリーンスポーツ鳥取 鳥取方式®とは
種類を問わないで草や芝を
頻繁に刈って出来上がった
転んでも痛くない絨毯のような形状
- 高度な芝生を求めていない場所向け
- 導入コストが安い
- 維持管理が安い
- 芝刈り、施肥、水やりが中心
- 除草や薬剤散布を行わない
とりあえず緑の芝で埋まるだけでもぜんぜん違うと思います。学校や公園のグラウンド、自宅の庭などはこれで十分ではないでしょうか?
天然芝の種類
- 野芝(ノシバ)
土壌を選ばない。硬い芝質。病気や害虫に強い。乾燥に強い。踏圧や擦り切れ耐性がある。暑さに強い。冬場は地上部は枯れ休眠する。夏芝だが高麗芝よりは寒さに強い。
- 高麗芝
硬い芝質。病気や害虫に強い。乾燥に強い。踏圧や擦り切れに耐性については野芝(ノシバ)ほど強くはない。暑さには強いが寒い冬場は地上部が枯れて休眠してしまう。
- ティフトン
競技場でも使用されている芝で踏圧や擦り切れに強く丈夫。横に伸びる力が強いのでダメージを受けた場所の回復が早い。乾燥に強い。夏場は毎週くらいの頻度で狩る必要がある。柔らかくチクチクしない。夏芝なので寒い冬場は地上部が枯れて休眠してしまう。1日5時間の日照時間が必要。
- リビエラ
ティフトンよりさらに踏圧や擦り切れに強く丈夫。ティフトンと同じく回復が早い。乾燥に強い。低い刈り込みにも耐える。夏芝なので寒い冬場は地上部が枯れて休眠してしまう。ティフトンと違い、種子で流通している。
- ベントグラス
繊細な芝質で美しい。低い刈り込みにも耐える。回復が速い。根が浅く乾燥に弱い。病気や害虫に弱い。冬芝なので暑さには弱く枯れやすいが冬場には強い。
- ブルーグラス
冬芝で寒さに強いが暑さにも強い。耐陰性に優れている。踏圧に強い。回復力が速い。低い刈り込みには不向き。
各都道府県では芝生化を推進しています
ヒートアイランド対策の地表面被覆の改善として国土交通省が緑化を推進。
各都道府県では学校や公園、駐車場の芝生化に力を入れています。天然芝は熱中症予防や転倒時の怪我防止にもなります。
皆で作業を行えば芝生を通じてふれあいや協力の精神が生まれるでしょうし、愛着も湧いて大切にしようという気持ちが生まれます。そしてなにより見た目がキレイ。
最後にひとこと、
芝生は美しい!